【批判的吟味】中等度から重度の関節リウマチ患者に対するJAK阻害薬の比較(NWM; Adv Ther. 2020)

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Comparative Efficacy of JAK Inhibitors for Moderate-To-Severe Rheumatoid Arthritis: A Network Meta-Analysis

Janet Pope et al.

Adv Ther. 2020 May;37(5):2356-2372. doi: 10.1007/s12325-020-01303-3. Epub 2020 Apr 15.

PMID: 32297280

PMCID: PMC7467453

DOI: 10.1007/s12325-020-01303-3

  1. 試験概要
  2. 論文の抄録
  3. PICOT
  4. 批判的吟味
    1. システマティックレビューの評価
      1. 使用したデータベースは?
      2. 元論文バイアスは?
        1. ランダム化比較試験か?
        2. バイアスリスクについて評価しているか?
      3. 評価者バイアスは?
        1. 各試験の評価は2名以上で実施しているか?
        2. 評価者間で意見が分かれた時は?
      4. 出版バイアスは?
        1. 言語制限は?
        2. 参考文献まで検索したか?
        3. 研究者や専門家に連絡を取ったか?
        4. 組み入れられた研究数は?
      5. 異質性バイアスは?
        1. PICOは事前に設定されていたか?
        2. 各研究の対象集団は似ているか?
        3. 統合可能なアウトカムか?
    2. ネットワークメタ解析の評価
      1. ネットワーク図はあるか?
        1. 閉じた環はあるか?
        2. 比較毎の研究数(サンプルサイズ)は?
      2. 直接・間接比較を区別して記載しているか?
      3. 直接比較と間接比較で結果は一致しているか?
      4. 資金源やCOIは開示されているか?
  5. 結果およびコメント
    1. 結果
    2. コメント
  6. ✅まとめ✅ 3種類のJAK阻害薬(ウパダシチニブ、トファシチニブ、バリシチニブ)に対する間接的な治療比較アプローチの結果、ウパダシチニブ 15mg +csDMARD併用は、12週および24週の両時点で、すべての併用療法の中で数値的に最も高いACR反応率、DAS28-CRP寛解率を示し、単剤療法の中では、ウパダシチニブ 15mgのACR反応率がトファシチニブ 5mg のACR反応率よりも数値的に高いことが示された

試験概要

論文の抄録

中等度から重度の関節リウマチ患者に対するJAK阻害薬の比較(NWM; Adv Ther. 2020)
JAK阻害薬は、RAの標的治療薬の一つであり、臨床的な有効性が確立されている。しかし,それぞれの有効性についてはほとんど知られていない。 本NMAでは、関節リウマチで承認されているJAK阻害薬の有効性を比較検討した。

原著論文PDF▶️https://link.springer.com/content/pdf/10.1007/s12325-020-01303-3.pdf

Supplementary file▶️https://static-content.springer.com/esm/art%3A10.1007%2Fs12325-020-01303-3/MediaObjects/12325_2020_1303_MOESM1_ESM.docx

PICOT

  • P :成人患者(18歳≦)で、中等度から重度のRAのACR分類基準を満たし、少なくとも1つのcsDMARDに不十分な反応を示したか、不耐性であった患者。bDMARDs使用歴のある患者の割合が少ない試験(≦20%)が含まれた
  • I/C:csDMARD
    • バリシチニブ 2mg(1日1回 投与)
    • バリシチニブ 4mg(1日1回 投与)
    • バリシチニブ 2mg + csDMARD
    • バリシチニブ 4mg + csDMARD
    • トファシチニブ 5mg(1日2回 投与)
    • トファシチニブ 5mg + csDMARD
    • ウパダシチニブ 15mg(1日1回 投与)
    • ウパダシチニブ 15mg + csDMARD
  • O :ACR 20/50/70 反応率(12〜14週あるいは24〜26週)
    • 臨床的寛解(DAS28-CRP<2.6) 反応率(12〜14週あるいは24〜26週)
  • T :第Ⅲ相ランダム化比較試験

批判的吟味

システマティックレビューの評価

使用したデータベースは?

  1. MEDLINE
  2. MEDLINE In-Process
  3. EMBASE
  4. Cochrane databases
    ※すべて2019年4月1日までの論文が対象

元論文バイアスは?

ランダム化比較試験か?

⭕️ :試験デザインはすべて第Ⅲ相ランダム化比較試験

バイアスリスクについて評価しているか?

🔺:不明

評価者バイアスは?

各試験の評価は2名以上で実施しているか?

🔺:明確な記載はないが「Medical Writing, Editorial and Other Assistance」から、7〜8名以上で実施されていると考えられる。

評価者間で意見が分かれた時は?

🔺:不明

出版バイアスは?

言語制限は?

🔺:不明

参考文献まで検索したか?

すべてのデータベースは、FDA/EMAが承認したすべてのRA治療法の臨床試験を特定するために、フルテキスト用語とMedical Subject Headingtermsを使用してOvidプラットフォームで検索された。また、臨床試験の登録番号(すなわち、National ClinicalTrial番号)と試験名、関連する会議の議事録、登録機関のウェブサイトを用いたハンドサーチによっても補完された。

研究者や専門家に連絡を取ったか?

