COVID-19の診断および予後予測モデルには何がありますか?(システマティックレビュー&批判的評価; BMJ 2020)

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Prediction Models for Diagnosis and Prognosis of covid-19 Infection: Systematic Review and Critical Appraisal

Laure Wynants et al.

BMJ. 2020 Apr 7;369:m1328.

doi: 10.1136/bmj.m1328.

Systematic review registration: Protocol https://osf.io/ehc47/, registration https://osf.io/wy245.

目的

感染が疑われる患者のコロナウイルス疾患2019(COVID-19)の診断、COVID-19患者の予後、COVID-19肺炎で入院するリスクのある一般集団を検出するための予測モデルの発表およびプレプリント報告をレビューし、批判的に評価すること。

試験デザイン

迅速な系統的レビューと批判的評価。

データソース

2020年3月24日までのOvid、Arxiv、medRxiv、bioRxivを介したPubMedおよびEmbase。

研究の選択

多変量covid-19関連の予測モデルを開発または検証した研究。

データ抽出

少なくとも2人の著者が独立してCHARMS(予測モデリング研究のシステマティックレビューのための批判的評価とデータ抽出)チェックリストを用いてデータを抽出し、PROBAST(予測モデルのバイアスリスク評価ツール)を用いてバイアスのリスクを評価した。

結果

・文献タイトル2,696件がスクリーニングされ、31の予測モデルを記述した研究27件が含まれた。

・一般集団における肺炎およびその他のイベント(COVID-19肺炎の代理アウトカム)による入院を予測するための3つのモデル、COVID-19感染を検出するための18の診断モデル(13はコンピュータ断層撮影スキャンに基づく機械学習)、死亡リスク、重症化または入院期間を予測するための10の予後モデルが同定された。

・中国国外の患者データを用いた研究は1件のみであった。

・COVID-19疾患が疑われる患者における最も報告された予測因子は、年齢、体温、徴候・症状であった。

・COVID-19患者の重篤な予後の予測因子として最も多く報告されているのは、年齢、性別、CTスキャンによる特徴、C反応性蛋白質、乳酸脱水素酵素、リンパ球数であった。

・C指数の推定値は、一般集団の予測モデルでは0.73~0.81(3つのモデルすべてで報告)、診断モデルでは0.81~0.99以上(18モデル中13モデルで報告)、予後モデルでは0.85~0.98(10モデル中6モデルで報告)の範囲であった。

・すべての研究はバイアスのリスクが高いと評価されたが、これは主に対照患者の非代表的な選択、研究終了時までに関心のあるイベントを経験していない患者の除外、モデルのオーバーフィットのリスクが高いことによるものであった。

・報告の質は研究によって大きく異なっていた。ほとんどの報告書には研究集団の説明やモデルの使用目的が含まれておらず、予測値の較正が評価されていることはほとんどなかった。

結論

COVID-19の予測モデルは、緊急に必要とされる時期に医学的な意思決定を支援するために、急速に学術的な文献に登場している。

本レビューでは、提案されたモデルは報告されておらず、バイアスのリスクが高く、報告された性能はおそらく楽観的であることが示されている。

より厳密な予測モデルを開発し、既存の予測モデルを検証するための共同作業のためには、COVID-19試験からの十分に文書化された個々の参加者のデータを早急に共有する必要がある。

予測モデルを開発するためには、より厳密な予測モデルを開発し、既存の予測モデルを検証するための共同作業が必要である。

信頼性のない予測は、臨床的意思決定の指針となる上で有益性よりも有害性の方が大きいため、方法論のガイダンスに従うべきである。

最後に、研究はTRIPOD(個々の予後または診断のための多変量予測モデルの透明な報告)報告ガイドラインに従うべきである。

コメント

COVID-19に関する研究報告は、迅速性が重視され、論文の内的妥当性が充分にチェックされないまま結果だけが世に広まっています。つまり、研究の質、信頼性が低い研究結果が、さも科学的根拠が充分にある研究結果であるかのような扱いをされています。これは由々しき事態であり、ひいては誤った(有効性が低いか、ほぼ無い、害だけが多い)治療が横行する危険性が高いです。

さて、本研究では、論文のプレプリント・サーバーも含めてシステマティックレビューを実施し、論文の批判的評価も実施しています。

評価結果としては、やはり、どの研究もバイアスリスクが高く、質が低いため、信頼性はかなり低いようです。

研究結果を鵜呑みにせず、研究の質を1つ1つ検討していく必要が高いと考えられます。

ただし、世界的に危機的な状況ですので、結果の速報性は重要であると考えられます。さらに重要であるのが、個々の患者データの共有化です。個人的にはCOVID-19症例データベースのようなプラットフォームの構築が急務であると考えます。そのデータを全世界の研究者が利用できるような制度設計が必要なのではないでしょうか。残る問題はリソース……

✅まとめ✅ COVID-19疾患が疑われる患者における予測因子は年齢、体温、徴候・症状、重篤な予後予測因子としては、年齢、性別、CTスキャンによる特徴、C反応性蛋白質、乳酸脱水素酵素、リンパ球数が最も多く報告されたいたが、予後予測モデルは報告されていなかった

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