Effect of Uric Acid Levels on Mortality in Japanese Peritoneal Dialysis Patients
Naoki Sugano et al.
Perit Dial Int. 2020 Jun 5;896860820929476. doi: 10.1177/0896860820929476. Online ahead of print.
PMID: 32500808
Keywords: Mortality; peritoneal dialysis; residual renal function; urate-lowering treatment; uric acid.
背景
一般集団の状況とは異なり、血液透析を受けている患者のほとんどの研究では、より低い尿酸がより高い死亡率と関連していることが報告されている。しかし、腹膜透析(PD)を受けている患者では、尿酸レベルと死亡率との関係は不明なままである。
方法
2012年末に日本全国の透析登録から有病率の高いPD患者4,742例(年齢 63±14歳、男性 61.5%、糖尿病 29.1%、透析期間中央値 28ヵ月)のベースラインデータを収集した。
感染症による1年間の全死亡率および心血管(CV)死亡率をそれぞれCox回帰分析および競合リスク回帰分析を用いて評価した。
欠落した共変量データを処理するために多重入力を使用した。
結果
・1年以内に死亡した患者は379例(8.0%)で、その内訳は、心房細動が原因の129例(2.7%)、感染症が原因の95例(2.0%)であった。
・多変量解析では、連続変数として扱われた血清尿酸は、いかなる転帰とも関連していなかった。
・逆に、血清尿酸をカテゴリカル変数として扱った解析では、低値(<297 μmol/L)および高値(≥476 μmol/L)の尿酸レベルは、基準群(416~446 μmol/L)と比較して、より高い全死亡率と独立して関連していた。
・体格指数(BMI)は血清尿酸と全死亡率との関連に影響を与えた(相互作用p=0.049)。
結論
日本人PD患者における尿酸値と全死亡率の間にはU字型の関係が存在するようである。さらに、BMIの低下は、死亡率に対する尿酸レベルの効果を有意に高めた。
コメント
尿酸値と死亡リスクとの関係については、過去にも報告されています。結果はある程度一貫しており、高すぎても低すぎても死亡リスクが高くなる可能性が示されています。ただし、いずれも観察研究であり、あくまでも相関関係です。また因果の逆転の可能性が高いと考えられます。
さて、今回の試験結果では、日本人腹膜透析患者において、尿酸値297 μmol/L(5 mg/dL)、あるいは476 μmol/L(8 mg/dL)の患者集団において、416 μmol/L(7 mg/dL)〜446 μmol/L(7.5 mg/dL)と比較して、死亡リスクが増加していました。
過去の報告と矛盾しませんが、やはり因果の逆転や未知の交絡因子の可能性を排除できません。
続報に期待。
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