Clinical Impact of COVID-19 on Patients With Cancer (CCC19): A Cohort Study
Nicole M Kuderer et al.
Lancet. 2020 May 28;S0140-6736(20)31187-9. doi: 10.1016/S0140-6736(20)31187-9. Online ahead of print.
PMID: 32473681
PMCID: PMC7255743
DOI: 10.1016/S0140-6736(20)31187-9
This study is registered with ClinicalTrials.gov, NCT04354701, and is ongoing.
Funding: American Cancer Society, National Institutes of Health, and Hope Foundation for Cancer Research.
背景
がんを有するCOVID-19患者に関するデータは不足している。ここでは、がんとCOVID-19を有する患者のコホートの転帰を特徴づけ、死亡率と重症化の潜在的な予後因子を同定する。
方法
このコホート研究では、米国、カナダ、スペインのCOVID-19およびがんコンソーシアム(CCC19)データベースから、ベースラインデータが2020年3月17日から4月16日の間に追加された18歳以上の活動期または既往の悪性腫瘍を有し、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染が確認された患者について、非同定データを収集した。
ベースラインの臨床状態、投薬、がんの診断と治療、COVID-19の疾患経過に関するデータを収集した。
主要エンドポイントは、COVID-19の診断後30日以内の全死亡とした。年齢、性別、喫煙状況、肥満を部分的に調整したロジスティック回帰分析を用いて、転帰と潜在的な予後変数との関連を評価した。
所見
・研究期間中にCCC19データベースに登録された記録1,035件のうち、患者928例が解析の対象となった。年齢中央値は66歳(IQR 57〜76)、75歳以上は279例(30%)、男性468例(50%)であった。
・最も有病率が高かった悪性腫瘍は乳房(191例[21%])と前立腺(152例[16%])であった。患者366例(39%)が積極的な抗がん剤治療を受けており、396例(43%)が活動的な(測定可能な)がんであった。
・解析時点(2020年5月7日)では、患者121例(13%)が死亡していた。ロジスティック回帰分析において、部分調整後の30日死亡率の増加と関連する独立因子は以下の通り;
- 年齢の増加(10年増加あたり):部分調整後オッズ比1.84、95%信頼区間1.53〜2.21)
- 男性:1.63、1.07〜2.48
- 喫煙状況(元喫煙者 vs. 未喫煙者):1.60、1.03〜2.47
- 併存疾患数(2つ vs. なし):4.50、1.33〜15.28
- Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)のperformance statusが2以上(2 vs. 0あるいは1):3.89、2.11〜7.18
- 活動期のがん(進行期 vs. 寛解):5.20、2.77〜9.77
- アジスロマイシン+ヒドロキシクロロキンの投与(投与 vs. どちらも投与していない):2.93、1.79〜4.79、ただし適応症による交絡を除外できない
米国北東部に居住している場合と比較して、カナダ(0.24、0.07〜0.84)または米国中西部(0.50、0.28〜0.90)に居住している場合は、30日以内の全死亡率の減少と関連していた。
・人種および民族性、肥満状態、がんの種類、抗がん剤治療の種類、最近の手術は死亡率と関連していなかった。
結果の解釈
がん患者とCOVID-19を有する患者では、30日全死亡率が高く、一般的な危険因子とがん患者に特有の危険因子との関連があった。
特定のがん治療を継続する能力を含め、がん患者の転帰に対するCOVID-19の効果をよりよく理解するためには、より長期の追跡調査が必要である。
コメント
がん患者におけるCOVID-19感染については、報告が限られていると考えます。今回の研究は、アメリカがん学会、国立衛生研究所、がん研究のためのホープ財団から資金提供を受け、現在も進行中の試験です。
さて、本試験結果により、30日死亡率のリスク増加因子として、年齢の増加、男性、喫煙状況、併存疾患数(2つ vs. なし)、Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)のperformance statusが2以上(2 vs. 0あるいは1)、活動期のがん(進行期 vs. 寛解)、アジスロマイシン+ヒドロキシクロロキンの投与、計7つが独立因子として報告されました。
これらの因子を有する患者では、COVID-19重症化や危篤などの可能性が考えられるため、感染予防措置、医療機関へのアクセス、標準治療の継続などが重要であると考えます。
引き続き追っていきたい分野です。
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