妊娠中・授乳中の女性におけるCOVID-19 mRNAワクチンの接種は妊婦に免疫原性を示し、ワクチンによって誘発された抗体は乳児の臍帯血および母乳に移行する(探索的前向きコホート研究; JAMA. 2021)

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妊婦・授乳婦におけるCOVID-19 mRNAワクチンの有効性とは?

妊娠中の女性はCOVID-19による罹患率や死亡率のリスクが高いが、COVID-19ワクチンの第3相試験からは除外されています。これは、母体及び胎児へのmRNAワクチンの影響を検証するための障壁に倫理規定があるためです。そのため、これらの集団におけるワクチンの安全性と免疫原性に関するデータは非常に限られています。

そこで今回は、妊婦あるいは授乳婦を対象とした探索的な前向きコホート研究の結果をご紹介します。

試験結果から明らかになったことは?

本研究では、COVID-19 mRNAワクチンを接種した18~45歳の女性103例(非ヒスパニック系白人66%)が登録されました。

2回目のワクチン接種後、発熱が報告されたのは、妊娠中の女性4例(14%、SD 6%)、授乳中の女性7例(44%、SD 12%)、非妊娠中の女性27例(52%、SD 7%)でした。

ワクチン接種後の妊娠中、授乳中、非妊娠中の女性には、結合抗体、中和抗体、機能的非中和抗体、CD4およびCD8 T細胞反応が認められ、さらに乳児の臍帯血や母乳にも結合抗体や中和抗体が認められた。

懸念されていたSARS-CoV-2のB.1.1.7およびB.1.351亜種に対する結合抗体価および中和抗体価は低下しましたが、ウイルス亜種に対するT細胞応答は維持されていました。

コメント

妊婦や授乳婦においては、非妊娠女性と比較してホルモンバランス(プロラクチンやオキシトシンなど)が異なることは言うまでもありません。妊婦や授乳婦に対するmRNAワクチンによる免疫原性、つまりSARS-CoV-2ウイルスに対する抗体作製やT細胞反応性が示されるか否かについて、充分に検討されているとはいえません。

さて、小規模な本試験結果によれば、ワクチン接種後の妊娠中、授乳中、非妊娠中の女性には、抗体が作成され、T細胞反応が認められました。さらには、乳児の臍帯血や母乳にも結合抗体や中和抗体が認められています。

程度の差はあるのかもしれませんが、妊婦や授乳婦に対してCOVID-19 mRNAワクチンの接種により、免疫原性は得られるようです。特に妊婦では、新型コロナウイルスに罹患することで、非妊婦と比較して重症化しやすい可能性が報告されていることから、現時点においてはワクチン接種した方が良いと考えられます。

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✅まとめ✅ COVID-19 mRNAワクチンの接種は妊婦に免疫原性を示し、ワクチンによって誘発された抗体は乳児の臍帯血および母乳に移行した。

根拠となった試験の抄録

試験の重要性:妊娠中の女性はCOVID-19による罹患率や死亡率のリスクが高いが、COVID-19ワクチンの第3相試験からは除外されている。そのため、これらの集団におけるワクチンの安全性と免疫原性に関するデータは限られている。

目的:妊娠中および授乳中の女性におけるCOVID-19メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンの免疫原性を、懸念される新たなSARS-CoV-2亜種に対するものも含めて評価する。

試験設計、設定および参加者:2020年12月から2021年3月までにCOVID-19ワクチンを接種した女性103例と、2020年4月から2021年3月までにSARS-CoV-2の感染が確認された女性28例を、探索的、記述的、前向きコホート研究として登録した(最終追跡日は2021年3月26日)。
本研究では、mRNA-1273(Moderna)またはBNT162b2(Pfizer-BioNTech)COVID-19ワクチンのいずれかを接種した妊娠中の女性30例、授乳中の女性16例、妊娠も授乳もしていない女性57例と、SARS-CoV-2感染が確認された妊娠中の女性22例、非妊娠中の女性6例を登録した。

主要評価項目と測定方法:妊娠中、授乳中、非妊娠中の女性のSARS-CoV-2受容体結合ドメイン結合抗体、中和抗体、機能的非中和抗体反応をワクチン接種後に評価した。スパイク特異的T細胞応答は、IFN-γ酵素結合免疫スポット法とマルチパラメーター細胞内サイトカイン染色法を用いて評価した。SARS-CoV-2 USA-WA1/2020株,およびB.1.1.7とB.1.351の変種に対する体液性および細胞性免疫応答を測定した。

結果:本研究では、COVID-19 mRNAワクチンを接種した18~45歳の女性103例(非ヒスパニック系白人66%)を登録した。2回目のワクチン接種後、発熱が報告されたのは、妊娠中の女性4例(14%、SD 6%)、授乳中の女性7例(44%、SD 12%)、非妊娠中の女性27例(52%、SD 7%)であった。
ワクチン接種後の妊娠中、授乳中、非妊娠中の女性には、結合抗体、中和抗体、機能的非中和抗体、CD4およびCD8 T細胞反応が認められた。また、乳児の臍帯血や母乳にも結合抗体や中和抗体が認められた。懸念されていたSARS-CoV-2のB.1.1.7およびB.1.351亜種に対する結合抗体価および中和抗体価は低下したが、ウイルス亜種に対するT細胞応答は維持された。

結論と関連性:簡便なサンプルを対象としたこの探索的分析では、COVID-19 mRNAワクチンの接種は妊婦に免疫原性を示し、ワクチンによって誘発された抗体は乳児の臍帯血および母乳に移行した。ワクチンを接種した妊娠中および非妊娠中の女性は、懸念されるSARS-CoV-2の亜種に対して交差反応性の抗体反応とT細胞反応を示した。

引用文献

Immunogenicity of COVID-19 mRNA Vaccines in Pregnant and Lactating Women
Ai-Ris Y Collier et al. PMID: 33983379 DOI: 10.1001/jama.2021.7563
JAMA. 2021 May 13. doi: 10.1001/jama.2021.7563. Online ahead of print.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33983379/

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