抗菌薬は急性呼吸器感染症の重症化を防げますか?(Ann Fam Med. 2013)

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Risks and benefits associated with antibiotic use for acute respiratory infections: a cohort study.

Meropol SB, et al.
Ann Fam Med. 2013 Mar-Apr.
PMID: 23508604 急性非特異的呼吸器感染症(ARI)のために抗生物質が頻繁に処方される。これは深刻ではあるが稀な細菌性疾患への進行リスクを避けることが望ましいと考えられるためである。しかし、関連する有害な薬物事象の低リスクであっても、そのような事象が人口レベルで多く発生する可能性がある。本研究の目的は、抗生物質を処方された患者と抗生物質を受けていない患者とを比較し、ARI患者集団における抗生物質使用のリスクおよび利益を評価することであった。

方法

1986年6月から2006年8月まで、英国プライマリケアデータベースからのARI訪問を受けた成人患者コホートを使用した。曝露は、来院時に処方された抗生物質であった。主要アウトカムは、(1)重篤な有害事象(過敏症、下痢、発作、不整脈、肝不全または腎不全)および(2)市中肺炎による入院であった。

結果

コホートには、ARIの診断を受けた1531,019回の訪問が含まれていた。抗生物質の処方は65%の症例で認められた。 未治療の患者数は、有害事象が1.07(95%CI、-4.52〜2.38、P = 0.54)、肺炎入院患者が8.16少なかった(95%CI、-13.24〜-3.08; P = 0.002)。 1回の肺炎による入院を防ぐために、治療が必要な患者数は12,255人であった。

結論

抗生物質で治療されていないARI患者と比較して、抗生物質で治療された患者は、重篤な有害薬物事象の危険性が増加せず、肺炎の入院リスクが減少した。 抗生物質によるこの小さな利点は、持続的な緊張を引き起こす。社会レベルでは、医師は抗生物質の処方を減らさなければならないため、将来の抵抗を最小限に抑えますが、遭遇レベルでは、患者の便益 – リスクバランスを最適化するよう強制されます。

コメント

アブストのみ。 風邪の原因は8〜9割が細菌といわれています。つまり少なくとも抗菌薬が必要なのは残りの1〜2割で、できれば抗菌薬を使った方が良いだろうという対象となると、さらに少なくなると考えられます。 本研究では、急性呼吸器感染症からの二次的な肺炎罹患による入院について検討し、NNT =12,255という結果でした。したがって12,254人は無駄に抗菌薬を飲んだことになりますので、個人的には風邪に抗菌薬は必要ないな、と思うわけです。 しかし人は面白いもので『自分がその1人になるかもしれない』という希望を持つ方が一定数います。そういった場合、いわゆる風邪への抗菌薬不使用について理解してもらうことは骨がおれることでしょう。 また具合が悪い時には、自分の症状を一刻も早く治したい、楽になりたいと思うものだと理解していますし、実際に私が風邪に罹患した時もそう思いました。 ここの意識変容を如何に患者へもたらせるか、これがAMR解消の鍵ではないでしょうか。そのために現在出来ることは、繰り返し伝えていくことしかないなと感じています。]]>

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