高血圧症の初期治療に対する1/4用量の血圧降下剤4剤併用療法(クアッドピル)は標準用量の単剤療法より血圧コントロールが優れている(代用のアウトカム; DB-RCT; QUARTET試験; Lancet. 2021)

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血圧コントロールは複数の薬剤を併用した方が良い?

高血圧に対する血圧コントロールは長期間にわたることから、服薬アドヒアランスが低下しやすいことが示されています。服薬アドヒアランス低下による血圧低下は、脳卒中をはじめとする心血管イベントの発症リスクの増加と関連していることが報告されています。

診療ガイドラインにおいて、高血圧に対して単剤での治療開始が基本とされていますが、収縮期血圧を早期に低下させ、血圧コントロールを良好に保つためには、単剤治療よりも複数の成分を低用量で併用することが有用であることが報告されています。また長期治療における服薬アドヒアランスの低下(治療の慣性)は、血圧コントロールの障害として認識されており、よりシンプルで効果的な治療戦略が必要とされています。

そこで高血圧患者の血圧コントロールについて、超低用量4剤併用療法による高血圧管理戦略と、単剤療法戦略を比較検討したQUARTET試験の結果をご紹介します。

試験結果から明らかになったことは?

2017年6月8日から2020年8月31日までに、591例(適格性を評価したのは743例、不適格または辞退したのは152例)の参加者を募集し、300例を初回クワッドピル治療(介入群)に、291例を初回標準用量単剤治療(対照群)にランダムに割り付けた。参加者591例の平均年齢は59歳(SD12)、男性 356例(60%)、女性 235例(40%)、白人 483例(82%)、アジア人 70例(12%)、その他の民族 38例(6%)、ベースラインの平均非診察時血圧は141mmHg(SD13)/85mmHg(SD10)でした。

介入群の
血圧コントロール率
対照群の
血圧コントロール率
相対リスク収縮期血圧の群間差
12周目76%58%1.30
(95%CI 1.15〜1.47
p<0.0001
6.9mmHg
(95%CI 4.9〜8.9
p<0.0001
52周目81%62%1.32
(95%CI 1.16〜1.50
7.7mmHg
(95%CI 5.2〜10.3

12週目までに、介入群では300例の参加者のうち44例(15%)が降圧薬を追加していたのに対し、対照群では291例の参加者のうち115例(40%)が追加していました。収縮期血圧は6.9mmHg(95%CI 4.9〜8.9、p<0.0001)低下し、血圧コントロール率は介入群(76%) vs. 対照群(58%、相対リスク[RR] 1.30、95%CI 1.15〜1.47、p<0.0001)で高いことが示されました。

12週目の有害事象による治療中止にも差はありませんでした(介入群4.0% vs. 対照群2.4%、p=0.27)。継続した417例の患者では、介入群よりも対照群の方が用量を漸増する頻度が高いことが明らかとなりました(p<0.0001)。しかし、52週目には、介入群(81%)と対照群(62%、RR 1.32、95%CI 1.16〜1.50)の間で、平均収縮期血圧は7.7mmHg(95%CI 5.2〜10.3)低く保たれ、血圧コントロール率も高いことが示されました。

12週間までの全参加者において、介入群では7件(3%)、対照群では3件(1%)の重篤な有害事象が発生しました。

コメント

高血圧患者において、降圧薬による降圧効果の大きさが、心血管イベントの発生を低下させることが報告されています。したがって、どの薬効群の薬剤を使用するのかよりも、より降圧できる治療薬を選択する必要があります。降圧作用としては、他の薬剤と比較してCa拮抗薬が強いことが報告されていますが、単剤治療による降圧コントロールには限界があり、より降圧するためには治療用量の増量あるいは2剤目の降圧薬の追加が行われています。また、過去の報告では、低用量の4剤併用療法の有効性(収縮期血圧の早期低下、血圧コントロールの維持)が示されていますが、合剤と単剤治療を比較した研究報告は少ないです。

さて、本試験結果によれば、低用量の4剤併用療法(クアッドピル1錠:イルベサルタン37.5mg、アムロジピン1.25mg、インダパミド0.625mg、ビソプロロール2.5mg)とイルベサルタン150mgの単剤治療を比較すると、クアッドピルの方が収縮期血圧 6.9〜7.7mmHg低下しました。

これまでの報告と矛盾はありませんが、いずれも代用のアウトカムであるため、心血管イベントの発生について検証する必要があると考えられます。とはいえ、これまでの研究結果から、より降圧した場合に心血管イベントの発生リスクが低下すると考えられます。収縮期血圧が高く、かつ心血管リスクの高い患者においては、初期からの4剤併用療法が良いのかもしれません。

