低リスクのインフルエンザ患者に対するオセルタミビルの効果はどのくらいですか?(RCT; Clin Infect Dis. 2020)

この記事は約3分で読めます。
ランキングに参加しています!応援してもよいよという方はポチってください!

Effect of Oral Oseltamivir on Virological Outcomes in Low-risk Adults With Influenza: A Randomized Clinical Trial

John H Beigel et al.

Clin Infect Dis. 2020.

PMID: 31541242

PMCID: PMC7245154

DOI: 10.1093/cid/ciz634

Clinical trials registration: NCT01314911.

Keywords: influenza-like illness; respiratory virus; viral shedding.

背景

ウイルス排泄の持続時間は感染性と伝播性を決定するが、オセルタミビルによるウイルス排泄を変化させる能力についてのデータはほとんど存在しない。

方法

2012年1月から2017年10月まで、タイ、米国、アルゼンチンの42施設において、18~64歳の成人を対象としたランダム化二重盲検多施設共同臨床試験が実施された。

本試験では、インフルエンザAまたはBを発症しており、インフルエンザ合併症の危険因子を持たない参加者を対象にスクリーニングを行った。

対象者は、オセルタミビル75mgまたはプラセボを1日2回5日間投与する群にランダムに割り付けられた。

主要エンドポイントは、3日目に鼻咽頭拭い液(swab)からポリメラーゼ連鎖反応によりウイルスが検出された参加者の割合とした。

結果

・本試験のスクリーニングを受けた成人716例のうち、558 例がランダム化され、501 例でインフルエンザの感染が確認された。

・パイロット試験の参加者のうち46名は除外され、一次解析対象集団455名のうち449名が 3 日目にウイルス消失の結果を得た。

・3日目にウイルスが検出されたのは、オセルタミビル群220人中99人(45.0%)であり、プラセボ群229人中131人(57.2%)であった。

★絶対差 = -12.2%[-21.4%、-3.0%]、P = 0.010

—-

・インフルエンザ感染が確認された患者の症状緩和までの時間中央値は、オセルタミビル群で79.0時間、プラセボ群で84.0時間(P = 0.34)であった。

結論

オセルタミビルはこの低リスク集団においてウイルス排泄を減少させた。しかし、本研究に登録された集団では、オセルタミビルは臨床症状の消失までの時間を有意に減少させなかった。

コメント

軽症のインフルエンザ患者を対象としたランダム化比較試験。

ありそうでなかった試験であると思います。

さて、試験結果によれば、オセルタミビル(タミフル®️)使用により、プラセボと比較して、3日目のPCR検査によるウイルス排泄を有意に低下させました。

しかし、インフルエンザ症状緩和までの時間に大きな差はありませんでした。オセルタミビルにより、対プラセボとの絶対差で5時間短くなります。

過去の報告において、重症例であってもオセルタミビル使用により、インフルエンザ症状の緩和時間は1日程度です。

やはり、インフルエンザ感染症の場合は、栄養を摂り安静にしているのが一番であると考えます。ただし重症例に限っては、少しでもインフルエンザ罹患期間を短縮させ、細菌による二次感染などを防ぐことが患者の予後にとって重要となる場合があります。あくまでも個人的見解ですが、オセルタミビルが必要なのは前述のような患者であると考えます。

✅まとめ✅ オセルタミビルはこの低リスクのインフルエンザ集団においてウイルス排泄を減少させたが、臨床症状消失までの時間については有意に減少させなかった

コメント

タイトルとURLをコピーしました