Value of chest computed tomography scan in diagnosis of COVID-19; a systematic review and meta-analysis
Hasti Hossein et al.
Clin Transl Imaging. 2020 Oct 12;1-13. doi: 10.1007/s40336-020-00387-9. Online ahead of print.
PMID: 33072656
PMCID: PMC7549426
DOI: 10.1007/s40336-020-00387-9
Keywords: COVID-19; Polymerase chain reaction; Severe acute respiratory syndrome coronavirus 2; Tomography X-ray computed.
目的
リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)と胸部コンピュータ断層撮影(CT)スキャンは、コロナウイルス疾患2019(COVID-19)の主要な診断モダリティ(医用画像を撮影する装置の意)である。しかし、これらの方法のどちらが優れているかについては、未だコンセンサスが得られていない。
そこで、今回のメタ解析では、CTスキャンがCOVID-19の診断に使用できるかどうかという疑問に答えることを目的とした。
方法
検索は、Medline、Embase、Scopus、Web of Scienceのデータベースで2020年4月末まで実施した。
研究者2名がCOVID-19の診断におけるCTスキャンの感度と特異性を評価しようとした診断精度研究のデータを収集した。
結果
・研究9件のデータが含まれていた。
・すりガラス状陰影(ground glass opacity, GGO)、浸潤影、胸水、他のCT特徴、他のCT特徴との同時観察の曲線下面積は、それぞれ0.64(95%CI 0.60~0.69)、0.30(95%CI 0.26~0.34)、0.60(95%CI 0.56~0.64)、0.61(95%CI 0.56~0.65)、0.90(95%CI 0.87~0.92)であった。
・他のCTスキャン特徴とGGOの同時観察の感度および特異度は、他のすべての徴候よりも高かった。この徴候の感度は0.90、特異度は0.89、診断オッズ比は20と計算された。
結論
COVID-19の検出には、CTスキャンでのGGOと他のウイルス性肺炎の特徴を同時に観察することが最適であった。しかし、2つの診断モダリティはいずれも単独では信頼できないため、最終的な診断はCTスキャンとRT-PCRの両方で行うことが推奨される。
コメント
SARS-CoV2感染後の肺炎発生時期は?
SARS-CoV2の感染によりCOVID-19肺炎が引き起こされることは最早周知の事実でしょう。これまで、COVID-19初期から肺炎特異的な “すりガラス状陰影” が認められるとの報告があります。したがって、COVID-19の確定診断のためにCTスキャンが有用であり、多くの研究報告があります。ただし、肺炎像は全例で認められているわけでなく、かつ感染後の肺炎発生時期も異なります。
CTスキャンとRT-PCR、比較する必要性とは?
以前からRT-PCRを用いることにより、SARS-CoV2感染の可能性について検査しています。ただし、用いるサンプルにより感度、特異度が異なるため、やはりRT-PCRだけでは確定診断できません。したがって、CTスキャンとRT-PCRを比較することに意味はありません。
今回の研究で明らかになったこととは?
研究9件のメタ解析により以下の結果が得られました;
項目名 感度 特異度 オッズ比
- すりガラス状陰影(GGO):0.61(0.39〜0.79) 0.62(0.32〜0.85) 3(1〜7)
- 浸潤影 :0.22(0.09〜0.45) 0.61(0.22〜0.90) 0(0〜1)
- 胸水 :0.12(0.03〜0.38) 0.89(0.73〜0.96) 1(0〜3)
- 他のCT特徴 :0.48(0.26〜0.71) 0.70(0.44〜0.87) 2(0〜2)
- 他のCT特徴との同時観察 :0.89(0.82〜0.93) 0.72(0.53〜0.85) 20 (10〜41)
本研究結果により、やはり単独の検査ではなく、複合的に検査すること、つまりRT-PCRとCTスキャン両方を実施することの有用性が示されました。
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