Incidence of thrombotic complications in critically ill ICU patients with COVID-19.
Klok FA et al.
Thromb Res. 2020 Apr 10. pii: S0049-3848(20)30120-1.
doi: 10.1016/j.thromres.2020.04.013.
KEYWORDS: COVID-19; Deep vein thrombosis; Pulmonary embolism; Stroke; Thromboprophylaxis
PMID: 32291094
PMCID: PMC7146714
背景
COVID-19は、過剰な炎症、低酸素、固定化および、びまん性の血管内凝固により、静脈および動脈血栓塞栓症を引き起こす可能性がある。しかし、血栓性合併症の発生率に関する報告はない。
方法
オランダの大学病院2施設および教育病院1施設のICUに入院したCOVID-19患者を対象に、症候性急性肺塞栓症(PE)、深部静脈血栓症、虚血性脳卒中、心筋梗塞、全身性動脈塞栓症の複合アウトカムの発生率を評価した。
結果
・我々は、COVID-19肺炎が証明されたICU患者184人を調査したが、そのうち23人(13%)が死亡、22人(12%)が生存で退院、139人(76%)が2020年4月5日時点でもICUに入院していた
・すべての患者は少なくとも標準用量の血栓予防薬を投与されていた。
・複合転帰の累積発生率は31%(95% CI 20~41%)で、そのうちCT肺血管造影(CT pulmonary angiogram, CTPA)および/または超音波検査で静脈血栓塞栓症(Venous thrombosis, VTE)が確認されたのは27%(95%CI 17~37%)、動脈血栓性イベントは3.7%(95%CI 0~8.2%)であった。
・血栓性合併症はPEが最も頻度が高かった(n = 25、81%)。年齢(調整後ハザード比(aHR)=1.05/年、95%CI 1.004〜1.010)および凝固障害(プロトロンビン時間の自然延長>3秒または活性化部分トロンボプラスチン時間>5秒と定義;aHR =4.1、95%CI 1.9〜9.1)は、血栓性合併症の独立した予測因子であった。
結論
COVID-19感染症を有するICU患者における血栓性合併症の発生率は31%と非常に高い。我々の知見は、ICUに入院したすべてのCOVID-19患者に薬理学的血栓症予防を厳格に適用することの推奨を補強するものであり、ランダム化されたエビデンスがない場合でも、高予防量に向けて予防強化することを強く示唆している。
コメント
オランダの3施設で実施された症例集積研究。
184例のうち31%で血栓性合併症が認められたとのこと。凝固障害が血栓性合併症の独立した予測因子であるとすると、確かに薬理学的血栓症予防の適応が重要かもしれませんが、個人的には、著者の結論はややオーバースペキュレーションであると考えます。
なぜなら試験の対象となった全ての患者が標準用量の血栓予防薬を投与されていたからです。したがって血栓予防だけでは、解決できない可能性があります。
続報を待ちたい。
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