グリーンキウイフルーツは便秘症状を改善するのか?
グリーンキウイフルーツの摂取は、便秘を解消することが知られています。また、これまでの研究では、胃腸(GI)快適性の改善も報告されていますが、エビデンスはかぎられています。
そこで今回は、グリーンキウイフルーツの摂取がGI機能および快適性に及ぼす影響について調査したクロスオーバーランダム化比較試験の結果をご紹介します。
本試験では健康な対照者(n=63)、機能性便秘(FC)患者(n=60)、便秘優位の過敏性腸症候群(IBS-C)患者(n=61)を対象に、1日あたりグリーンキウイフルーツまたはサイリウム(7.5 g)を4週間摂取し、その後4週間の休止期間を経て、4週間もう一方の治療法をランダムに割り当て行われました。
本試験の主要アウトカムは、1週間あたりの完全自然排便(CSBM)回数とした。副次的アウトカムは、検証済みの尺度であるGI症状評価尺度を用いて測定されたGI快適性などであった。データ(intent-to-treat)は、AB/BAクロスオーバーデザインに適した反復測定分散分析により、ベースラインからの差として分析された。
試験結果から明らかになったことは?
グリーンキウイフルーツの摂取は、臨床的に意義のある週当たり1.5以上の完全自然排便の増加と関連しており(FC:1.53、P<0.0001、IBS-C:1.73、P=0.0003)、便秘症患者におけるGI快適性の尺度(GI症状評価尺度合計点)を有意に改善しました(FC:P<0.0001、IBS-C:P<0.0001)。
※いずれも食物繊維であるサイリウムとの比較
有意な有害事象は認められませんでした。
コメント
便秘症は単独あるいは様々な疾患に併存して認められる一般的な疾患です。便秘症治療薬はあくまでも対症療法であり、運動や食事療法などのライフスタイルの変化(改善)による根本的な治療が求められます。食事療法の一つとしてグリーンキウイフルーツがあげられますがエビデンスが限られています。
さて、本試験によれば、便秘集団における新鮮なグリーンキウイフルーツの摂取は、ベースラインと比較して、また食物繊維であるサイリウムと比較して、完全自然排便の回数を増加させました。
本試験ではグリーンキウイフルーツを1日2個、4週間摂取しています。ややコストがかかる方法であること、本試験では触れられていませんが、体重などのパラメータへの影響などが懸念されます。
続報に期待。
☑まとめ☑ 便秘集団における新鮮なグリーンキウイフルーツの摂取は、ベースラインと比較して、またサイリウムと比較して、完全自然排便の回数を増加させた。
根拠となった試験の抄録
はじめに:グリーンキウイフルーツの摂取は、便秘を解消することが知られている。また、これまでの研究では、胃腸(GI)快適性の改善も報告されている。我々は、グリーンキウイフルーツの摂取がGI機能および快適性に及ぼす影響について調査した。
方法:健康な対照者(n=63)、機能性便秘(FC)患者(n=60)、便秘優位の過敏性腸症候群(IBS-C)患者(n=61)を対象に、1日あたりグリーンキウイフルーツまたはサイリウム(7.5 g)を4週間摂取し、その後4週間の休止期間を経て、4週間もう一方の治療法をランダムに割り当てて行った。
主要アウトカムは、1週間あたりの完全自然排便(CSBM)回数とした。副次的アウトカムは、検証済みの尺度であるGI症状評価尺度を用いて測定されたGI快適性などであった。データ(intent-to-treat)は、AB/BAクロスオーバーデザインに適した反復測定分散分析により、ベースラインからの差として分析された。
結果:グリーンキウイフルーツの摂取は、臨床的に意義のある週当たり1.5CSBM以上の増加と関連し(FC:1.53、P<0.0001、IBS-C:1.73、P=0.0003)、便秘症参加者のGI快適性の尺度(GI症状評価尺度合計点)を有意に改善した(FC:P<0.0001、IBS-C:P<0.0001)。また、有意な有害事象は認められなかった。
考察:本研究は、新鮮な丸ごと果物の摂取が、便秘の人々において、完全自然排便の臨床的に適切な増加および胃腸快適性の指標の改善を示したという独自の証拠を提供するものである。グリーンキウイフルーツは、便秘の緩和とそれに伴う胃腸快適性のための適切な食事療法である。
臨床試験登録:ClinicalTrials.gov NCT02888392
引用文献
Consumption of 2 Green Kiwifruits Daily Improves Constipation and Abdominal Comfort-Results of an International Multicenter Randomized Controlled Trial
Richard Gearry et al. PMID: 36537785 DOI: 10.14309/ajg.0000000000002124
Am J Gastroenterol. 2023 Jan 9. doi: 10.14309/ajg.0000000000002124. Online ahead of print.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36537785/
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