慢性蕁麻疹に対する第二世代抗ヒスタミン薬の有効性と忍容性に違いはありますか?(NMA; J Allergy Clin Immunol Pract. 2020)

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Comparative Efficacy and Acceptability of Licensed Dose Second-Generation Antihistamines in Chronic Spontaneous Urticaria: A Network Meta-Analysis

Phichayut Phinyo et al.

J Allergy Clin Immunol Pract. 2020 Sep 8;S2213-2198(20)30940-5. 

doi: 10.1016/j.jaip.2020.08.055. Online ahead of print.

PMID: 32916325

Comparative Efficacy and Acceptability of Licensed Dose Second-Generation Antihistamines in Chronic Spontaneous Urticaria: A Network Meta-Analysis - PubMed
Olopatadine, fexofenadine, bilastine, rupatadine, and levocetirizine demonstrate superior therapeutic efficacy to placeb...

DOI: 10.1016/j.jaip.2020.08.055

Keywords: Acceptability; Antihistamines; Chronic idiopathic urticaria; Chronic spontaneous urticaria; Comparison; Efficacy; Licensed dose; Network meta-analysis; Second-generation antihistamines; Systematic review.

背景

慢性自然発症性の蕁麻疹(Chronic spontaneous urticaria, CSU)に対する第一選択薬は、Licensed dose(承認範囲内用量)の第二世代H1-抗ヒスタミン薬(second-generation H1-antihistamines, sgAH)である。しかし、現在までのエビデンスでは、sgAHの有効性をランク付けするには不十分である。

目的

CSU治療におけるすべての許可された用量のsgAHの有効性と受容性を比較検討する。

方法

PubMed、Scopus、Cochrane Central Register of Controlled Trials、Web of Science で、2020 年 3 月までのCSU治療における承認範囲内用量のsgAHを含むランダム化比較試験(randomized controlled trials, RCTs)を検索した。

ネットワークメタアナリシスを実施し、有効性アウトカムに関する直接的エビデンスと間接的エビデンスの両方から標準化平均差(standardized mean difference, SMD)と95%信頼区間(confidence interval, CI)を推定した。

主要アウトカムは、ベースラインからの総症状スコア(total symptom score, TSS)の変化とした。

副次的アウトカムは、ベースラインからの掻痒症スコア(pruritus score)と膨疹スコア(wheal score)の変化とした。

妥当性はオッズ比を用いて推定した。

結果

・エビデンス合成のために、患者3,943例を対象としたRCT 22件を同定し、組み入れた。

・TSSに対して、オロパタジン、フェキソフェナジン、ビラスチン、ルパタジン、レボセチリジンはプラセボよりも有効性が高かった。

・すべての有効性アウトカムでは、オロパタジンが第1位であった。

  • TSS    :SMD -1.26、95%CI -1.94 ~ -0.58
  • 掻痒症スコア:SMD -0.82、95%CI -1.30 ~ -0.35
  • 膨疹スコア :SMD -0.65、95%CI -1.10 ~ -0.55

・包含されているすべてのsgAHの受容性(Acceptability)はプラセボに比べて劣っていなかった。

結論

オロパタジン、フェキソフェナジン、ビラスチン、ルパタジン、およびレボセチリジンは、CSU患者の治療においてプラセボよりも優れた治療効果を示した。

本試験に含まれるほぼすべての研究の質が低いか非常に低いため、本知見を確認するためには、厳密なHead to Head試験が必要である。

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背景

蕁麻疹は膨疹、すなわち紅斑を伴う一過性、限局性の浮腫が病的に出没する疾患であり、多くは痒みを伴います。

通常の蕁麻疹に合併して、あるいは単独に、皮膚ないし粘膜の深部を中心とした限局性浮腫は、特に血管性浮腫と呼ばれます・

蕁麻疹診療ガイドライン2018

https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/urticaria_GL2018.pdf

蕁麻疹の種類

蕁麻疹は、特発性蕁麻疹刺激誘発型蕁麻疹血管性浮腫に大別されます。

今回の試験の対象となった慢性蕁麻疹は、特発性蕁麻疹に含まれます。

慢性蕁麻疹の治療

慢性蕁麻疹の治療において、基本的な治療は抗ヒスタミン薬の内服、特に第二世代の抗ヒスタミン薬が用いられています。前述の蕁麻疹診療ガイドライン2018でも、使用が推奨されています。

今回の試験結果から明らかになったことは?

患者3,943例を対象としたRCT 22件が含まれたネットワークメタ解析の結果によれば、

TSSに対し、プラセボと比較して、オロパタジン、フェキソフェナジン、ビラスチン、ルパタジン、レボセチリジンは有効性の高さが示されました。中でもオロパタジンは、すべての有効性アウトカムで第1位でした。ただし、本試験に含まれるほぼすべての研究の質は「低い」あるいは「非常に低い」ことが示されています。

抗ヒスタミン薬の有効性・安全性は個人差が大きいことから、慎重に個別化を行う必要があります。とはいえ、治療満足度が低い場合にはオロパタジンの使用を考慮しても良いのかもしれません。

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✅まとめ✅ CSU患者の治療において、オロパタジンフェキソフェナジンビラスチンルパタジンレボセチリジンは、プラセボよりも優れた治療効果を示した

補足情報

TSSとは?

TSS(total symptoms score、総合症状スコア)とは、皮膚症状を定量化するためのスコアリング評価の1つです。

TSSの算出方法

発斑(紅斑、膨疹、総合)の総合スコア(4段階:0~3点)及び日中及び夜間の平均痒みスコア(5段階:0~4点)から、1日の合計スコア(0~7点)を算出します。

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