Oseltamivir plus usual care versus usual care for influenza-like illness in primary care: an open-label, pragmatic, randomised controlled trial.
Butler CC et al.
Lancet. 2019 Dec 12. pii: S0140-6736(19)32982-4.
doi: 10.1016/S0140-6736(19)32982-4.
FUNDING: European Commission’s Seventh Framework Programme.
The trial is registered with the ISRCTN Registry, number ISRCTN 27908921.
背景
抗ウイルス薬は、主に現実世界のプライマリケアでは効果がないと認識されているため、また過去の臨床試験において、特に有益性が示されていないため、インフルエンザ様疾患に対して、ヨーロッパのプライマリケアではめったに処方されない。
インフルエンザ様疾患患者に対する通常のプライマリケアに抗ウイルス治療を追加することで、全体および主要なサブグループの回復までの時間が短縮されるかどうかを判断する。
方法
プライマリケアでインフルエンザ様疾患を呈した1歳以上の患者を対象に、オセルタミビルを通常のケアに追加する非盲検、実用的、適応、ランダム化比較試験を実施した。
主要エンドポイントは、回復(発熱、頭痛、筋肉痛の軽微または不在を伴う通常活動への復帰として定義)までの時間だった。
本試験は、オセルタミビルの便益全体と、年齢、併存疾患、以前の症状の持続期間、症状の重症度で定義された事前に指定された36のサブグループで、ベイジアンの区分的指数一次分析モデルを使用して評価するように設計され、強化された。
調査結果
・2016年1月15日から2018年4月12日まで、3つの季節性インフルエンザシーズン中に、欧州15ヶ国で3,266人の参加者を募集した。そのうちの1,629人をオセルタミビル+通常ケアに、1,637人を通常ケアに割り当てた。
・主要アウトカムについて、オセルタミビル+通常ケア群では1,533人(94%)、通常ケア群1,526人(93%)に認められた。
・3,059人のうちPCRで確認されたインフルエンザ感染症は1,590人(52%)だった。
・オセルタミビル+通常ケアにランダムに割り当てられた参加者(ハザード比 =1.29、95%ベイズ信頼区間[BCrI] 1.20〜1.39)全体および事前に指定されたサブグループ36のうちの30で、回復までの時間が短く、推定ハザード比は1.13〜1.72だった。
・オセルタミビル+通常ケア群の推定絶対平均利益は、全体で1.02日(95%[BCrI] 0.74〜1.31)であり、事前に指定されたサブグループにおいて、12歳未満の患者では0.70(95%BCrI 0.30〜1.20)、の範囲だった。
・重篤な症状がなく、併存疾患がない、重篤な基礎疾患を有する65歳以上の群では、併存疾患により罹患期間が延長した場合と比較して、罹患期間が3.20(95%BCrI 1.00〜5.50)短かった。
・害に関しては、オセルタミビル+通常ケア群で嘔吐または吐き気の増加が観察された。
解釈
オセルタミビルで治療されたインフルエンザ様疾患のプライマリケア患者は、通常ケアのみで管理された患者よりも平均して1日早く回復した。併存疾患があり、症状の持続期間が長い高齢患者では、2〜3日早く回復した。
コメント
アブストのみ。
通常ケアにタミフル®️を追加した場合、インフルエンザ様疾患の罹患期間が全体で1.02日短かった。
特に重篤な基礎疾患を有する65際以上の高齢者では、罹患期間が3.20日短くなった。サブグループ解析であるため、あくまでも仮説生成的な結果だが、タミフル®️を使用する場合は重篤な基礎疾患を有する高齢者を対象とする方が良いのかもしれない。
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