Association of Azithromycin Use With Cardiovascular Mortality
Jonathan G Zaroff et al.
JAMA Netw Open. 2020 Jun 1;3(6):e208199. doi: 10.1001/jamanetworkopen.2020.8199.
PMID: 32585019
PMCID: PMC7301226
DOI: 10.1001/jamanetworkopen.2020.8199
試験の重要性
アジスロマイシンは米国で最も一般的に処方されている抗生物質の一つである。いくつかの観察研究では、心血管死のリスクの増加と関連している。
目的
心血管イベントを増加させることが知られていない抗生物質であるアモキシシリンと比較して、外来でアジスロマイシンを処方された後の心血管および心臓突然死の相対リスクおよび絶対リスクを推定すること。
試験デザイン、設定、参加者
このレトロスペクティブコホート研究は、1998年1月1日から2014年12月31日までの処方およびencountersを包括的に捉えた、大規模で多様性に富んだ地域密着型の統合ケアデリバリーシステム 2施設を対象とした。
このコホート研究では、抗生物質に曝露される前に少なくとも12ヶ月間健康保険プランに加入していた30~74歳の患者を対象とした。除外基準は、処方箋給付金の不在、10日以内に1種類以上の試験用抗生物質を処方されていること、入院または介護施設に居住していること、重篤な病状であった。
アジスロマイシン vs. アモキシシリン曝露に関連する心血管死のリスクは、交絡因子をプロペンシティスコアを用いてコントロールした後に算出した。2016年12月1日から2020年3月30日までのデータを解析した。
曝露
アジスロマイシンまたはアモキシシリンの外来処方。
主要アウトカムおよび測定法
主要アウトカムは心血管死と心臓突然死であった。事前設定サブグループ分析により、ベースラインの心血管系リスクが増加した患者におけるアジスロマイシン曝露の影響を定量化した。副次的アウトカムは非心血管死および全死亡であった。
結果
・この研究では、2,929,008例のユニークな個人(平均[SD]年齢 50.7[12.3]歳、女性1,810,127例[61.8%])のうち、アジスロマイシン 1,736,976例(22.2%)およびアモキシシリン 6,087,705例(77.8%)を含む 7,824,681例の抗生物質曝露が含まれていた。
・アジスロマイシンは、曝露後5日以内の心血管死のハザード(ハザード比[HR] =1.82、95%CI 1.23〜2.67)の有意な増加と関連していたが、心臓突然死(HR =1.59、95%CI 0.90〜2.81)は認められなかった。リスク増加は曝露から6~10日後には認められなかった。心血管リスクの上位10位以内の患者でも同様の結果が観察された(HR =1.71、95%CI 1.06〜2.76)。アジスロマイシンはまた、曝露後5日以内に非心血管死(HR =2.17、95%CI 1.44~3.26)および全死亡(HR =2.00、95%CI 1.51~2.63)のリスク増加と関連していた。
結論と関連性
これらの所見から、外来でのアジスロマイシン使用は心血管死および非心血管死のリスク増加と関連していることが示唆された。特に非心血管死については、残留交絡の可能性があるため、因果関係を立証することはできない。
コメント
アジスロマイシンと心血管死リスクについては、2012年にも同様の報告がされています。しかし、観察研究の報告であることから因果の逆転の可能性、およびサンプルサイズの問題が挙げられます。
さて、本試験結果によれば、アジスロマイシンは、曝露後5日以内の心血管死のハザード(ハザード比[HR] =1.82、95%CI 1.23〜2.67)の有意な増加と関連していました。一方、心臓突然死(HR =1.59、95%CI 0.90〜2.81)との関連性は認められませんでした。
また、アジスロマイシンの使用は、曝露後5日以内の非心血管死(HR =2.17、95%CI 1.44~3.26)および全死亡(HR =2.00、95%CI 1.51~2.63)のリスク増加と関連していました。
心臓突然死のハザード比については、有意差はないものの、ハザード比 1.59(95%CI 0.90〜2.81)とリスクは増加傾向です。
もちろん因果の逆転、未調整の交絡因子の可能性が残っています。また死亡との関連性については、特に調整が困難であると考えます。
続報を待ちたい。
コメント
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