非虚血性心不全患者に対する植込み型除細動器ICDの効果はどのくらいですか?(RCT; DANISH試験; NEJM 2016)
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Defibrillator Implantation in Patients with Nonischemic Systolic Heart Failure.
Randomized controlled trial
Køber L, et al.
N Engl J Med. 2016.
PMID: 27571011
ClinicalTrials.gov number: NCT00542945
Funded by Medtronic and others
【背景】
冠状動脈疾患によって引き起こされる症候性の収縮期心不全の患者における植込み型除細動器(ICD)の利点はよく論文化されている。
ただし、冠状動脈疾患によるものではない収縮期心不全患者における予防的ICDの利点の証拠は、主にサブグループ分析に基づいている。
ランドマーク試験であるICD試験の発表以降、心不全の管理は改善されており、多くの患者が心臓再同期療法(CRT*)を受けている。
【方法】
冠動脈疾患に起因しない症候性収縮期心不全(左室駆出率、≦35%)の患者556人をICD施工群、通常の臨床治療を受ける患者560人(対照群)へそれぞれランダムに割り付けた。
両群において、患者の58%がCRTを受けた。この試験の主要アウトカムは、あらゆる原因による死亡だった。
二次アウトカムは心臓突然死と心血管死であった。
【結果】
追跡期間67.6ヶ月(中央値)後、ICD群で120人の患者(21.6%)、対照群で131人の患者(23.4%)で主要アウトカムである全死亡が認められた。
ハザード比 =0.87, 95%信頼度区間
[CI] 0.68〜
1.12; P=0.28
ICD群における24人の患者(4.3%)および対照群の46人の患者(8.2%)で心突然死が発生した。
ハザード比 =0.50, 95%CI 0.31〜0.82; P = 0.005
ICD群では27人の患者(4.9%)に、対照群では20人の患者(3.6%)に装置感染が発生した(P = 0.29)。
【結論】
冠動脈疾患に起因しない症候性収縮期心不全患者における予防的ICD移植は、通常の臨床治療と比較して長期死亡率の低下とは関連していなかった。
*CRTとは?
→
心臓再同期療法(Cardiac Resynchronization Therapy, CRT)とは重症心不全患者に対する
ペースメーカー療法。
ペースメーカーを使って心臓の
ポンプ機能改善をはかる。
【コメント】
アブストのみ。
非虚血性心不全に対する埋め込み型除細動器の効果は、主要評価項目である全死亡に差が認められませんでした(が、ややリスク低下傾向)。また副次評価項目である心突然死は優位にリスク低下が認められました。
やや対象患者数が少ない気がします。したがって本試験結果のみで埋め込み型除細動器に益はないとは結論づけられません。続報を待ちたい。]]>
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