Reduced vascular events in type 2 diabetes by biguanide relative to sulfonylurea: study in a Japanese Hospital Database
Makito Tanabe et al.
BMC Endocr Disord. 2015 Sep 17;15:49. doi: 10.1186/s12902-015-0045-y.
PMID: 26382923
PMCID: PMC4574461
DOI: 10.1186/s12902-015-0045-y
背景
2 型糖尿病(T2DM)の心血管疾患(CVD)リスクを低下させることが示唆されている経口血糖降下剤(OHA)がある。
本研究では、日本の多施設共同医療費算定データベースのコホート解析において、経口血糖降下剤がCVDリスクに影響を与えるかどうかを検証した。
方法
研究1では4,095例、研究2では1,273例のT2DM患者のデータを、以下の条件に基づいてデータベースから抽出した。
- OHA(スルホニルウレア、ビグアナイド、チアゾリジンジオン、α-グルコシダーゼ阻害剤、グリニド、ジペプチジルペプチダーゼ-4阻害剤)の単剤治療を開始し、~1-1.4年間服薬を継続している。
- ベースライン時のヘモグロビン(Hb)A1c値の有無
- ベースライン時の年齢は40~70歳
- CVD歴の有無は試験1では考慮されなかったが、試験2ではCVD歴の有無が考慮された。
ICD-10に基づくCVDリスクに対するスルホニルウレアと比較したOHAの効果を104週間のKaplan-Meier曲線を用いて分析した。
結果
CVDの既往歴の有無にかかわらず、T2DM患者を対象とした試験1では、ビグアナイド系薬剤の初回およびベースライン治療はスルホニルウレア系薬剤と比較してCVDリスクを有意に低下させ、HbA1cコントロールとは無関係であった。
試験2では、CVDの既往歴のあるT2DM患者において、スルホニルウレア剤と比較してビグアナイド系薬剤のCVDリスクに対する有意な予防効果が認められた。
結論
日本人のT2DM患者において、ビグアナイドによる初回治療およびベースライン治療は、ビグアナイドの血糖降下作用とは無関係にスルホニルウレア剤に比べてCVDリスクを低下させることが可能であった。
コメント
以前から、ビグアナイド、特にメトホルミン使用により心血管イベント低下の可能性が報告されています。しかし、日本人を対象とした研究は少なく、エビデンスの集積が待たれるところです。
さて、2015年に報告された本試験結果によれば、あくまでも仮説生成的な結果ではありますが、他の経口血糖降下剤と比較して、ビグアナイド使用により、104週間のCVDリスクを有意に低下させました。
本文のFig. 3がわかりやすいですね。ハザード比は0.603(95%CI 0.439〜0.829、P=0.002)とのこと。
ただし、あくまでも相関関係であること、プラセボとの比較ではないこと、そもそもSU薬で心血管イベント増加の報告もあること、が本研究の限界であると考えます。
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