症候性COVID-19患者の臨床的悪化に対するフルボキサミンの効果はどのくらいですか?(RCT; JAMA. 2020)

pexels-photo-6074917.jpeg 未分類
Photo by Alena Shekhovtcova on Pexels.com

COVID-19に対する治療候補薬としてのフルボキサミン

COVID-19パンデミックが続いており、なかなか終息は困難であると言えます。

COVID-19ワクチン接種が進んでいけば、集団免疫を獲得できれば、終息の実現もあり得るかもしれませんが、まだまだ時間がかかります。またワクチンに対する抵抗性を示す層は少なくないため、集団免疫を獲得できるかについても疑念が残ります。

さらに集団免疫を獲得できた場合においても、COVID-19感染者が出なくなるわけではありません。したがって、COVID-19に対する治療薬の開発が急務です。

選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)であるフルボキサミンは、サイトカイン産生を調節するσ-1受容体を刺激することが報告されているため、サイトカインストームを伴うCOVID-19患者において臨床的悪化を防ぐことが期待できます。しかし、実臨床における有効性・安全性は不明です。

そこで今回は、軽度COVID-19患者を対象にフルボキサミンの効果を検証したランダム化比較試験の結果をご紹介します。

試験結果から明らかになったことは?

SARS-CoV-2感染が確認され、COVID-19の症状が7日以内に発症し、酸素飽和度が92%以上の地域生活を送る非入院成人152例を対象としたランダム化比較試験の結果によれば、臨床症状の悪化は、フルボキサミン群では80例中0例プラセボ群では72例中6例に認められました。

生存率解析による群間の絶対差は8.7%(95%CI 1.8%〜16.4%)であり、有意な差が認められました(log-rank P=0.009)。

安全性については、フルボキサミン群で重篤な有害事象が1件、その他の有害事象が11件発生したのに対し、プラセボ群で重篤な有害事象が6件、その他の有害事象が12件に発生しました。

本試験結果では、フルボキサミン使用は有益生が高いように捉えられますが、本試験のサンプルサイズは小さく、試験参加者はセントルイス都市圏に限局していることから、一般化は困難であると捉えられます。

今後のエビデンス集積を待ちたいと思います。

photo of gray cat looking up against black background

✅まとめ✅ 軽度COVID-19患者におけるフルボキサミン使用は、プラセボと比較して15日以内の臨床的悪化の可能性が低かった

根拠となった論文の抄録

試験の重要性:コロナウイルス感染症2019(COVID-19)は、過剰な免疫反応の結果、重篤な疾患を引き起こす可能性がある。フルボキサミンは、サイトカインの産生を調節するσ-1受容体を刺激することで、臨床的悪化を防ぐことができるかもしれない。

目的:COVID-19の軽症時にフルボキサミンを投与することで、臨床的悪化を防ぎ、重症度を低下させることができるかどうかを検討する。

試験デザイン、設定および参加者:フルボキサミンとプラセボを比較した二重盲検、ランダム化、完全遠隔(非接触)臨床試験。
参加者は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の感染が確認され、COVID-19の症状が7日以内に発症し、酸素飽和度が92%以上の地域生活を送る非入院の成人であった。
2020年4月10日から2020年8月5日まで、セントルイス都市圏(ミズーリ州およびイリノイ州)から参加者 152例が登録された。最終フォローアップ日は2020年9月19日。

介入:参加者を、フルボキサミン100mg(n=80)またはプラセボ(n=72)1日3回、15日間投与する群にランダム割り付けした。

主要アウトカムと評価:主要アウトカムであるランダム化後15日以内の臨床的悪化は、(1)息切れ、または息切れや肺炎による入院、(2)酸素飽和度が室温空気中で92%未満、または酸素飽和度を92%以上にするために補助酸素が必要、の両方の基準を満たすことで定義された。

結果:ランダムに割り付けられた患者 152例(平均[SD]年齢 46[13]歳、109[72%]女性)のうち、115例(76%)が試験を完了した。
臨床症状の悪化は、フルボキサミン群では80例中0例、プラセボ群では72例中6例に認められた。
生存率解析による絶対差 8.7%(95%CI 1.8%〜16.4%)、log-rank P=0.009
フルボキサミン群では重篤な有害事象が1件、その他の有害事象が11件発生したのに対し、プラセボ群では重篤な有害事象が6件、その他の有害事象が12件発生した。

結論と関連性:症状のあるCOVID-19の成人外来患者を対象としたこの予備的研究では、プラセボと比較して、フルボキサミンで治療した患者は、15日間の臨床的悪化の可能性が低かった。しかし、本研究はサンプル数が少なく、追跡期間が短いという制限があるため、臨床的な有効性を判断するには、より明確なアウトカム指標を用いた大規模なランダム化試験が必要である。

引用文献

Fluvoxamine vs Placebo and Clinical Deterioration in Outpatients With Symptomatic COVID-19: A Randomized Clinical Trial
Eric J Lenze et al. PMID: 33180097 PMCID: PMC7662481 (available on 2021-05-12)
Trial registration: ClinicalTrials.gov Identifier: NCT04342663.
JAMA. 2020 Dec 8;324(22):2292-2300. doi: 10.1001/jama.2020.22760.

関連記事

【COVID-19患者の支持療法への免疫グロブリン(IVIG)上乗せ効果はどのくらいですか?】

【中等度から重度COVID-19に対する標準治療へのコルヒチン追加効果はどのくらいですか?】

【COVID-19予防のための予防的抗凝固療法の早期開始は有効ですか?】

【COVID-19に対する抗ウイルス薬の効果はどのくらいですか?】

コメント

  1. […] […]

タイトルとURLをコピーしました