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✅まとめ✅ 固定用量の4剤併用療法を早期に実施する戦略は、単剤療法を開始する一般的な治療戦略と比較して、より大きな血圧低下を達成・維持した。

根拠となった試験の抄録

背景:治療の慣性は、血圧コントロールの障害として認識されており、よりシンプルで効果的な治療戦略が必要とされている。我々は、超低用量4剤併用療法を含む1錠から始める高血圧管理戦略は、単剤療法から始める戦略よりも効果的であると仮定した。

方法:QUARTETは、オーストラリアの成人(18歳以上)で、未治療または単剤治療を受けている高血圧症患者を対象とした多施設共同二重盲検並行群間ランダム化第3相試験である。参加者は、クアッドピル(イルベサルタン37.5mg、アムロジピン1.25mg、インダパミド0.625mg、ビソプロロール2.5mgを含む)で開始する治療と、区別できない単剤治療(イルベサルタン150mg)のいずれかにランダムに割り付けられた。
血圧が目標値に達していない場合は、両群ともに薬を追加することができ、まずアムロジピン5mgが投与された。参加者は、オンラインの中央ランダム化サービスを用いてランダム割り付けされた。割り付けは1対1で行われ、実施施設によって層別された。割り付けは、治験薬メーカーとマスクされていない統計担当者1名を除き、すべての参加者と研究チームメンバー(治験担当者と結果を評価する担当者を含む)に対してマスキングされた。
主要評価項目は、12 週間後の診察時収縮期血圧の差であった。副次評価項目は、血圧コントロール(標準診察室血圧140/90mmHg未満)、安全性、忍容性であった。サブグループは、長期的な効果を評価するために、12か月間ランダムに割り付けを継続した。解析はintention to treatによる。
本試験は、オーストラリア・ニュージーランド臨床試験登録機関(ACTRN12616001144404)に前向きに登録され、現在は終了している。

調査結果:2017年6月8日から2020年8月31日までに、591例(適格性を評価したのは743例、不適格または辞退したのは152例)の参加者を募集し、300例を初回クワッドピル治療(介入群)に、291例を初回標準用量単剤治療(対照群)にランダムに割り付けた。参加者591例の平均年齢は59歳(SD12)、男性 356例(60%)、女性 235例(40%)、白人 483例(82%)、アジア人 70例(12%)、その他の民族 38例(6%)、ベースラインの平均非診察時血圧は141mmHg(SD13)/85mmHg(SD10)であった。
12週目までに、介入群では300例の参加者のうち44例(15%)が降圧薬を追加していたのに対し、対照群では291例の参加者のうち115例(40%)が追加していた。収縮期血圧は6.9mmHg(95%CI 4.9〜8.9、p<0.0001)低下し、血圧コントロール率は介入群(76%) vs. 対照群(58%、相対リスク[RR] 1.30、95%CI 1.15〜1.47、p<0.0001)で高かった。
12週目の有害事象による治療中止にも差はなかった(介入群4.0% vs. 対照群2.4%、p=0.27)。継続した417例の患者では、介入群よりも対照群の方が用量を漸増する頻度が高かった(p<0.0001)。しかし、52週目には、介入群(81%)と対照群(62%、RR 1.32、95%CI 1.16〜1.50)の間で、平均収縮期血圧は7.7mmHg(95%CI 5.2〜10.3)低く保たれ、血圧コントロール率も高かった。ランダムに割り付けられた12週間までの全参加者において、介入群では7件(3%)、対照群では3件(1%)の重篤な有害事象が発生した。

解釈:固定用量の4剤併用療法を早期に実施する戦略は、単剤療法を開始する一般的な戦略と比較して、より大きな血圧低下を達成・維持した。本試験では、4剤併用療法の有効性、忍容性、利便性が示された。

資金提供 オーストラリア国立保健医療研究評議会(National Health and Medical Research Council)。

引用文献

Initial treatment with a single pill containing quadruple combination of quarter doses of blood pressure medicines versus standard dose monotherapy in patients with hypertension (QUARTET): a phase 3, randomised, double-blind, active-controlled trial
Clara K Chow et al. PMID: 34469767 DOI: 10.1016/S0140-6736(21)01922-X
Lancet. 2021 Aug 27;S0140-6736(21)01922-X. doi: 10.1016/S0140-6736(21)01922-X. Online ahead of print.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34469767/

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