高齢ICU患者における昇圧剤の使用量低下は90日死亡率を下げられますか?(RCT; JAMA 2020)

Effect of Reduced Exposure to Vasopressors on 90-Day Mortality in Older Critically Ill Patients With Vasodilatory Hypotension: A Randomized Clinical Trial

François Lamontagne et al.

JAMA. 2020

PMID: 32049269

DOI: 10.1001/jama.2020.0930

Trial registration: isrctn.org Identifier: ISRCTN10580502.

試験の重要性

血圧を上げるために、昇圧剤は一般的に集中治療室(ICU)患者に投与される。昇圧剤のリスクとベネフィットのバランスを取ることは、特に年配の患者では困難である。

目的

許容性低血圧(平均動脈圧[mean arterial pressure, MAP]*目標、60-65 mm Hg)による血管収縮薬への暴露を減らすことで、血管拡張性低血圧の65歳以上のICU患者の90日での死亡率を減らすかどうかを決定する。

*平均動脈圧:(拡張期血圧+〔収縮期血圧-拡張期血圧〕/3)で60~130mmHg前後の範囲にあれば、臓器血流がある程度一定に保たれるらしい。

試験設計、設定、参加者

英国の65施設のICUで多施設の実用的なランダム化臨床試験が実施された。

65歳以上の血管拡張性低血圧(臨床医の評価による)を含む2,600人のランダム化された患者が含まれた。

本研究は2017年7月から2019年3月まで実施され、追跡調査は2019年8月に完了した。

介入

MAP標的(60-65 mm Hg、許容低血圧)(n = 1,291)または通常のケア(治療する医師の裁量による)(n = 1,307)のいずれかで誘導される昇圧剤に対して、患者を1:1にランダム割り付けした。

主なアウトカムと測定

主な臨床アウトカムは90日での全死亡だった。

結果

・ランダム化された患者2,600人のうち、同意を拒否または取り下げた患者を除外後、2,463人(95%)が主要転帰の分析に含まれた(平均[SD] 75歳[7歳]; 男性率1,387人 [57%] )。

・許容性低血圧群にランダム化された患者は、通常の治療群に比べて昇圧薬への曝露が低かった(持続期間中央値33時間 vs. 38時間、中央値の差 -5.0; 95%CI -7.8〜 -2.2時間、総投与量 ノルエピネフリン当量中央値 17.7mg vs. 26.4mg、中央値の差 -8.7 mg; 95%CI -12.8〜 -4.6 mg)。

・90日目に、許容低血圧症の1,221人のうち500人(41.0%)、通常のケアグループの1,242人のうち544人(43.8%)が死亡した。

★絶対リスク差 -2.85%; 95%CI -6.75〜1.05; P = 0.15

★未調整の相対リスク 0.93; 95%CI 0.85〜1.03

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・事前に指定されたベースライン変数について調整すると、90日間の死亡率のオッズ比は0.82(95%CI、0.68〜0.98)だった。

・重篤な有害事象は、寛容ケアグループの患者79人(6.2%)と通常ケアグループの患者75人(5.8%)で報告された。

・最も一般的な重篤な有害事象は、急性腎不全(41 [3.2%] vs. 33 [2.5%])および上室性心不整脈(12 [0.9%] vs. 13 [1.0%])だった。

結論と関連性

血管拡張性低血圧のために昇圧薬を投与されている65歳以上の患者では、通常の治療と比較して許容性低血圧は90日で統計的に有意な死亡率の低下をもたらさなかった。

ただし、研究の臨床的重要性を解釈する際には、一次アウトカムのポイント推定値の周りの信頼区間を考慮する必要がある。

コメント

プライマリーアウトカムに有意差は認められなかったが、90日死亡リスクは低下傾向。一方、調整ハザード比は有意に低下。

著者としては残念な結果だったかもしれませんが、昇圧剤の使用量を減らせるならば、減らした方が患者への負担は軽いのでは?と安直に感じてしまいました。

必要な患者に、必要な薬剤を、必要な用量、必要な期間、使用することは常に意識したいところです。

✅まとめ✅ MAP 60-65 mmHgを目標に昇圧剤の使用量を減らせると死亡リスクが低下するかもしれない

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