RCTの選択的登録バイアスはどのくらいですか?(横断研究; BMJ 2020)

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Prospective Registration and Reporting of Trial Number in Randomised Clinical Trials: Global Cross Sectional Study of the Adoption of ICMJE and Declaration of Helsinki Recommendations

Mustafa Al-Durra et al.

BMJ. 2020.

PMID: 32291261

DOI: 10.1136/bmj.m982

目的

公表されているランダム化比較試験(RCT)における前向き登録と試験登録番号(TRN)の登録における遵守状況を評価し、レトロスペクティブ試験登録の背景にある根拠を分析し、選択的登録バイアスを検出すること。

試験デザイン

横断的分析

データソース

PubMed、17の世界保健機関の試験登録、トロント大学図書館、International Committee of Medical Journal Editors(ICMJE)のジャーナルメンバーリスト、およびInCites Journal Citation Reports。

研究の選択基準

いずれかのWHO試験登録簿に登録され、2018年にPubMedのインデックス付きジャーナルに掲載されたRCT。

結果

・本研究の結果は以下の通りである。 本研究には、2,105誌に掲載された論文10,500報が含まれていた。

・全体では、71.2%(7,473/10,500)がTRNを報告し、41.7%(3,013/7,218)がプロスペクティブ試験登録を遵守した。

・単変量解析および多変量解析では、TRNの報告、インパクトファクター、出版ジャーナルのICMJE会員との間に有意な関係(P<0.05)が報告された。

・また、プロスペクティブ試験の登録とレジストリ、地域、条件、資金提供、試験規模、論文登録と投稿日の間隔、インパクトファクター、および出版ジャーナルのICMJE会員との間にも有意な関係(P<0.05)が認められた。

・ICMJE会員誌に掲載された原稿は、他のジャーナルに比べてTRNを含む可能性が5.8倍(オッズ比 =5.8、95%信頼区間4.0~8.2)、ICMJE会員誌に掲載された試験はプロスペクティブに登録される可能性が1.8倍(1.8、1.5~2.2)であった。

・本研究では、新しいバイアスの形態である選択的登録バイアスが検出され、出版のために投稿されてから1年以内にレトロスペクティブ(遡及的)に登録された試験の割合が高い(85.2%、616/723)ことが示された。

・遡及的(後向き)登録の割合が高いのは、試験参加者の登録後、最初の3~8週間以内であった。

・ICMJE会員誌に掲載されたRCT286件のうち、後向きに登録されたRCTのうち、登録が遅れたことを正当化する文言が含まれていたのは、著者の2.8%(8/286)のみであった。その理由としては、認識不足、記載漏れの誤り、登録手続きに予想以上の時間がかかったことなどが挙げられた。

結論

本研究では、ICMJE会員誌に掲載された試験論文のTRN報告の遵守度は高いが、前向き試験の登録は低かった。

コメント

新しい概念である「選択的登録バイアス」について検証した横断研究。

International Committee of Medical Journal Editors(ICMJE)会員誌に投稿されていることと試験登録番号の登録遵守が高いこととの関連性(OR =5.8)が示されました。また前向き試験として登録されることとの関連性(OR =1.8)も示されました。それでも前向きに臨床試験登録されるのは41.7%と低かった。

基本的にRCTの臨床試験登録は前向きになされるべきである。しかし著者の都合等で後向きに登録されるケースが多いようである。

✅まとめ✅ 新たに選択的登録バイアスが検証され、これは実施されたRCTに関する情報登録が後向きにされるというバイアスである

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