Thyroid. 2018 Sep;28(9):1101-1110.
doi: 10.1089/thy.2017.0414. Epub 2018 Aug 17.
PMID: 29978767
【研究の目的】
無症候性甲状腺機能低下症(SCH)が心血管疾患(CVD)のリスクおよび全死亡率に及ぼす影響を判断するために、参加者の年齢または共存するCVDリスクの状態に従って包括的なメタアナリシスを実施した。
【方法】
SCHとPubMedおよびEmbaseデータベースからの全死因死亡率との関連に関する研究が含まれていた。 CVDおよび全死因死亡率のプールされた相対リスク(RR)は、Mantel-Haenszel法を用いて計算された。冠動脈、脳、または末梢動脈疾患の病歴を含む、CVDリスクの高い参加者のサブグループ分析が行われた。拡張型心筋症;心不全;心房細動;静脈血栓塞栓症;真性糖尿病または慢性腎臓病。
【結果】
・合計555,530人の試験参加者を含む適格論文35件が含まれた。
・SCHは、CVDおよび全死亡率と中程度に関連していた。
CVDのRR =1.33 [信頼区間(CI)1.14〜1.54]
全死亡率のRR =1.20 [CI 1.07〜1.34]
・しかし、65歳以上の参加者には関連は見られなかった。
・サブグループ分析により、SCHおよびCVDリスクの高い患者は、全死亡リスクが有意に高いことを示した。
CVDのRR =2.20 [CI 1.28〜3.77]
全死亡のRR =1.66 [CI 1.41〜1.94]
・一方、SCHとCVDリスクの低い人では相関性が認められなかった。
・平均年齢65歳以上でCVDリスクが高い6件の研究を対象とした追加のサブグループ分析では、SCHグループで全死亡の有意に高いリスクが示された。
RR =1.41 [CI 1.08〜1.85]; I 2 =0%
【結論】
SCHは、特にCVDハイリスクを有する患者において、CVDリスクの増加および全死亡率と関連している。
【KEYWORDS】
cardiovascular disease; mortality; prognosis; subclinical hypothyroidism
【コメント】
アブストのみ。
CVDリスクが高い場合、無症候性甲状腺機能低下症と死亡リスク増加の関連性がありそうですね。ただし観察研究のメタ解析であるため、相関関係までしかいえません。
逆を言えばCVDリスクが低い場合、積極的な治療はせずに経過観察でも良いのかもしれませんね。
コメント