Meta-analysis of a Possible Signal of Increased Mortality Associated With Cefepime Use
Peter W Kim et al.
Clin Infect Dis, 51 (4), 381-9 2010 Aug 15
PMID: 20624065
DOI: 10.1086/655131
背景
メタアナリシスに基づいて、他のβラクタム系抗生物質と比較してセフェピムの使用に関連して死亡率が増加するというシグナルの可能性が懸念されている。
このシグナルの可能性をさらに調査するために、セフェピムの臨床試験の結果とデータにアクセスした。
方法
比較試験のデータと患者レベルのデータを用いてメタアナリシスを行った。試験レベルの解析は試験に参加した全患者のサマリーデータを用いて行い、患者レベルの解析はデータが利用可能な試験について行った。
30日間の全死亡率は、Mantel-Haenszel調整リスク差(ARD)法を用いて解析した。
結果
・試験レベルのメタアナリシスは臨床試験88件(セフェピム群9,467例、対照群8,288例)に基づいて行われた。
・30日全死亡率は、セフェピム群で6.21%(588/9,467例)、対照群で6.00%(497/8,288例)であった。
★人口1,000人当たりのARD =5.38;95%信頼区間[CI] -1.53~12.28
—
・患者レベルの解析(35試験、セフェピム群5,058例、対照群3,976例)では、30日間の全死亡率はセフェピム群で5.63%(285/5,058例)、対照群で5.68%(226/3,976例)であった。
★人口1,000人当たりのARD =4.83;95%信頼区間[CI] -4.72~14.38
—
・発熱性好中球減少症を対照とした試験24件のみに基づく感度解析では、セフェピム使用による死亡率の統計学的に有意な増加は認められなかった。
★人口1,000人当たりのARD =9.67;95%CI -2.87~22.21
—
結論
試験レベル及び患者レベルのメタアナリシス、両方において、セフェピム使用による死亡率の統計学的に有意な増加は認められなかった。
コメント
アブストのみ。
セフェピム(マキシピーム®️)を対象とした臨床試験において、死亡リスク増加が立て続けに報告された。本試験は、それらの研究結果を受け実施されたメタ解析。
結果としては、死亡リスク増加は認められなかった。ただし、効果推定値が大きい点が気にかかります(人口1,000人当たりのARD =9.67;95%CI -2.87~22.21)。またメタ解析では、個々の患者の背景がバラバラになるため、どのような患者で死亡リスクが増加するのか、注視していく方が良いかもしれませんね。
コメント