【論文撤回】COVID-19患者に対するイベルメクチンの効果はどのくらいですか?(データベースPSマッチング症例対照研究; preprint; 2020)

Usefulness of Ivermectin in COVID-19 Illness

12 PagesPosted: 

Amit Patel et al.

Date Written: April 19, 2020

SSRN Electronic Library

Keywords: covid19, ivermectin, outcomes

試験の重要性

COVID-19の病気を治療するための確立された抗ウイルス療法はない。

目的

COVID-19の転帰における抗菌薬であるイベルメクチンの有用性を検討する。

試験デザイン

2020年1月1日から2020年3月31日までの間にCOVID-19と診断された患者を対象に、プロスペクティブに収集されたデータを用いた国際的な多施設観察的傾向スコア一致症例対照試験。

試験設定

国際的な多施設共同医療アウトカムデータベース。

試験参加者

SARS-CoV-2感染を確認する臨床検査所見が陽性であったことによりCOVID-19と診断された入院患者。

曝露

イベルメクチン(150μg/kg)を1回投与したCOVID-19患者と、イベルメクチンを投与しない内科的治療を受けたCOVID-19患者を比較。

主要アウトカム

主要アウトカムは、COVID-19患者におけるイベルメクチン投与と生存率との関連を評価することであった。

結果

・コホート(イベルメクチン投与群704例および対照群704例を含む)は、3大陸にまたがる病院169施設からCOVID-19患者を集めた。

・患者は年齢、性別、人種または民族、併存疾患、および疾患重症度スコア(qSOFA)でマッチングされた。

・機械換気を必要とした患者のうち、イベルメクチン群で死亡した患者は少なく(7.3% CD. 21.3%)、全体的な死亡率はイベルメクチン群の方が低かった(1.4% vs. 8.5%)

★全体的な死亡率:HR =0.20、95%CI 0.11〜0.37、p<0.0001

結論および関連性

入院患者における COVID-19 発病中のイベルメクチン投与は、死亡率および入院期間の低下と関連している。 これらの知見は、ランダム化比較試験での確認が必要である。

コメント

本論文はプレプリント、つまり査読前であるため、試験デザインや結果の解釈に注意が必要です。別件ですが、抄録の書き方がJAMA誌を意識しているように見えます。

さて、本試験結果によれば、標準治療へのイベルメクチン(ストロメクトール®️)の追加(単回投与)により、標準治療と比較して死亡率の低下が認められました。さらに1回投与で治療が完了しますので、有効性やコストも含めて他の治療候補薬剤と比較すると、ファビピラビルやレムデシビルよりも有効である可能性が高いと考えられます(なぜ注目されないのでしょうか)。

ただし、本試験はPSマッチング症例対照デザインですので、ハードアウトカムである死亡について完全には因子を調整できません(因果関係だけでなく相関関係についても結論づけられない可能性があります)。また傾向マッチする因子の中に疾患の特徴や重症度が入っていません(qSOFAだけでは不充分という意味)。

一方で本試験には、各群700例以上が組み入れられていますので、COVID-19関連の試験の中では、例数が多い方だと思います。ただし以前の記事でも触れましたが、現段階でのサンプルサイズの計算は困難であると考えます。したがって、計1,400例以上の本試験が、サンプルサイズとして充分かは不明です。しかし、試験結果だけを見ると、むしろサンプルサイズがより少なくても充分そうです。

注意点としては、試験に用いられたイベルメクチンの用量です。今回の試験で用いられた用量は、国内で承認されている200μg/kg/回より少ないです。また本剤が疥癬に用いられる場合の投与回数は基本的に1回ですが、重度の場合は2回目の投与を考慮できます。さらに、本剤は脂溶性物質であり(脂溶性が高いため)、高脂肪食により血中薬物濃度が上昇するおそれがあります。したがって、基本的に本剤は空腹時に水で服用した方が良いです。あとは内服できない患者に対してはどうするのか?という課題がありそうです。

ここまで比較的ポジティブな結果や印象を述べてきましたが、あくまでも本試験はプレプリント、さらに言えば試験デザインがRCTではありません。

前向きのランダム化された二重盲検試験の追試が必要なのは他の治療候補薬剤と同様です。

✅まとめ✅ COVID-19患者における標準治療へのイベルメクチン追加は、標準治療のみと比較して死亡率を低下させるかもしれない

追記【本論文は捏造の疑惑があり2020年6月に撤回されました】

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