性活動と死亡率の関連はあるのか?(BMJ. 1997)

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ー 10年間追跡研究から読み解く男性の健康指標

性生活が寿命へ及ぼす影響は?

生活習慣と健康の関連については、運動・食事・喫煙などがよく議論されます。一方で、性生活と健康の関係は話題にされることは多いものの、科学的データは限られています。

今回は、英国で実施された前向きコホート研究(Caerphilly study)をもとに、
「オーガズム頻度と死亡率の関連」について解説します。


試験結果から明らかになったことは?

◆研究の背景

冠動脈疾患のリスクには、身体活動・心理状態・社会的要因などが影響します。
性活動は身体活動・心理的満足・ホルモン変化などを伴う行動であり、健康指標との関連がある可能性があります。

本研究では、性活動の指標としてオーガズム頻度を用い、死亡率との関連が検討されました。


◆研究デザイン

項目内容
研究デザイン前向きコホート研究
追跡期間約10年
対象45〜59歳男性918名
地域英国ウェールズ(Caerphillyおよび周辺村)
評価項目全死亡、冠動脈疾患死亡
主な曝露因子オーガズム頻度(自己申告)

◆研究結果

死亡率とオーガズム頻度の関連

指標結果
低頻度群 vs 高頻度群死亡リスク 約2倍
年齢補正OR(全死亡)2.0(95%CI 1.1~3.5)
危険因子調整後OR1.9(1.0~3.4)
トレンド検定p=0.04
100回/年増加ごとのOR0.64(0.44~0.95)

研究では、頻度が高い群ほど死亡率が低い傾向が観察されました。
冠動脈疾患死亡でも同様の傾向がみられ、特に心疾患死亡で差が大きいと報告されています。


◆研究結果から示唆されること

論文では、

  • 性活動は健康状態の指標になり得る
  • 性活動が生理的・心理的利益を持つ可能性がある

と述べられています。

ただし、因果関係については断定していません。


試験の限界

本研究には重要な制約があります。

1. 観察研究であり因果関係は不明

本研究はコホート研究であり、

  • 性活動が健康を改善したのか
  • 健康な人が性活動を維持できただけなのか

は区別できません。


2. 自己申告による曝露評価

オーガズム頻度は自己報告であり、

  • 記憶バイアス(思い出しバイアス)
  • 社会的望ましさバイアス

の影響を受ける可能性があります。


3. 対象が限定的

研究対象は

  • 中年男性のみ
  • 英国の特定地域

であり、女性や他民族への一般化はできません。


4. 交絡因子の残存可能性

生活習慣・心理状態・婚姻状況など、

  • 健康と性活動の双方に影響する因子

が完全に調整されているとは限りません。


5. 性活動の質・関係性は評価されていない

頻度のみが指標であり、

  • パートナー関係
  • 心理的満足度
  • 性機能障害

などは評価されていません。


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◆臨床的解釈

本研究は、

  • 性活動そのものの効果
  • 健康状態の反映

のどちらも考えられる結果です。

臨床的には、

  • 性活動が維持できる身体機能は健康指標になり得る
  • 性機能低下は疾患の早期サインの可能性

といった観点で解釈するのが現実的です。


◆まとめ

この10年追跡研究では、

  • オーガズム頻度が高い男性ほど死亡率が低い傾向
  • 心疾患死亡でも同様の関連
  • しかし因果関係は不明

という結果でした。

本研究は、性生活を健康行動として推奨するものではなく、性活動が健康状態の指標になり得る可能性を示した研究といえます。

試験デザインから逆因果については避けられません。また、性活動を継続できるだけの身体レベルやライフスタイルの維持が寄与していそうです。

再現性の確認を含めて更なる検証が求められます。

続報に期待。

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✅まとめ✅ コホート研究の結果、性行為は男性の健康に保護的な効果がある可能性が示唆された。

根拠となった試験の抄録

目的: オーガズムの頻度と死亡率の関係を調べること。

研究デザイン: 10年間の追跡調査を伴うコホート研究。

舞台: 南ウェールズのケアフィリーの町と隣接する5つの村。

被験者: 1979年から1983年までの募集時に45歳から59歳であった男性918名。

主な評価項目: すべての死亡および冠状動脈性心疾患による死亡。

結果: オーガズム頻度が高いグループでは低いグループよりも死亡リスクが50%低く、グループ間で用量反応関係が認められた。オーガズム頻度の低いグループの全死亡率の年齢調整オッズ比は2.0であった(95%信頼区間1.1~3.5、傾向検定P = 0.02)。リスク因子を調整すると、この値は1.9(1.0~3.4、傾向検定P = 0.04)になった。冠動脈性心疾患および他の原因による死亡はオーガズム頻度と同様の関連を示したが、その勾配は冠動脈性心疾患による死亡で最も顕著であった。実際のオーガズム頻度で分析すると、年間オーガズム100回の増加に関連する全死亡率のオッズ比は0.64(0.44~0.95)であった。

結論: 性行為は男性の健康に保護的な効果があるようです。

引用文献

Sex and death: are they related? Findings from the Caerphilly Cohort Study
G Davey Smith et al. PMID: 9448525 PMCID: PMC2128033 DOI: 10.1136/bmj.315.7123.1641
BMJ. 1997 Dec;315(7123):1641-4. doi: 10.1136/bmj.315.7123.1641.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9448525/

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