乳幼児および小児の機能性便秘に対するラクツロース vs. マクロゴール、どちらが優れていますか?(RCT; J Pediatr Gastroenterol Nutr. 2019)

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ラクツロースとモビコール®️(マクロゴール)どちらが優れているのか?

2018年にモビコール®️(ポリエチレングリコール、マクロゴール)が発売させるまで、小児の便秘症に対する治療は酸化マグネシウムあるいはラクツロースが中心でした。一方、米国や英国において、ポリエチレングリコールは、各診療ガイドラインにおいてファーストラインとして使用するよう推奨されています。(1-4)
日本では、小児慢性機能性便秘症診療ガイドライン(2013年)および慢性便秘症診療ガイドライン(2017年)に、ポリエチレングリコール製剤の記載がありますが、慢性便秘症に対する保険適応はなく開発が待望されていました。(5, 6)

ポリエチレングリコールの実際の効果はどの程度なのか?今回はこの疑問に答えられる研究結果をご紹介します。

試験結果から明らかになったことは?

ポリエチレングリコール群、ラクツロース群にランダム化された本試験では、3.62(SD 1.42)歳の患者102例(男性57例、女性45例)を登録し、88例(86.3%)が試験を完了しました。

試験の結果、ポリエチレングリコール群は、ラクツロース群に比べて1週間あたりの排便回数が多いことが明らかになりました。

7.9±0.6 vs. 5.7±0.5、P=0.008

痛みを伴う排便(5% vs. 5%、P=0.9)、便の滞留(7% vs. 10%、P=057)、大量の便(30% vs. 31%、P=0.9)、硬い便(7% vs. 13%、P=0.58)の頻度は、同程度でした。

副作用はラクツロース投与群の方が多く(15例 vs. 23例、P=0.02)、そのほとんどが腹部膨満感と腹痛でした。

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2010年頃から英国ではポリエチレングリコールが第一選択薬として推奨されてきました。一方、日本においては、便秘症を適応とした製剤は承認されておらず、適応外使用されている背景がありました。2018年になりモビコール®️が発売され、やっと世界基準の標準治療が可能となりましたが、ポリエチレングリコールの実際の効果はどの程度なのか、なかなか臨床試験を見ることができずにいました。

今回ご紹介したのは、ピアーレ®️シロップなどの主成分であるラクツロースと、モビコール®️(マクロゴール、ポリエチレングリコール)を直接比較したランダム化比較試験です。試験結果によれば、ラクツロースよりもマクロゴールの方が優れていそうです。

やや規模が小さい臨床試験と捉えられがちですが、サンプルサイズは102例が必要と計算されており、また試験からの脱落は20%と推算されていますので問題ありません(α=5%, 検出力80%)。

ちなみにモビコール®️の主成分であるポリエチレングリコール(マクロゴール)は、海外においてポリエチレングリコール3350ですが、日本において公定書での規格がないため、モビコール®️では日本薬局方にあわせてポリエチレングリコール(マクロゴール)4000に変更されています。

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✅まとめ✅ 乳幼児及び小児の便秘症に対し、ポリエチレングリコール(マクロゴール)は、ラクツロースよりも効果的であり、副作用も少なかった

根拠となった論文の抄録

目的:本研究の目的は、乳幼児および小児の機能性便秘の治療において、ポリエチレングリコール3350(PEG)とラクツロースの臨床的有効性と忍容性を比較することである。

方法:このランダム化多施設試験では、機能性便秘の患者を対象に、12週間の治療と4週間の追跡調査を行った。患者はPEGまたはラクツロースのいずれかを投与するようにランダム化(中央ランダム化)された。
主要評価項目は、12週間の治療後の1週間あたりの排便回数と、便の硬さがブリストルスケールで2点以上改善したことであった。副次的評価項目は、有害事象の有無であった。排便回数が週3回以上、便の硬さが2以上(ブリストルスケール)であれば治療成功とした。

結果:3.62±1.42歳の患者102例(男性57例、女性45例)を登録し、88例(86.3%)が試験を完了した。12週目にはPEG群98%、ラクツロース群90%で良好な臨床結果が得られた。
PEG群はラクツロース群に比べて1週間あたりの排便回数が多く7.9±0.6 vs. 5.7±0.5、P=0.008)、両群ともに痛みを伴う排便(5% vs. 5%、P=0.9)、便の滞留(7% vs. 10%、P=057)、大量の便(30% vs. 31%、P=0.9)、硬い便(7% vs. 13%、P=0.58)の頻度は同程度であった。
副作用はラクツロース投与群の方が多く(15例 vs. 23例、P=0.02)、そのほとんどが腹部膨満感と腹痛であった。

結論:PEG 3350は、乳幼児および小児の便秘治療において、ラクツロースよりも効果的であり、副作用も少ない。

引用文献

PEG 3350 Versus Lactulose for Treatment of Functional Constipation in Children: Randomized Study – PubMed
Dorota Jarzebicka et al. PMID: 30383579 DOI: 10.1097/MPG.0000000000002192
J Pediatr Gastroenterol Nutr. 2019 Mar;68(3):318-324.
doi: 10.1097/MPG.0000000000002192.
— 続きを読む pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30383579/

  1. NICE Clinical guideline [CG99](2010年作成、2017年改定) https://www.nice.org.uk/guidance/cg99
  2. 北米小児栄養消化器肝臓学会(NASPGHAN)および欧州小児栄養消化器肝臓学会(ESPGHAN)ガイドライン(2014年)https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24345831/
  3. 世界消化器病学会(WGO)ガイドライン(2010年)https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21666546/
  4. 米国消化器病学会(AGA)ガイドライン(2013年)https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23261064/
  5. 日本小児栄養消化器肝臓学会, 日本小児消化管機能研究会 編. 小児慢性機能性便秘症診療ガイドライン2013.
  6. 日本消化器病学会関連研究会 慢性便秘の診断・治療研究会 編. 慢性便秘症診療ガイドライン 2017.

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