🔺 不明

組み入れられた研究数は?
  1. 12〜14週
    ACR 20/50/70     :RCT 11件
    DAS28-CRP Outcomes:RCT 9件
  2. 24〜26週
    ACR 20/50/70     :RCT 7件
    DAS28-CRP Outcomes:RCT 7件

異質性バイアスは?

PICOは事前に設定されていたか?

🔺:不明

各研究の対象集団は似ているか?

⭕️:年齢及び疾患の重症度は同様

統合可能なアウトカムか?

⭕️:ACR 20/50/70DAS28-CRP Outcomesともに可能であると判断した

ネットワークメタ解析の評価

ネットワーク図はあるか?

閉じた環はあるか?

⭕️:ただし1つのみ

比較毎の研究数(サンプルサイズ)は?

各ネットワークメタ解析について、モデルは3つの連鎖と1連鎖あたり50,000個の事後サンプルで実行されました。

  1. 12〜14週
    ACR 20/50/70     :RCT 11件(Supplementary Figure 3)
    DAS28-CRP Outcomes:RCT 9件(Supplementary Figure 4)
  2. 24〜26週
    ACR 20/50/70     :RCT 7件
    DAS28-CRP Outcomes:RCT 7件

直接・間接比較を区別して記載しているか?

該当なし:過去の試験は間接比較のみ

直接比較と間接比較で結果は一致しているか?

該当なし:同上

資金源やCOIは開示されているか?

資金提供:AbbVie。
AbbVieはデータの解釈、レビュー、およびプレゼンテーションの承認に参加した。すべての著者は、プレゼンテーションの開発に貢献し、最終的な内容の管理を主に行った。ラピッドサービスおよびオープンアクセス料はAbbVieによって資金提供されました。

COI:AbbVie以外は不明。著者にAbbVieの社員が含まれているため、AbbVieのみかもしれない。AbbVieはウパダシチニブ(リンヴォック®️)を製造販売している。

※各治療法の総合的な順位を評価するために、累積順位曲線(SUCRA)の下の面を使用しました。

結果およびコメント

結果

  1. 3種類のJAK阻害薬(ウパダシチニブ、トファシチニブ、バリシチニブ)はcsDMARDよりも有意に優れた有効性を示した
  2. 併用療法の中では、ウパダシチニブ15mgが最も高い12週目のACR50奏効率を示した(中央値[95%信頼区間]:43.4%[33.4%、54.5%])
    次いでトファシチニブ5mg(38.7%[28.6%、49.8%])、
    バリシチニブ2mg(37.1%[25.0%、50.6%])、
    バリシチニブ4mg(36.7%[27.2%、47.0%])であった。
    ACR20/70および24週目にも同様の結果が観察された。
  3. ウパダシチニブ15mg+csDMARDは12週目に最も高い臨床寛解率を示した(29.8%[16.9%、47.0%])、
    次いでトファシチニブ5mg(24.3%[12.7%、40.2%])、
    バリシチニブ4mg(22.8%[11.8%、37.5%])、
    バリシチニブ2mg(20.1%[8.6%、37.4%])であった。
    24週目にも同様の結果が得られた。
  4. 単剤療法のうち、ウパダシチニブはトファシチニブ(30.4%[18.3%、45.5%])よりも高いACR50奏効率(38.5%[25.3%、53.2%])を示した。
  5. 有効性指標の差は、JAK阻害薬間では統計的に有意ではなかった

コメント

本ネットワークメタ解析は内的妥当性がやや低いと考えます。これは、論文あるいはsupplementary appendixの記載で不足している部分が大きいことに起因していると考えます。

ネットワークメタ解析はrandom-effects modelで実施されました。これは、異質性が高い場合を考慮したためのようです。事実、試験デザインと患者特性において、異質性が認められた点が試験の限界(制限)に示されています。ただし、解析時の異質性がどの程度であったかは示されていません。

直接比較試験がなく、また短期間での検討結果であることから致し方ない面もあると考えます。

現状ではJAK阻害薬間の比較に関する情報が少ないため、本試験は意義のある結果であると考えられます。しかし、SR&MA(NMA)の試験デザインの質の低さ、COIからメーカー主導であることが伺える点など、内的妥当性の低さは否めません。また、情報検索は2019年4月1日までであり、JAK阻害薬の中でもウパダシチニブ、トファシチニブ、バリシチニブについて検討されました。さらに、現在では5種類のJAK阻害薬が上市されているため、残りの2種類も含めた評価が必要であると考えます。

今後のエビデンス集積が待たれるところです。

✅まとめ✅ 3種類のJAK阻害薬(ウパダシチニブ、トファシチニブ、バリシチニブ)に対する間接的な治療比較アプローチの結果、ウパダシチニブ 15mg +csDMARD併用は、12週および24週の両時点で、すべての併用療法の中で数値的に最も高いACR反応率、DAS28-CRP寛解率を示し、単剤療法の中では、ウパダシチニブ 15mgのACR反応率がトファシチニブ 5mg のACR反応率よりも数値的に高いことが示された

コメント

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