通勤が健康をむしばむ？通勤時間と手段が都市住民の心身に与える影響とは（システマティックレビュー; Journal of Transport & Health 2025）

00_その他

Photo by Ingo Joseph on Pexels.com

2025.06.18

この記事は約5分で読めます。

◆ はじめに：都市通勤がもたらす“見えない代償”
◆ 研究の概要と主な結果
コメント
✅まとめ✅ システマティックレビューの結果、通勤時間の長さ（長時間通勤）は、睡眠の質の低下、高血圧、不健康な体脂肪率の上昇と関連しており、特に女性では男性よりも心理的・身体的影響が大きく出やすい可能性が明らかとなりました。
根拠となった試験の抄録
引用文献

◆ はじめに：都市通勤がもたらす“見えない代償”

仕事のための通勤——多くの人が毎日繰り返すこの行為が、実は健康に悪影響を及ぼしている可能性があるとしたらどうでしょうか？

都市化が進む現代、経済活動を支える日常的な移動は避けがたいものです。この日常的な移動の影響について、充分に検証されていません。

そこで今回は、「通勤の長さ」や「通勤手段」が、都市住民の心身の健康と生活の質にどのような影響を及ぼすのか、特に男女間の違いに注目して検討された、システマティックレビュー・メタ解析の結果をご紹介します。

◆ 研究の概要と主な結果

本研究は、都市住民における通勤時間・通勤手段と健康指標の関係性を性差の視点から分析したものです。以下は、抄録に基づいた要点です。

🔍 主な観察結果

観察項目	健康への影響・傾向
通勤時間の長さ（長時間通勤）	睡眠の質の低下、高血圧、不健康な体脂肪率の上昇と関連
女性の通勤による負荷	男性よりも心理的・身体的影響が大きく出やすい
徒歩・自転車などアクティブな通勤手段	より良好な健康状態や精神的安定と関連

特に注目すべきは、女性労働者が通勤時間により強く影響を受ける傾向です。
同じ条件でも女性の方が健康リスクが高まりやすく、睡眠の質や生活習慣病のリスクに差が生じることが示されました。

◆ 解説：なぜ通勤が健康に影響を与えるのか？

長時間の通勤は、1日の「余白時間（可処分時間）」を奪い、睡眠や運動、食事などの健康行動に悪影響を及ぼします。さらに、交通渋滞や満員電車といった通勤ストレスは、慢性的な交感神経優位状態を引き起こし、血圧上昇や疲労蓄積にもつながります。

一方で、徒歩や自転車といったアクティブ通勤は、身体活動量を増やすことにより、メンタルヘルスや体力維持に好影響をもたらすとされます。

◆ 臨床的意義と実生活への示唆

この研究から得られる重要な示唆は次の通りです。

通勤時間の長さそのものが、都市住民の健康課題の一因となりうる
女性においては、通勤による健康影響がより顕著に現れる
通勤手段の見直し（徒歩・自転車）によって、心身の健康を保ちやすくなる可能性

これは単なる「移動」の問題ではなく、働き方改革や都市政策、公共交通機関の整備、職住接近の促進といった広範な社会的課題と深く結びついています。

◆ 試験の限界と今後の課題

この研究には以下のような限界も存在します：

因果関係の証明には限界がある
　本研究はシステマティックレビューであり、通勤と健康リスクの因果関係までは確定できません。
都市の文化・交通状況に左右される可能性
　研究対象地域の交通事情や社会背景により、結果の一般化には注意が必要です。
主観的な健康評価が混在している可能性
　一部の健康アウトカムが自己申告であるため、バイアスが含まれる可能性があります。

◆ おわりに：健康を支える「通勤の選択肢」を

通勤は毎日のルーティンだからこそ、その積み重ねが健康に与える影響は決して小さくありません。特に、働く女性にとっては見逃されがちな健康課題です。

今後は、企業・行政・個人のレベルで、「働く人が心身ともに健やかに過ごせる通勤環境づくり」が求められます。あなたの通勤スタイルも、今一度見直してみてはいかがでしょうか？

ただし、本研究はシステマティックレビューのみであり、結果の統合は行われていません。また、対象となった研究数や研究の質についても抄録からは読み取れません。

より質の高い研究デザインの適用、結果の再現性の確認を含めて更なる検証が求められます。

続報に期待。

✅まとめ✅ システマティックレビューの結果、通勤時間の長さ（長時間通勤）は、睡眠の質の低下、高血圧、不健康な体脂肪率の上昇と関連しており、特に女性では男性よりも心理的・身体的影響が大きく出やすい可能性が明らかとなりました。

根拠となった試験の抄録

導入：経済的なニーズを満たすために都市内での定期的な移動に対する需要が高まり続けていることは、都市住民の生活に多くの悪影響を及ぼしています。通勤における自家用車利用の急増は、都市住民の健康状態を悪化させる更なる要因となっています。排出量に加え、自宅と職場間の混雑と長時間の移動は、個人の健康に重大な悪影響を与えることが分かっています。そこで本稿では、男女差に焦点を当て、都市通勤者の健康全般に対する通勤時間と移動手段の影響についての理解を深めることを目指します。

観察：ほとんどの研究は、道路上での過剰な移動時間が、仕事以外の生活のための時間を奪い、通勤者の精神状態に混乱をもたらすという点で一致しています。都市部の通勤者にとって、この追加の時間的プレッシャーは、睡眠不足、高血圧、そして不健康な脂肪レベルの上昇を引き起こす可能性があることが観察されています。これらの研究結果全体を通して、女性労働力の損失はより大きかったことが示されました。特定の移動条件下において、アクティブな通勤手段を用いた通勤は、全体的な幸福度の向上と関連していました。

結論：空間的範囲を拡大するためには、世界の成長経済国において、このような探究的な研究をより多く行う必要があります。通勤のための運転と長期的な健康状態との因果関係をより良く分析するために、協調的な取り組みが推奨されます。運転が整形外科的強度に与える影響をジェンダーの視点から考察することで、知識体系の堅牢性を高め、包括的な政策提言の根拠を強化することができます。