Sodium-glucose co-transporter-2 inhibitors and all-cause mortality: A meta-analysis of randomized controlled trials
Giovanni Antonio Silverii et al.
Diabetes Obes Metab. 2020 Dec 7. doi: 10.1111/dom.14286. Online ahead of print.
PMID: 33283969
DOI: 10.1111/dom.14286
Keywords: SGLT2 inhibitors; canagliflozin; dapagliflozin; empagliflozin; ertugliflozin; meta-analysis.
目的
本メタ解析は、ナトリウム-グルコース共輸送体-2(SGLT2)阻害薬の全死亡率への影響と、異なる試験および同クラスの分子間での違いを評価することを目的としている。
組入基準
治療期間が52週間を超え、各アームに少なくとも100例の患者が登録され、SGLT2 阻害薬をいずれかの対照薬またはプラセボと比較したすべてのランダム化臨床試験を対象とした。
結果
・識別された139、235、145の項目のうち、21件の試験が選択され、SGLT2阻害薬群に39,593例、比較薬群に30,771例の患者が登録され、治療期間の中央値は104週だった。
・SGLT2阻害薬群では2,474例、比較薬群では2,298例が死亡したと報告された。関連する不均一性は認められなかった(I2=17%)。
・SGLT2阻害薬による治療は、全死亡率の有意な減少と関連していた(MH-OR 0.86 [95%CI 0.81, 0.91];P<0.00001)。
・メタ回帰分析において、治療効果の有意な直接的関連が認められたのは、アジア人患者の登録割合のみであり、白人患者の登録割合とは逆の相関が認められた。
結論
ランダム化比較試験では、SGLT2阻害薬は全死亡率を減少させる。
コメント
SGLT-2阻害薬は、血糖低下作用だけでなく、腎機能の保護(eGFRの低下遅延)、心血管の保護(心筋梗塞や脳卒中の発生抑制など)効果を有していることが報告されています。さらに一部の臨床試験では総死亡リスクの低下についても報告されていますが、この効果がSGLT-2阻害薬としてのクラスエフェクトであるかは不明です。
さて、ランダム化比較試験21件を対象にした本試験結果によれば、SGLT-2阻害薬の使用は、全死亡リスクを低下させました。ただし、組み入れられた試験において、大規模臨床試験の占めるweightが大きく、したがって本メタ解析の結果は大規模臨床試験で得られた結果と一致しています。つまり本メタ解析の利点はほぼないと考えられます。個々の臨床試験を読み込んだ方が良いと考えます。
ちなみに大規模臨床試験としては、EMPA-REG OUTCOME、EMPEROR-reduced、VERTIS-CV、CANVAS、CREDENCEが対象となっています。いずれもランドマーク試験であり、ぜひ一度、目を通すことをオススメします。
✅まとめ✅
ランダム化比較試験において、SGLT2阻害薬の使用は全死亡率を減少させる
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