The Long-term Effects of Metformin on Patients With Type 2 Diabetic Kidney Disease
Soie Kwon et al.
Diabetes Care 2020 Mar; dc190936.
目的
メトホルミンは、2型糖尿病を治療するための最初の薬理学的選択肢である。ただし、乳酸アシドーシスの危険性が認識されているため、腎機能障害のある患者にはメトホルミンの使用を推奨していない?
2型糖尿病性腎疾患(DKD)患者におけるメトホルミンの有効性と安全性を評価することを目的とした。
研究デザインと方法
三次(機能)病院2施設における2型DKD患者10,426人を対象に、後ろ向き観察コホート研究を実施した。
主なアウトカムは、全死亡および末期腎疾患(ESRD)の進行だった。
二次アウトカムはメトホルミン関連乳酸アシドーシスだった。
重症度の低い疾患患者にメトホルミンが処方される可能性を考慮して、傾向スコアマッチング(PSM)が実施された。
結果
・多変量Cox分析によると、メトホルミン群では全死亡率とESRDの発生が低かった。
・2群のベースライン特性が大幅に異なるため、PSMが実行された。 マッチング後、メトホルミンの使用は、全死亡率の低下(調整ハザード比[aHR] = 0.65; 95%CI 0.57–0.73; P <0.001)およびESRD進行抑制(aHR = 0.67; 95%CI 0.58–0.77; P < 0.001)が認められた。
・メトホルミン関連乳酸アシドーシスについては、イベント1件のみが記録された。
・元のグループとPSMグループの両方で、メトホルミン使用は、すべての原因による乳酸アシドーシスのリスクを増加させませなかった。
aHR = 0.92; 95%CI 0.668–1.276; P = 0.629
結論
本レトロスペクティブ研究では、進行性慢性腎疾患(CKD)患者、特にCKD 3B患者におけるメトホルミン使用により、全死亡およびESRD発生リスクが減少した。
さらに、メトホルミンは乳酸アシドーシスのリスクを増加させなかった。 ただし、PSM後でも残りのバイアスを考慮すると、リアルワールドのプラクティスを変更するには、ランダム化比較試験が必要である。
コメント
アブストのみ。タンパク尿については不明だが、少なくともeGFRは30 mL/min/1.73m2以上である。
さて、DKDを対象とした本研究結果によりメトホルミン使用は末期腎疾患及び死亡率低下が認められた。過去の報告と矛盾しない。マッチさせた因子を知りたいところ。少なくとも肝臓と腎臓疾患や関連する検査値は含んでおいて欲しいところ。あとアルコール摂取量とか。
特に真新しい情報ではないが、CKD stage3B以上におけるメトホルミン使用は安全性が高いかもしれない
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