第Xa因子阻害剤による頭蓋内出血に対するプロトロンビン濃縮製剤の効果はどのくらいですか?(後向きコホート研究; Circulation. 2020)

Factor Xa Inhibitor-Related Intracranial Hemorrhage: Results From a Multicenter, Observational Cohort Receiving Prothrombin Complex Concentrates

Nicholas G Panos et al.

Circulation. 2020 May 26;141(21):1681-1689. doi: 10.1161/CIRCULATIONAHA.120.045769. Epub 2020 Apr 8.

PMID: 32264698

DOI: 10.1161/CIRCULATIONAHA.120.045769

Keywords: anticoagulants; cerebral hemorrhage; subarachnoid hemorrhage.

背景

経口第 Xa 阻害薬が承認されて以来、頭蓋内出血(ICH)後の抗凝固作用を中和できるかどうかが懸念されてきた。

複数のガイドラインでは、限られた数のICH患者を対象とした研究に基づいて、これらの患者にプロトロンビン複合体濃縮物(prothrombin complex concentrates, PCCs)を使用することを提案している。

このような状況を踏まえ、我々は多施設大規模コホートを対象に、第 Xa 阻害薬関連のICH患者に対するPCCの安全性と有効性を評価することを目的とした。

方法

本試験は、2015年1月1日から2019年3月1日までの間にPCCを受けたアピキサバンまたはリバロキサバン関連ICH患者を対象とした多施設、レトロスペクティブ、観察的コホート研究であった。

本試験では、安全性解析と止血効果解析の2つの主要解析群を設定した。

安全性解析では、退院時またはPCC投与後30日後に打ち切りとなった血栓性イベントの発生に関する包含基準を満たした全患者を評価した。

PCC投与後24時間以内に脳内出血、くも膜下出血、硬膜下出血の患者で、少なくとも1回のフォローアップ画像を撮影した患者を対象に止血効果を評価した。

主要評価項目は、修正サローデ基準(modified Sarode criteria)に基づいて、優れたまたは良好な止血を示した患者の割合であった。

副次的転帰として、あらかじめ定義された複数の期間における院内死亡率、入院期間、輸液関連反応、血栓性イベントの発生率の評価を行った。

結果

・合計663人の患者が含まれ、安全性の転帰について評価された。このうち433例が止血効果評価の基準を満たしていた。

・患者354例で良好あるいは優れた止血が観察された。

★81.8%、95%CI 77.9~85.2

・患者25例(3.8%)で血栓性イベント26件が発生し、そのうち22件はPCC投与後14日間に発生した。

・患者1例に輸液関連の反応が認められた。

・患者全体の院内死亡率は19.0%であり、集中治療室および入院期間の中央値はそれぞれ2.0日および6.0日であった。

結論

アピキサバンおよびリバーロキサバンに関連したICHの後にPCCを投与すると、良好あるいは優れた止血率(81.8%)が得られ、血栓症率は3.8%であった。

第Xa阻害薬関連のICH患者におけるPCCの臨床的有効性を評価するランダム化比較試験が必要である。

コメント

抗凝固薬としては、直接型経口抗凝固薬(DOAC)あるいはビタミンK拮抗薬(VKA)が使用されています。VKAであるワルファリンの急性出血に対しては、ビタミンK製剤あるいはプロトロンビン濃縮製剤(ケイサントラ®️)を投与することで止血することができます。一方で、DOACの急性出血に対する止血方法はまだ限られており、日本においてはDOACに対する止血薬は承認されていません。

さて、本試験では、DOACの出血に対するプロトロンビン濃縮製剤(プロトロンビン補充による血液凝固第II、第VII、第IXおよび第X因子の産生増加)の効果を検証しています。

結果として、DOACであるアピキサバンおよびリバーロキサバンに関連した頭蓋内出血に対するプロトロンビン濃縮製剤の使用は、良好あるいは優れた止血率(81.8%)をもたらした。一方、血栓症率は3.8%だった。

有望な結果であると考えます。続報に期待。

✅まとめ✅ アピキサバンおよびリバーロキサバンに関連した頭蓋内出血に対するプロトロンビン濃縮製剤の使用は、良好あるいは優れた止血率(81.8%)を示した

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