Meta-Analysis Comparing the Safety and Efficacy of Prasugrel and Ticagrelor in Acute Coronary Syndrome
Waqas Ullah et al.
Am J Cardiol. 2020 Jul 17;S0002-9149(20)30688-3. doi: 10.1016/j.amjcard.2020.07.017. Online ahead of print.
PMID: 32771221
DOI: 10.1016/j.amjcard.2020.07.017
背景
経皮的冠動脈インターベンションを受けた急性冠症候群患者に対しては、クロピドグレルよりもプラスグレルとチカグレロルの方が好ましい。
我々は、他の薬剤に対する ある薬剤の相対的なメリットを決定することを求めた。
方法
関連するランダム化対照試験(RCT)および観察的コホート研究を特定するために、複数のデータベースを検索した。
主要有害心血管・脳血管イベント(MACCE)とその構成要素の未調整オッズ比(OR)の算出には、ランダム効果モデルを使用した。
結果
・患者118,266例(プラスグレル 62,716例、チカグレロル 51,196例)からなる合計27件(RCT7件、観察的コホート研究20件)の研究が含まれていた。
・30日目の時点で、プラスグレルはMACCE(OR 0.75、95%信頼区間[CI] 0.67~0.85、p≦0.0001)および死亡率(OR 0.65、95%CI 0.59~0.71、p≦0.0001)のオッズを有意に低下させた。
・1年後の死亡率のオッズは全体的にプラスグレルが有利であった(OR 0.79、95%CI 0.68~0.92、p=0.002)が、MACCEに関しては有意な薬剤間の差は認められなかった(OR 0.89、95%CI 0.76~1.05、p=0.16)。
・30日後と1年後の追跡調査では、2群間で全心筋梗塞、再灌流、ステント血栓症、脳卒中、大出血イベントのオッズに有意差は認められなかった。
・RCTデータのサブグループ解析では、すべての時点でどのエンドポイントにおいてもプラスグレルとチカグレロルの間に有意差は認められなかった。
結論
プラスグレルは30日後のMACCEと死亡率のオッズが低い可能性がある。しかし、2剤の1年後の安全性と有効性のエンドポイントには差がなかった。
観察された一過性のプラスグレル関連死亡率の有益性は、非ランダム化割り付けのバイアスの影響を受けた。
コメント
アスピリンに対し比較的新しい抗血小板薬であるプラスグレル(エフィエント®️)及びチカグレロル(ブリリンタ®️)の比較研究は限られています。過去の検討結果では、PCI後の二重血小板薬使用において、クロピドグレルよりもプラスグレルやチカグレロルが優れている可能性が示唆されています。しかし、その効果の大きさについては議論の余地があります。
さて、本試験結果によれば、試験27件(RCT7件、観察的コホート研究20件)のメタ解析の結果、30日目におけるMACCE及び死亡率に対するプラスグレル使用は、チカグレロルと比較して、オッズ比の有意な低下が認められました。一方、プラスグレルの使用はチカグレロルと比較して、1年後のMACCEは減少傾向、1年後の死亡率については有意な減少が認められました。
両群間で1日薬価に大きな違いは無いように思います。用法も考慮するとプラスグレルの方が良いのかもしれませんが、本試験結果のみでは結論づけられないように思われます。
アスピリンでも充分な患者もいると考えられますので、リスクとベネフィット、コストや患者の意向も鑑み治療方針を決定する方が良いように思います。
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