Three-Year Clinical Outcomes Associated With Warfarin vs. Direct Oral Anticoagulant Use Among Japanese Patients With Atrial Fibrillation – Findings From the SAKURA AF Registry. Okumura Y et al. Circ J. 2018 Aug 4. doi: 10.1253/circj.CJ-18-0535. [Epub ahead of print] PMID: 30078823
背景
日本の心房細動患者では、直接的経口抗凝固剤(direct oral anticoagulants, DOACs)が広く使用されているが、適切な経過観察時間と速度での大規模な調査が欠如している。 今回、日本のAF患者における経口抗凝固剤(oral anticoagulant, OAC)使用の治療成果を調査するために作成されたSAKURA AFレジストリを用いて研究を行った。結論
3年間のフォローアップ期間において、脳卒中と全死亡の低下は、ワルファリンとDOACsで同等だったが、ワルファリンに比べDOACsは重大な出血リスクを軽減させた。PICOTS
P: 経口抗凝固剤を服用している非弁膜症性心房細動患者3,237名 I : 日本で承認されている4種類のDOACs(イグザレルト®、リクシアナ®、エリキュース®、プラザキサ®)のうち、いずれかを服用(n =1,690) C: ワーファリン®を服用(n =1,578) O: 主要評価項目は脳卒中(虚血性脳卒中、出血性脳卒中、または一過性虚血発作[Transient Ischemic Attack:TIA])または全身塞栓症(Systemic Embolism:SE)。 心血管死または他の原因による死も記録された。 重大な出血は、少なくとも 2 g/dLのヘモグロビン濃度の低下、少なくとも2単位の輸血(日本では200 mlの献血から作られる量が1単位)、重要な領域または器官における対症的出血として定義された(安全性エンドポイント)。 正味の臨床アウトカム(脳卒中またはSE、重大な出血、または全原因死亡の複合)も試験の終点とみなされた。 T: 前向きコホート研究prospective cohort study、治療・予防 S:日本の63施設(2つの心血管センター、13の関連病院または地域病院、48の私立診療所) 2013年9月1日〜2015年12月31日までSAKURA AF REGISTRYに登録され、少なくとも2年間追跡調査された(2017年12月31日フォローアップ終了時)組入基準
登録デザインの患者登録適格性には以下のものが含まれていた:(1)12誘導心電図(ECG)記録、24時間ホルターECG記録、またはイベント活性化EGC記録に基づく非弁膜症性心房細動の診断; (2)20歳以上; (3)脳卒中予防のための抗凝固薬での治療(開始されたまたは既に実施されている)。除外基準
脳卒中や重症出血の影響を強く受けたワルファリン治療患者の一部は研究から除外された可能性がある。批判的吟味
追跡期間は? 39.3 ヶ月 (28.5〜43.6ヶ月) 結果に影響を及ぼす程の脱落はあるか? 問題ないと考えられる。3,268例のうち31例(0.949%) アウトカムの観察者はマスキングされているか?(危険因子は既知であったか) されていると考えられるが不明。 レジストリデータの分析は、日本大学板橋病院、臨床研究倫理委員会の施設審査委員会(IRB)、レジストリに参加している個々の病院のIRBによって承認された。 交絡因子の調整は? レジストリー登録ベースの解析の他に、傾向スコアマッチを利用しての解析も実施 調整項目:高血圧、糖尿病、心不全、血管疾患、脳卒中またはTIA、大出血、アブレーション歴、抗血小板薬使用、非ステロイド性抗炎症薬使用、OAC治療期間、およびクレアチニンクリアランス コホートの背景は?※画像クリックで拡大します
結果は?
各薬剤の使用率
研究対象者3,237人のうち、参加時のワルファリン(ワーファリン®️)使用者は1,561人(48.2%)、DOACユーザーは1,676人(51.8%)であった。
内訳は以下の通り;
・ワルファリン(ワーファリン®️)n = 1,561人 [48.2%]
・ダビガトラン(プラザキサ®️)n = 456 [14.1%]
・リバーロキサバン(イグザレルト®️)n = 761 [23.5%]
・アピキサバン(エリキュース®️)n = 428 [13.2%]
・エドキサバン(リクシアナ®️)n = 31 [1.0%]
各アウトカムの結果(ワルファリン vs. DOACs)
・脳卒中あるいはSE: HR = 1.15 (95%CI 0.82〜1.62) ・頭蓋内出血: HR =1.03 (0.57〜1.87) ・重大な出血: 0.90 (0.63〜1.28) ・全原因死亡: 0.87 (0.66〜1.15) ・複合ネット臨床イベント: HR =0.95 (0.77〜1.16) ※Composite net clinical events include stroke or systemic embolism (SE), major bleeding, and all-cause mortality. 傾向スコアマッチ後では、重大な出血(P =0.014)と複合ネット臨床イベント(P =0.050)において、ワルファリンに比べDOACsの方が優位にHRが低かった。コメント
日本でもレジストリーベースの大規模コホートが増えているな〜と感じています。 今回の研究結果をみるに、両群間での差はほぼ無いと感じました。DOACsは過少投与が指摘されていますので、ワルファリンと比べ、副作用としての出血が少ないのは当然かなと。 脳卒中の予防はもちろん大事なのですが、同じくらいコストは重要だと思います。医療費の負担は治療中断を招きます。しかも患者の自己判断によるところが大きい。 したがって個人的には現時点でDOACsを推奨することは出来ません。低コストで治療モニタリングもできるワルファリンの圧勝だと考えています。-Evidence never tells you what to do-
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コメント
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