成人肥満症に対するGLP-1受容体作動薬オルフォルグリプロンの効果はどのくらい?(DB-RCT; GZGI試験; N Engl J Med. 2023)

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新規GLP-1受容体作動薬であるオルフォルグリプロンの効果は?

肥満は、世界的に多くの主要な疾病および死因の主要な危険因子です。非ペプチド性グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体作動薬であるオルフォルグリプロン(Orforglipron)は、経口投与が可能であり、さらに空腹時服用の制限がないことから既存のGLP-1受容体作動薬と比較して利便性が高い可能性があります。しかし、成人肥満症に対する1日1回の経口減量療法としての有効性と安全性に関するデータは充分ではありません。

そこで今回は、肥満症、または過体重に加え少なくとも1つの体重関連疾患を併発し、糖尿病を合併していない成人を対象とした第2相ランダム化二重盲検試験の結果をご紹介します。

試験参加者はオルフォルグリプロンを1日1回、4用量(12、24、36、45mg)またはプラセボを36週間投与される群にランダムに割り付けられました。体重のベースラインからの変化率は26週目(主要エンドポイント)と36週目(副次的エンドポイント)に評価されました。

試験結果から明らかになったことは?

272例の参加者がランダム割付けを受けました。ベースライン時の平均体重は108.7kg、平均体格指数(BMI)は37.9でした。

オルフォルグリプロン群プラセボ群
体重のベースラインからの平均変化(26週目)-8.6% 〜 -12.6%-2.0%
体重のベースラインからの平均変化(36週目)-9.4% 〜 -14.7%-2.3%
 少なくとも10%の体重減少が認められた患者割合46〜75%9%

26週目の体重のベースラインからの平均変化は、オルフォルグリプロン投与群では-8.6% 〜 -12.6%の範囲であり、プラセボ群では-2.0%でした。

36週目の平均変化はオルフォグリプロン群で-9.4% 〜 -14.7%、プラセボ群で-2.3%でした。36週目までに少なくとも10%の体重減少が認められたのは、オルフォルグリプロン投与群で46〜75%、プラセボ投与群で9%でした。

オルフォルグリプロンの使用により、事前に規定されたすべての体重関連指標および心代謝指標が改善しました。

オルフォルグリプロンで報告された最も一般的な有害事象は胃腸障害(軽〜中等度)であり、主に用量漸増中に発現しました。用量コホート全体で10~17%の参加者がオルフォルグリプロンの投与中止に至りました。オルフォルグリプロンの安全性プロファイルは、GLP-1受容体作動薬クラスのものと一致していました。

コメント

経口投与可能なGLP-1受容体作動薬の開発が盛んに行われています。特にEli Lilly and Companyが開発中のオルフォルグリプロンは、既存のGLP-1受容体作動薬であるセマグルチドのような制限(経口服用後30分間の絶食)がないことから、期待が寄せられています。

さて、第2相ランダム化二重盲検試験の結果によれば、非ペプチド性GLP-1受容体作動薬であるオルフォルグリプロンの連日経口投与は体重減少と関連していました。ただし、最も一般的な有害事象として胃腸障害(軽〜中等度)が報告されており、主に用量漸増中に発現しています。また用量コホート全体で参加者のうち10~17%が投与中止を報告しています。どのような患者で利益が最大化するのか、検証が求められます。

第3相試験の結果が待たれます。続報に期待。

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✅まとめ✅ 非ペプチド性GLP-1受容体作動薬であるオルフォルグリプロンの連日経口投与は体重減少と関連していた。

根拠となった試験の抄録

背景:肥満は、世界的に多くの主要な疾病および死因の主要な危険因子である。非ペプチド性グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体作動薬であるオルフォルグリプロンの成人肥満症に対する1日1回の減量経口療法としての有効性と安全性に関するデータが必要である。

方法:この第2相ランダム化二重盲検試験において、肥満症、または過体重に加え少なくとも1つの体重関連疾患を併発し、糖尿病を合併していない成人を登録した。参加者はオルフォルグリプロンを1日1回、4用量(12、24、36、45mg)またはプラセボを36週間投与される群にランダムに割り付けられた。体重のベースラインからの変化率は26週目(主要エンドポイント)と36週目(副次的エンドポイント)に評価された。

結果:272例の参加者がランダム割付けを受けた。ベースライン時の平均体重は108.7kg、平均体格指数(BMI)は37.9であった。26週目の体重のベースラインからの平均変化は、オルフォルグリプロン投与群では-8.6% 〜 -12.6%の範囲であり、プラセボ群では-2.0%であった。36週目の平均変化はオルフォルグリプロン群で-9.4% 〜 -14.7%、プラセボ群で-2.3%であった。36週目までに少なくとも10%の体重減少が認められたのは、オルフォルグリプロン投与群の46〜75%で、プラセボ投与群の9%であった。オルフォルグリプロンの使用により、事前に規定されたすべての体重関連指標および心代謝指標が改善した。オルフォルグリプロンで報告された最も一般的な有害事象は胃腸障害であり、軽度から中等度のもので、主に用量漸増中に発現し、用量コホート全体で10~17%の参加者がオルフォルグリプロンの投与中止に至った。オルフォルグリプロンの安全性プロファイルは、GLP-1受容体作動薬クラスのものと一致していた。

結論:非ペプチド性GLP-1受容体作動薬であるオルフォルグリプロンの連日経口投与は体重減少と関連していた。オルフォルグリプロンで報告された有害事象は、注射可能なGLP-1受容体作動薬と同様であった。

資金提供:イーライリリー社

試験登録:ClinicalTrials.gov番号 NCT05051579

引用文献

Daily Oral GLP-1 Receptor Agonist Orforglipron for Adults with Obesity
Sean Wharton et al. PMID: 37351564 DOI: 10.1056/NEJMoa2302392
N Engl J Med. 2023 Jun 23. doi: 10.1056/NEJMoa2302392. Online ahead of print.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37351564/

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