心不全患者における薬剤使用で死亡までの期間はどのくらい延びますか?(RCTのメタ解析; Am J Med. 2020)

Postponement of Death by Pharmacological Heart Failure Treatment: A Meta-Analysis of Randomized Clinical Trials

Morten Rix Hansen et al.

Am J Med. 2020

PMID: 32173347

DOI: 10.1016/j.amjmed.2019.11.015

Systematic review registration: The systematic review was registered in PROSPERO CRD42018080963.

Keywords: Effect measure; Heart failure; Meta-analysis; Outcome postponement; Randomized Controlled Trial.

背景

予防的薬物治療の効果指標として、アウトカムの延期が提案されている。 これは、調査した不要な臨床イベントの平均的な遅延を記述するもので、薬物の服用によって達成される。

β遮断薬、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)、ACE阻害薬へのARB追加療法、アルドステロン拮抗薬、イバブラジン、レニン・アンタゴニストの心不全治療薬について、プラセボと比較して死亡の延期を推定することを目的とした。

方法

データベース開始から2017年10月までのMedlineとEmbaseを検索した。

対象基準は、生存期間を事前に指定したアウトカムとし、試験期間が1年以上、少なくとも試験参加者1,000人を含むランダム化プラセボ対照心不全試験とした。

生存曲線間の面積をモデル化することで転帰の延期を算出した。

この領域は、ハザード比または相対リスク、プラセボ群の死亡率、および試験期間に基づいてモデル化した。

治療方法間の比較可能性を確保するために、すべてのアウトカムを3年間の試験期間に標準化した。

結果

・対象となる 試験14 件を同定し、合計52,014 例の患者を対象とした。

・全死亡の延期に関するアウトカムは、β遮断薬43.7日(95%信頼区間(95%CI)20.8~66.5)、ACE阻害薬41.0日(95%CI、18.8~63.3)、アルドステロン拮抗薬41.3日(95%CI、14.3~68.4)であった。

結論

モデル化された転帰延期の推定値は、ACE阻害薬、β遮断薬、アルドステロン拮抗薬が心不全治療の主力であることを改めて示している。

さらに、ACE阻害薬にイバブラジンやARBを追加しても、統計学的に有意な生存率の向上はみられなかった。

コメント

心不全治療薬による生存期間の延長について検討した試験。

試験けっかとしては、ACE阻害薬、β遮断薬、アルドステロン受容体拮抗薬でそれぞれ40日超の生存期間の延長が認められた。

すこし細かく結果をみていくと、死亡アウトカムにおける統合された試験間の異質性は、β遮断薬で大きく、I2統計量は70%を超えていました。一方、ACE阻害薬は異質性が低く、死亡アウトカムについてはI2が0%でした。

国内外の診療ガイドラインの推奨とは少し異なる結果ですね。ただし、各薬剤の用量については、承認された国によって異なる点は注視したいですね。これは診療ガイドラインでも述べられていますが、心不全治療において、基本的にRAS拮抗薬やβ遮断薬は、忍容性がある限り最大用量まで増量必要があります。ここを怠って多剤併用は意味がありません。過去の臨床試験においても、大多数の試験で各薬剤の最大忍容用量を使用しています。

またACE阻害薬とARBは一緒くたにされがちですが、個々のアウトカムをみていくと、かなり異なる結果を示しています。それだけアンギオテンシンの作用が多様と言うことでしょうか。

基礎研究もみていく必要があるかも。

✅まとめ✅ 心不全治療薬の中でACE阻害薬、β遮断薬、アルドステロン拮抗薬は死亡までの期間を40日程度延長するが、ARBやイバブラジンには認められなかった

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