Hydroxychloroquine in patients with mainly mild to moderate coronavirus disease 2019: open label, randomised controlled trial
BMJ 2020; 369 doi: https://doi.org/10.1136/bmj.m1849 (Published 14 May 2020)
BMJ 2020;369:m1849P
MID: 32409561
DOI: 10.1136/bmj.m1849
Trial registration: ChiCTR2000029868.
目的
成人コロナウイルス疾患2019(covid-19)を対象に、標準治療単独と比較して、ヒドロキシクロロキン+標準治療の有効性と安全性を評価すること。
試験デザイン
施設共同、オープンラベル、ランダム化比較試験。
試験設定
中国の政府指定のcovid-19治療センター16施設、試験期間は2020年2月11日~29日。
試験参加者
臨床検査でCOVID-19が確認された入院患者150人が治療意図解析に含まれた(75人がヒドロキシクロロキン+標準治療、75人が標準治療のみに割り付けられた)。
介入
ヒドロキシクロロキンを1日1200mgを負荷用量として3日間投与した後、1日800mgを維持用量として投与した。
総治療期間:軽度から中等度の患者では2週間、重度の患者では3週間
主要評価項目
重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の陰性転換率を28日までに測定し、intention to treatの原則に基づいて分析した。
有害事象は、ヒドロキシクロロキンの投与を少なくとも1回受けた参加者をヒドロキシクロロキン投与者とし、ヒドロキシクロロキン非投与者は標準治療のみで管理された参加者とした安全性集団で分析した。
結果
・患者150人の患者のうち、148人が軽度~中等度の疾患を有し、2人が重度の疾患を有していた。
・症状発症からランダム化までの平均期間は16.6日(SD10.5;範囲3~41)であった。
・合計109例(73%)の患者(56例の標準治療:56例、標準治療+ヒドロキシクロロキン:53例)は28日よりもかなり前に陰性転換し、残りの41例(27%)はウイルスの陰性転換に至らなかったため打ち切られた。
・標準治療+ヒドロキシクロロキン群の28日までの陰性転換率は85.4%(95%信頼区間73.8%~93.8%)で、標準治療群(81.3%、71.2%~89.6%)と同程度であった。
・群間差は4.1%(95%信頼区間 -10.3%~18.5%)であった。
・安全性集団において、有害事象は、ヒドロキシクロロキン非投与群で7/80例(9%)、ヒドロキシクロロキン投与群で21/70例(30%)に記録された。
・ヒドロキシクロロキン投与群で最も多かった有害事象は下痢であり、7/70例(10%)で報告された。
・重篤な有害事象を報告したヒドロキシクロロキン投与患者は2例であった。
結論
主に持続性の軽度から中等度のcovid-19で入院した患者において、ヒドロキシクロロキンの投与は、標準治療のみの場合と比較して陰転する確率を有意に高くしなかった。
有害事象は、ヒドロキシクロロキン投与を受けた患者では、非投与患者よりも高率であった。
コメント
軽症から中等度COVID-19患者におけるヒドロキシクロロキンの効果を検証した試験。
施設数のわりには組み入れられた患者数が150例と、少ないように感じました。
さて、98.7%が軽度から中等度の患者集団において、標準治療+ヒドロキシクロロキン群では、標準治療群と比較して、28日までの陰性転換率が同程度でした。
ただし、有害事象はヒドロキシクロロキン群で30%と、標準治療(9%)に比べて約3倍多かったようです。有害事象の中では下痢が多かったとのこと。
また本試験はオープンラベルですが、アウトカムへの影響は限りなく少ないと考えられます。
内的妥当性について決して高いとは言えませんが、試験結果は過去の報告と一致しています。COVID-19に対するヒドロキシクロロキンの効果はなさそうです。
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