市中肺炎の入院患者に対する最も有効な抗菌薬はどれですか?(NWM; Thorax. 2021)

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市中肺炎により入院した患者に対する最も有効な抗菌薬はどれか?

これまでに多くの抗生剤が販売され、肺炎に対して使用されています。軽症〜中等症の場合は、アモキシシリンをはじめとするペニシリン系抗菌薬が第一選択ですが、治癒率や死亡率などのアウトカム毎に評価された臨床研究の報告は充分ではありません。また経験的に(Empiric)使用される場合に、最も有効な抗菌薬に関する報告は不充分です。

そこで今回は、市中肺炎で入院した患者に対する最も有効な抗菌薬を検証したネットワークメタ解析の結果をご紹介します。

試験結果から明らかになったことは?

スクリーニングされた41,307の引用文献から27のランダム化対照試験(RCT)が解析に含まれました。その結果によれば、治癒については、
cetaroline 600mg(1日2回)
ピペラシリン2,000mg(1日2回)
の2つが最も高い確率で最良となる経験的抗菌薬でした。

死亡率については、
セフトリアキソン 2,000mg(1日1回)+レボフロキサシン 500mg(1日2回)
ertapenem 1000mg(1日2回)
アミカシン 250mg(1日2回)+クラリスロマイシン 500mg(1日2回)
の3つが最も高い確率で最良となる経験的抗菌薬でした。

各結果のエビデンスの確実性は中程度でした。

※英語表記の薬剤については本邦未承認

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抗菌薬の使用については、耐性菌発生の観点から、有効性の高い抗菌薬を最小限に使用することが重要となります。市中肺炎は頻繁に発生することから、これに対する治療戦略が求められています。

今回のネットワークメタ解析の結果によれば、上記の5つのレジメンが良さそうです。診療ガイドラインの推奨も加味するとピペラシリンとなりそうですが、緑膿菌を考慮すると頻繁に使用することは避けたいところです。

個々の患者背景を考慮し、使用したいところです。

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✅まとめ✅ 市中肺炎で入院した患者に対する最も有効な抗菌薬として、治癒率ではcetarolineとピペラシリンが、死亡率についてはセフトリアキソン+レボフロキサシン、ertapenem,アミカシン+クラリスロマイシンが選択肢となる。

根拠となった論文の抄録

目的:このネットワークメタアナリシスの主な目的は、市中感染型肺炎(CAP)の入院患者において、(1)治癒率と(2)死亡率の観点から、最も高い確率で最良となる経験的抗生物質(Em-ATB)を特定することである。

方法:組入基準は 入院を必要とするCAPと診断された成人患者(16歳以上)で、少なくとも2種類のEm-ATBにランダム割り付けされ、治癒率を報告し、英語またはスペイン語で書かれているもの、とした。
除外基準は 抗生物質のプロトコルが曖昧であること、アブストラクトまたはレター形式でのみ発表されていること。

データソース:2000年1月1日から2018年12月31日までのMedline、Embase、Cochraneおよび引用レビュー。各評価については以下のツールに従った。
バイアスのリスク:コクランのツール。
システマティックレビューの質(SR):A MeaSurement Tool to Assess systematic Reviews-2(システマティックレビューを評価するための測定ツール)。
エビデンスの確実性:Grading of Recommendations Assessment, Development and Evaluation.

統計解析:「netmeta」ライブラリ、Rパッケージを用いて実施した frequentist 法。

結果:最初にスクリーニングされた41,307の引用文献から27のランダム化対照試験(RCT)が含まれた。バイアスのリスクについては、4分の1以上の研究が低リスクを示し、すべての領域で高リスクを示した研究はなかった。SRの質は中程度であった。
治癒については、2つのネットワークが構築された。すなわち、cetaroline 600mg(1日2回)とピペラシリン2,000mg(1日2回)の2つが最も高い確率で最良となるEm-ATBだった。
死亡率については、3つのネットワークが構築され、セフトリアキソン 2,000mg(1日1回)+レボフロキサシン 500mg(1日2回)、ertapenem 1000mg(1日2回)、アミカシン 250mg(1日2回)+クラリスロマイシン 500mg(1日2回)の3つが最も高い確率で最良となるEm-ATBだった。
各結果のエビデンスの確実性は中程度である。

結論:治癒率では、cetarolineとピペラシリンが最も高い確率で最良となるEm-ATBでの選択肢となる。しかし、死亡率については、セフトリアキソン+レボフロキサシン、ertapenem,アミカシン+クラリスロマイシンが選択肢となる。
各イベント(治癒率、死亡率)について、最も高い確率で最良となるEm-ATBを用いた治療法を比較するRCTを実施する必要があると思われる(CRD42017060692)。

引用文献

Empiric antibiotics for community-acquired pneumonia in adult patients: a systematic review and a network meta-analysis
Lara Montes-Andujar et al. PMID: 33723019 DOI: 10.1136/thoraxjnl-2019-214054
Thorax. 2021 Mar 15;thoraxjnl-2019-214054. doi: 10.1136/thoraxjnl-2019-214054. Online ahead of print.
ー続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33723019/

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