37年間のコホート研究において死亡リスクに対するクロノタイプの影響が明らかに
年代と死亡率に関するUKバイオバンク研究では、6.5年間の追跡調査において、全死因死亡率と心血管系死亡率のわずかな増加が示唆されました。しかし、より長期間にわたる研究結果は示されていません。
そこで今回は、フィンランドで行われたより長期間の追跡調査の結果をご紹介します。
本試験は1981年に集団ベースの成人フィンランド双生児コホートに対して質問票を実施しました(回答率84%)。研究対象者は、「自分がどの程度朝型人間か夜型人間かを評価してみてください」という質問に対して、4つの選択肢(「明らかに朝型人間」から「明らかに夜型人間」までのアンカー付き)で回答した23,854例を対象としました。バイタルステータスと死因のデータは、2018年末までの全国的な登録から提供されました。
死亡率のハザード比は8,728例の死亡に基づいて計算され、教育、アルコール、喫煙、BMI、睡眠時間について調整が行われました。
試験結果から明らかになったことは?
死亡のハザード比 (95%CI) | |
朝型群 | Reference HR 1.00 |
ある程度朝型群 | HR 1.00(0.95〜1.06) P=0.969 |
ある程度夜型群 | HR 1.04(0.98〜1.11) P=0.168 |
夜型群 | HR 1.09(1.01〜1.18) P=0.028 |
共変量調整モデルでは、夜型群では全死因死亡率が9%増加し(HR 1.09、95%CI 1.01〜1.18)、主に喫煙とアルコールによる減衰が認められました。
これらの重要性は、非喫煙者であっても飲酒量が少ない場合には死亡率の増加はみられなかったことで強調されました。原因別死亡率の増加はみられませんでした。
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クロノタイプは、個人が生来有している概日リズムの表現型であり、朝から夕方にかけて1日のうちで、日常活動に適した時間帯のことです。遅いクロノタイプ(夜型)は、夕方に活動を好み、睡眠のタイミングが遅くなることと関連しています。慢性的な睡眠不足は、睡眠時間や睡眠の質の低下、睡眠のタイミングのズレとして現れ、多くの健康上のネガティブな結果と関連しています。遺伝的要因は、睡眠の質、睡眠時間、クロノタイプ(日周型)など、睡眠の多くの側面に影響を与えることが示唆されています。
朝型人間か夜型人間かは人々の関心の高いところですが、死亡リスクに対する影響については明らかとなっていません。
さて、フィンランドの37年間にわたるコホート研究の結果、死亡率に対するクロノタイプの独立した寄与はほとんどないことが示唆されました。
ただし本試験の制限として、クロノタイプは1つの自己申告式の質問で評価され、4つの回答カテゴリー(明らかに、あるいはある程度朝型/夜型)ですが「どちらともいえない」などの中間的な選択肢がなかったことがあげられます。アンケート調査では、中間がないことは結果のばらつきをもたらす可能性があります。また試験期間中にクロノタイプが変更となる可能性もあることから、誤分類バイアスなどの影響を排除することができません。したがって、現時点においてはクロノタイプによる死亡リスクへの影響については不明です。
続報に期待。
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