経カテーテル的大動脈弁植え込み術(TAVI)後の患者における抗血小板薬による単独療法と二重療法の安全性と有効性に差はありますか?(SR&MA; Am J Cardiol. 2021)

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経カテーテル的大動脈弁植え込み術後の抗凝固療法には何が良いのか?

経カテーテル的大動脈弁植え込み術(transcatheter aortic valve implantation, TAVI)を受け、かつ経口抗凝固療法の長期適応がない患者において、アスピリンと二重抗血小板療法(DAPT;アスピリン+クロピドグレル)の相対的な安全性と有効性については、依然として議論があります。

TAVI後の抗凝固療法には何が良いのか?今回は、TAVI後の患者を対象にアスピリンとDAPTによる有効性・安全性を比較したメタ解析の結果をご紹介します。

試験結果から明らかになったことは?

研究11件、患者4,805例(アスピリン2,258例、DAPT2,547例)が定量的な分析に含まれました。

TAVI後の患者におけるアスピリン単独投与群は、DAPT(アスピリン+クロピドグレル)群と比較して、各アウトカムが有意に低いオッズ比を示しました。

アウトカムオッズ比
(95%CI)
P値
全出血0.41
(0.29~0.57)
p<0.00001
大出血0.51
(0.34~0.77)
p=0.001
VARC-2 大出血0.50
(0.30~0.83)
p=0.008
VARC-2 小出血0.55
(0.31~0.97)
p=0.04
輸血の必要性0.39
(0.15~0.98)
p=0.05
主要血管合併症0.41
(0.26~0.66)
p=0.0002
アスピリン単独投与群 vs. DAPT(アスピリン+クロピドグレル)群

生命を脅かす出血など重篤なアウトカムについては、2群間で有意差は認められませんでした。

アウトカムオッズ比
(95%CI)
P値
VARC-2 生命を脅かす出血0.52
(0.25~1.07)
p=0.08
人工弁血栓症1.17
(0.22~6.30)
p=0.85
心タンポナーデ0.77
(0.20~2.98)
p=0.70
開胸手術への変更1.99
(0.42~9.44)
p=0.39
心筋梗塞0.79
(0.38~1.64)
p=0.52
一過性虚血発作(TIA)0.89
(0.12~6.44)
p=0.91
重篤な脳卒中0.68
(0.43~1.08)
p=0.10
障害を伴う脳卒中1.01
(0.41~2.48)
p=0.99
心血管死亡率0.81
(0.38~1.74)
p=0.59
全死亡率0.86
(0.63~1.16)
p=0.31
アスピリン単独投与群 vs. DAPT(アスピリン+クロピドグレル)群

コメント

経カテーテル的大動脈弁植え込み術(TAVI)後の抗凝固療法としては、侵襲性が少ないためか、DAPTではなくアスピリン単独投与で問題ないのかもしれません。

特に出血リスクの高い患者においては、DAPTによる出血リスク増加が懸念されますので、本試験結果は有益であると考えます。

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✅まとめ✅ アスピリン単独投与のTAVI後患者は、DAPTを受けた患者と比較して、死亡率と脳卒中発症率に有意差はなく、出血性イベントが少なかった

根拠となった論文の抄録

背景:経皮的大動脈弁留置術(transcatheter aortic valve implantation, TAVI)を受け、かつ経口抗凝固療法の長期適応がない患者において、アスピリンと二重抗血小板療法(DAPT;アスピリン+クロピドグレル)の相対的な安全性と有効性については、依然として議論がある。

方法:デジタルデータベースを検索し、関連する論文を特定した。安全性の主要評価項目は出血であり、有効性の評価項目はTAVI後の虚血性および血栓性イベントであった。データはランダム効果モデルを用いて解析され、二分法の結果に対するプールされた未調整のオッズ比(OR)が算出された。

結果:研究11件、患者4,805例(アスピリン2,258例、DAPT2,547例)が定量的な分析に含まれた。アスピリン単独投与の患者は、全原因出血(OR 0.41、95%CI 0.29~0.57、p<0.00001)、大出血(OR 0.51、95%CI 0.34~0.77、p=0.001)、Valve Academic Research Consortium 2(VARC-2)の大出血(OR 0.50、95%CI 0.30~0.83 p=0.008)、VARC-2小出血(OR 0.55、95%CI 0.31~0.97、p=0.04)、輸血の必要性(OR 0.39、95%CI 0.15~0.98、p=0.05)、主要血管合併症(OR 0.41、95%CI 0.26~0.66、p=0.0002)が、アスピリンとクロピドグレルの両方を投与されたTAVI後の患者と比較して、有意に低いオッズ比を示した。
VARC-2の生命を脅かす出血(OR 0.52、95%CI 0.25~1.07、p=0.08)、人工弁血栓症(OR 1.17、95%CI 0.22~6.30、p=0.85)、心タンポナーデ(OR 0.77、95%CI 0.20~2.98、p=0.70)、開胸手術への変更(OR 1.99,95%CI 0.42~9.44、p=0.39)、心筋梗塞(OR 0.79、95%CI 0.38~1.64、p=0.52)、一過性虚血発作(TIA)(OR 0.89、95%CI 0.12~6.44、p=0.91)、重篤な脳卒中(OR 0.68、95%CI 0.43~1.08、p=0.10)、障害を伴う脳卒中(OR 1.01、95%CI 0.41~2.48、p=0.99)、心血管死亡率(OR 0.81、95%CI 0.38~1.74、p=0.59)、全死亡率(OR 0.86、95%CI 0.63~1.16、p=0.31)のオッズ比については、2群間で有意差は認められなかった。

結論:以上のことから、アスピリンのみを投与されたTAVI後患者は、DAPTを受けた患者と比較して、死亡率と脳卒中発症率に有意差はなく、出血性イベントが少なかった。

引用文献

Meta-Analysis Comparing the Safety and Efficacy of Single vs Dual Antiplatelet Therapy in Post Transcatheter Aortic Valve Implantation Patients
Am J Cardiol. 2021 Jan 15;S0002-9149(21)00045-X. doi: 10.1016/j.amjcard.2020.12.087. Online ahead of print.
Waqas Ullah et al. PMID: 33454348 DOI: 10.1016/j.amjcard.2020.12.087
ー続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33454348/

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