ビタミンK拮抗薬からのDOAC変更による心房細動患者のQOL変化への影響はどのくらいですか?(RCT; Little to GAInN trial; Thromb Res. 2020)

Quality of Life After Switching From Well-Controlled Vitamin K Antagonist to Direct Oral Anticoagulant: Little to GAInN

Jasper H A van Miert et al.

Thromb Res. 2020 Jun;190:69-75. doi: 10.1016/j.thromres.2020.04.007. Epub 2020 Apr 14.

PMID: 32315869

DOI: 10.1016/j.thromres.2020.04.007

Keywords: Anticoagulants; Atrial Fibrillation; Coumarins; Factor Xa inhibitors; Quality of life.

背景

直接経口抗凝固薬(DOAC)とビタミンK拮抗薬(VKA)は心房細動(AF)における血栓塞栓症を予防する。

DOACは投与量が固定されており、INRのモニタリングが不要である。したがって、DOACはおそらくVKAよりもQOL(Quality of Life)への影響が少ないと考えられる。しかし、VKAのユーザーの中にはモニタリング実施を評価するヒトもいる。

治療域(the therapeutic range, TTR)が高いほどQoLへの影響は小さい。

我々は、良好に管理されたVKAからDOACへの切り替えがQoLに及ぼす影響を評価した。

方法

GAInN試験では、心房細動、TTRが70%以上で、VKA投与中に出血も血栓症も認められなかった心房細動患者241例を、DOACへの切り替え(n = 121)またはVKAの継続(n = 120)にランダム割り付けした。

健康関連(SF-36)および抗凝固療法関連のQoL(PACT-Q)をベースライン時および6ヵ月後と12ヵ月後の追跡調査で評価した。

結果

・SF-36の増加は群間で差がなかった。1年後の平均PACT-Q Convenienceの改善度はDOACで2.5(0.3~4.7)高かった。

・DOAC使用者は、ベースライン時のスコアが95/100未満の患者では22%ポイント(pp.)(95%CI 1〜43)で、利便性で5ポイント以上改善する可能性が6pp.(95%CI -4〜16)高かった。

・PACT-Q満足度が有意に改善する確率はDOACで12pp.(95%CI 0-25)高かった。しかし、DOAC使用者の5例(4.1%)と4例(3.3%)は、副作用と患者の嗜好を理由にVKAを再開した。

結論

心房細動に対して良好にコントロールされたVKAからDOACへの切り替えは、PACT-Qの利便性と満足度を向上させる確率を高めるが、副作用のリスクも高くなる。VKAに満足していない患者だけがスイッチすべきであり、スイッチすることで得られるものが大きいからである。

コメント

DOACの登場により、心房細動の治療は大きく様変わりしました。今回の研究では、ビタミンK拮抗薬からDOACに変更した場合と、ビタミンK拮抗薬による治療を継続した場合とを比較しています。

さて、試験結果によれば、ビタミンK拮抗薬からのDOAC変更により、康関連のQoL(SF-36)に差はなく、抗凝固療法関連のQoL(PACT-Q)を向上させる可能性が示されました。一方、DOACへの変更により、DOAC群の4.1%(5例)が副作用のためビタミンK拮抗薬による治療を再開しています。

著者も述べていますが、ビタミンK拮抗薬により良好にコントロールされている心房細動患者においては、DOACへ変更する意義は少ないかもしれません。納豆や生野菜を食べたい、血液検査の頻度を減らしたい、INRが安定しない等、患者の希望やビタミンK拮抗薬によるコントロール不良な場合に、ビタミンK拮抗薬からDOACへ変更した方が良いかもしれません。

✅まとめ✅ 心房細動患者におけるビタミンK拮抗薬からDOACへの切り替えは、ビタミンK拮抗薬の継続と比較して、健康関連のQoLに差はなく、抗凝固療法関連のQoLを向上させる可能性があるが、副作用リスクが増加する可能性があった

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