中等度から重度のアトピー性皮膚炎を有する成人および青年に対するアブロシチニブの有効性と安全性はどのくらいですか?(Phase Ⅲ; DB-RCT; JADE MONO-1; Lancet2020)

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Efficacy and safety of abrocitinib in adults and adolescents with moderate-to-severe atopic dermatitis (JADE MONO-1): a multicentre, double-blind, randomised, placebo-controlled, phase 3 trial

Eric L Simpson et al.

Lancet. 2020 Jul 25;396(10246):255-266. doi: 10.1016/S0140-6736(20)30732-7.

PMID: 32711801

DOI: 10.1016/S0140-6736(20)30732-7

This study is registered with ClinicalTrials.gov, NCT03349060.

Funding: Pfizer.

背景

経口選択的ヤヌスキナーゼ(JAK) 1 阻害薬であるabrocitinib(アブロシチニブ)は、第2b相試験において、中等度から重度のアトピー性皮膚炎を有する成人を対象に有効性と忍容性が認められた。

我々は、中等度から重度のアトピー性皮膚炎を有する青年期および成人を対象に、アブロシチニブ単剤療法の有効性と安全性を検討することを目的とした。

方法

この多施設共同二重盲検ランダム化第3相試験(JADE MONO-1)では、体重40kg以上の中等度から重度のアトピー性皮膚炎(Investigator Global Assessment スコア 3以上、Eczema Area and Severity Index [EASI]スコア 16以上、体表面積の影響を受けた割合 10%以上、Peak Pruritus Numerical Rating Scale スコア 4以上)の患者(12歳以上)が、オーストラリア、カナダ、欧州、米国の69施設に登録された。

患者は、アブロシチニブ100mg、アブロシチニブ200mg、またはプラセボ(いずれも1日1回 12週間)へランダムに(2:2:1)割り付けられた。

ランダム化は、ベースラインの重症度と年齢で層別化された対話型応答技術システム(interactive response technology system, IRTS)を用いて行われた。

患者、治験責任医師、および本試験の資金提供者は、試験の治療法をマスキングされた。

複合一次エンドポイント(coprimary endopoint)は、Investigator Global Assessmentの奏効(ベースラインから2グレード以上の改善が認められたスコアが0[クリア]または1[ほぼクリア])を達成した患者の割合と、EASIスコア(EASI-75)のベースラインからの75%以上の改善を達成した患者の割合であり、いずれも12週目に評価された。

有効性は、少なくとも試験薬を1回投与されたすべてのランダム化患者を含む完全解析セットで評価された。安全性はすべてのランダム化患者で評価された。

所見

・2017年12月7日から2019年3月26日までの間に、患者387例が登録され、アブロシチニブ 100mgが156例、200mgが154例、プラセボが77例だった。

・登録されたすべての患者は、少なくとも1回の治療を受けたため、12週間の有効性を評価することができた。12週目の複合一次エンドポイントのデータが得られた患者のうち、Investigator Global Assessmentで奏効した患者の割合は、アブロシチニブ100mg群がプラセボ群に比べて有意に高く(37/156例 24%、6/76例 8%、p=0.0037)、アブロシチニブ 200mg群がプラセボ群に比べて高かった(67/153例 44%、6/76例 8%、p<0.0001)。

・12週目に複合一次エンドポイントのデータが得られた患者のうち、EASI-75の奏効を示した患者の割合は、アブロシチニブ 100mg群(62/156例 [40%] vs. 9/76例 [12%]、p<0.0001)およびアブロシチニブ 200mg群(96/153例 [63%] vs. 9/76例 [12%]、p<0.0001)でプラセボ群と比較して有意に高くなっていた。

・有害事象は、アブロシチニブ100mg群で156例中108例(69%)、アブロシチニブ200mg群で154例中120例(78%)、プラセボ群で77例中44例(57%)に報告された。重篤な有害事象は、アブロシチニブ 100mg群 156例中5例(3%)、アブロシチニブ 200mg群 154例中5例(3%)、プラセボ群 77例中3例(4%)に報告された。治療関連死は報告されなかった。

解釈

中等度から重度のアトピー性皮膚炎を有する青年および成人を対象に、アブロシチニブの1日1回経口投与による単剤療法は有効であり、忍容性も良好であった。

コメント

アトピー性皮膚炎に対する治療薬の開発が活発に行われています。中でも経口JAK阻害薬による治療に注目が集まっており、既存薬の適応拡大を目的とした臨床試験も進んでいます。

さて、本試験結果により、経口JAK1阻害薬であるアブロシチニブは、プラセボと比較し、12週目における複合一次エンドポイント(Investigator Global AssessmentおよびEASI-75)の有意な奏功が示されました。また本結果は用量依存的な奏功であると考えます。一方で、有害事象についても、用量依存的な傾向がみられますので、この点は引き続き追って行きたいところです。

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✅まとめ✅ 中等度から重度のアトピー性皮膚炎を有する青年および成人に対するアブロシチニブ単剤療法は、プラセボと比較して、12週目の複合一次エンドポイントにおける有意な奏功を示した

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