頭蓋内出血既往のある心房細動患者におけるワルファリン使用と経口抗凝固薬(非ビタミンK拮抗薬)使用と虚血性脳卒中、大出血およびその他の有害事象との関連性はどのくらいですか?(台湾 人口ベース コホート研究; JAMA Netw Open. 2020)

Association of Ischemic Stroke, Major Bleeding, and Other Adverse Events With Warfarin Use vs Non-vitamin K Antagonist Oral Anticoagulant Use in Patients With Atrial Fibrillation With a History of Intracranial Hemorrhage

Chuan-Tsai Tsai et al.

JAMA Netw Open. 2020 Jun 1;3(6):e206424. doi: 10.1001/jamanetworkopen.2020.6424.

PMID: 32478848

DOI: 10.1001/jamanetworkopen.2020.6424

試験の重要性

現在のガイドラインでは、心房細動(atrial fibrillation, AF)患者の脳卒中予防のために非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(non-vitamin K antagonist oral anticoagulants, NOACs)の使用が推奨されている。心房細動患者で頭蓋内出血(intracranial hemorrhage, ICH)の既往がある場合のワルファリンナトリウムの使用とNOACの使用に関するデータは限られている。

目的

全国の心房細動患者コホートを用いて、ICH既往のある心房細動患者におけるワルファリン使用とNOACs使用の臨床転帰を比較する。

試験デザイン、設定、参加者

台湾国民健康保険研究データベースのデータを用いて、2012年1月1日から2016年12月31日までの全国コホート研究を実施した。解析日は2019年7月1日~9月1日とした。

試験集団は、ICHの既往歴を有する心房細動患者で、CHA2DS2-VAScスコア(うっ血性心不全、高血圧、年齢≧75歳[2倍]、糖尿病、脳卒中/一過性脳虚血発作/血栓塞栓症の既往[2倍]、血管疾患[心筋梗塞の既往、末梢動脈疾患]、年齢65~74歳、性別区分[女性])が男性で1以上、女性でワルファリンまたはNOACsの投与を受けている患者で2以上の患者を対象とした。

臨床転帰は、傾向スコア照合の前後の研究集団においてCox比例ハザード回帰分析を用いて検討した。

曝露

ワルファリンまたはNOACによる経口抗凝固療法。

主要アウトカムおよび測定方法

測定された臨床アウトカムは、全死亡、虚血性脳卒中、ICH、大出血、有害事象であった。

結果

・本試験コホートには患者4,540例が含まれていた。試験コホートは4,540例(平均[SD]年齢76.0[10.5]年、男性2,653例[58.4%])で、ワルファリン投与1,047例(平均[SD] 年齢75.1[11.4]歳、男性571人[54.5%])とNOAC投与3,493例(平均[SD] 年齢76.3[10.2]歳、男性2,082例[59.6%])が含まれていた。

・ワルファリン使用と比較して、NOAC使用は全死亡(調整後ハザード比[aHR] =0.517、95%CI 0.457~0.585)、ICH(aHR =0.556、95%CI 0.389〜0.796)、大出血(aHR =0.645、95%CI 0.525〜0.793)のリスクを有意に低下させたが、虚血性脳卒中の発生率は2群でほぼ同程度であった(aHR =0.879、95%CI 0.678〜1.141)。

これらの結果は、各群973例の間で傾向スコアマッチングを行った後、概ね一貫していた。

結論と関連性

ICH既往のある心房細動患者では、NOAC使用はワルファリン使用に比べてICHと大出血の発生率が低かったが、虚血性脳卒中の発生率は2群で同程度であった。

ICH既往のある心房細動患者においては、脳卒中予防のためにNOACが好ましい選択である可能性がある。

コメント

心房細動患者における虚血性脳卒中の長期的な予防戦略は、基本的に抗凝固薬が中心となります。ただし、病状と出血リスクの評価を行い、場合によっては薬剤の変更や注視が必要となることがあります。

さて、今回の研究結果では、頭蓋内出血(ICH)既往のある心房細動患者において、NOAC使用はワルファリン使用に比べてICHと大出血の発生率が低かったとのこと。また虚血性脳卒中の発生率は同様ようでした。あくまでも仮説生成的な結果ですが、ICH既往がある場合は、NOAC(DOAC)を使用した方が良いのかもしれません。ただし、DOACのコストはワルファリンと比較して、かなり高価です。また過去の報告では、医療従事者と患者とでは、出血リスクの捉え方が異なるようで、患者はそれほど出血リスクを気にしていない(脳卒中リスクの方がより重要と捉えている)ようです。患者と相談し個々に決定していく方が良さそうですね。

✅まとめ✅ ICH既往のある心房細動患者では、NOAC使用はワルファリン使用に比べてICHと大出血の発生率が低かったが、虚血性脳卒中の発生率は両群間で同程度だった

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