Effect of Academic Detailing on Promoting Appropriate Prescribing of Antipsychotic Medication in Nursing Homes: A Cluster Randomized Clinical Trial
Mina Tadrous et al.
JAMA Netw Open. 2020 May 1;3(5):e205724. doi: 10.1001/jamanetworkopen.2020.5724.
PMID: 32453383
PMCID: PMC7251442
DOI: 10.1001/jamanetworkopen.2020.5724
Trial registration: ClinicalTrials.gov Identifier: NCT02604056.
試験の重要性
抗精神病薬の不適切な処方を減らす戦略は近年注目されているが、その有効性にはかなりのばらつきがある。
目的
抗精神病薬の適切な処方を目標とした介護施設におけるアカデミック・ディテーリングの有効性を評価すること。
試験デザイン、設定、参加者
カナダのオンタリオ州にある居住者5,363例を有する40の介護施設において、アカデミック・ディテーリングと通常ケアの抗精神病薬処方への効果を比較する、実用的なクラスターランダム化臨床試験を実施した。
データは2015年10月~2016年3月に収集し、2018年4月~8月に分析した。
一次解析はintention to treatを用いて行った。
介入
会議(管理者、医師、薬剤師、看護師、サポートワーカーとの実施)、プレゼンテーション、グループ訪問(臨床家2〜6名と実施)、1対1の訪問(従来のアカデミック・ディテーリング訪問)を手配した医療専門家(例:看護師または薬剤師)が提供したアカデミック・ディテーリング。
アカデミック・ディテーリング担当者は、開始時から介護施設と直接かつ継続的に接触していた。
主要アウトカムと測定方法
主要アウトカムは、入居者のレベルで定義され、過去1週間に継続的な抗精神病薬が処方されたかどうかであった。
副次的転アウトカムとして、他の向精神薬の処方、臨床的アウトカムとスコアが含まれていた。
処方アウトカムはベースライン時、3ヵ月、6ヵ月、12ヵ月時に、臨床アウトカムとスコアはベースライン時、3ヵ月、6ヵ月時に評価した。
結果
・合計40施設、入所者5,363例を有する介護施設がランダムに割り付けられ、介入群18施設(45.0%;入所者2,303例[42.9%])と対照群22施設(55.0%;入所者3,060例[57.1%])に割り付けられた。
・介入群と対照群の参加者の年齢(中央値(四分位の範囲))と性別(男性674例[29.3%] vs. 男性970例[31.7%])は同程度であった。
・12ヵ月時点では、毎日の抗精神病薬使用頻度に統計学的に有意な差は認められなかった(介入569例[25.2%] vs. 照群769例[25.6%])。
★オッズ比 =1.06、95%CI 0.93~1.20;P=0.49
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・ヘルスケア利用率に有意差はなかったが、介入群は対照群と比較して、6ヵ月後の疼痛(平均[SD]疼痛スコア 0.30[0.59] vs. 0.38[0.66]、P < 0.001)および抑うつ状態(平均[SD]抑うつ評価尺度スコア 2.18[2.37] vs. 2.81[2.65]、P < 0.001)の統計学的に有意な減少を経験した。
結論および関連性
介入は、通常のケアと並行して行われているシステムレベルの長期トレンドを超えて、介護施設における抗精神病薬の処方をさらに減らすことはできなかった。
我々の所見は、介入のタイミングとトピックを考慮した、アカデミック・ディテーリングを含む質の向上戦略へのより的を絞ったアプローチの必要性を強調している。
コメント
Academic Detailing(アカデミック・ディテーリング)とは、医療従事者に対する教育的なアウトリーチ(積極的に対象者の居る場所に出向いて働きかけること)の手法です。訓練を受けたAcademic Detailer(情報提供者)が、医師(特にプライマリ・ケア医)に医薬品や薬物治療に関し有効性・安全性・費用対効果を考慮した適切な臨床上の判断が行えるように支援・推進する活動のことを指します。
今回の研究の場合、情報提供者は看護師および薬剤師、アウトリーチ先は会議など、医療従事者が集まるところでした。
さて、試験結果によれば、介入群に割り付けられた介護施設集団では、対照群と比較して、12ヵ月時点における抗精神病薬の使用頻度を減らすことはできませんでした。
アカデミック・ディテーリング単独の介入では、効果がない(あるいは効果が薄い)のかもしれません。他の介入方法や、著者が述べているような介入のタイミング、トピックを考慮した支援が必要なのかもしれません。
引き続き追っていきたい分野です。
コメント
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