ダパグリフロジンとカロリー制限による2型糖尿病の寛解はどのくらいですか?(DB-RCT; BMJ. 2025)

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SGLT-2阻害薬とカロリー制限を組み合わせた効果はどのくらいか?

2 型糖尿病は世界的な公衆衛生上の課題であり、世界中で4億2,200万人の成人が罹患しています(IDF Diabetes Atlas. 10th ed. 2021)。これまでの研究報告によると、初期の2型糖尿病は必ずしも永続的な状態ではなく、集中的な体重管理プログラムによって改善できることが報告されています。

そこで今回は、2型糖尿病の寛解に対するダパグリフロジン+カロリー制限の効果を検討するために実施された二重盲検ランダム化比較試験の結果をご紹介します。

本試験は、多施設共同、二重盲検、無作為化、プラセボ対照試験であり、中国本土の16施設で2020年6月12日から2023年1月31日まで実施されました。試験参加者は20~70歳、肥満度25以上、糖尿病罹病期間6年未満の2型糖尿病患者328例でした。介入はダパグリフロジン10mg/日またはプラセボによるカロリー制限でした。

本試験の主要アウトカムは、糖尿病寛解の発生率(少なくとも2ヵ月間すべての抗糖尿病薬を使用しない状態で、糖化ヘモグロビン<6.5%、空腹時血糖<126mg/dLと定義)でした。副次アウトカムは12ヵ月間の体重、ウエスト周囲径、体脂肪、血圧、グルコースホメオスタシスパラメータ、血清脂質の変化でした。

試験結果から明らかになったことは?

ダパグリフロジン群プラセボ群リスク比
(95%CI)
糖尿病寛解の発生率44%(73/165例)28%(46/163例)リスク比 1.56
1.17~2.09
P=0.002

糖尿病の寛解は12ヵ月間でダパグリフロジン群44%(73/165例)、プラセボ群28%(46/163例)で達成され(リスク比 1.56、95%CI 1.17~2.09、P=0.002)、事前に定義された主要評価項目を満たしました。

群間差
(95%CI)
体重差 -1.3kg(-1.9 ~ -0.7
インスリン抵抗性のホメオスタシスモデル評価差 -0.8(-1.1 ~ -0.4

体重(差 -1.3kg、95%CI -1.9 ~ -0.7)およびインスリン抵抗性のホメオスタシスモデル評価(差 -0.8、-1.1 ~ -0.4)の変化は、ダパグリフロジン群でプラセボ群より有意に大きいことが示されました。同様に、体脂肪、収縮期血圧、代謝危険因子もプラセボ群よりダパグリフロジン群で有意に改善しました。

さらに、有害事象の発生についても両群間に有意差はみられませんでした。

コメント

2型糖尿病の罹患者数は増加しており、これに対して早急な対策が求められています。初期の2型糖尿病であれば改善できることが報告されていますが、ダパグリフロジンとカロリー制限との組み合わせによる効果については充分に検証されていません。

さて、中国で実施された二重盲検ランダム化比較試験の結果、過体重または肥満の2型糖尿病患者において、ダパグリフロジンと定期的なカロリー制限の併用療法は、カロリー制限単独療法と比較してはるかに高い糖尿病寛解率を達成しました。

罹患後6年未満など患者背景をとらえておく必要がありますが、初期の糖尿病であれば約4割の患者で緩解を実現できるようです。再現性の確認を含めて更なる検証が求められます。

続報に期待。

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✅まとめ✅ 中国で実施された二重盲検ランダム化比較試験の結果、過体重または肥満の2型糖尿病患者において、ダパグリフロジンと定期的なカロリー制限の併用療法は、カロリー制限単独療法と比較してはるかに高い糖尿病寛解率を達成した。

根拠となった試験の抄録

目的:2型糖尿病の寛解に対するダパグリフロジン+カロリー制限の効果を検討する。

試験デザイン:多施設共同、二重盲検、無作為化、プラセボ対照試験

試験設定:中国本土の16施設で2020年6月12日から2023年1月31日まで。

試験参加者:20~70歳、肥満度25以上、糖尿病罹病期間6年未満の2型糖尿病患者328例。

介入:ダパグリフロジン10mg/日またはプラセボによるカロリー制限。

主要アウトカム:糖尿病寛解の発生率(少なくとも2ヵ月間すべての抗糖尿病薬を使用しない状態で、糖化ヘモグロビン<6.5%、空腹時血糖<126mg/dLと定義)
副次アウトカム:12ヵ月間の体重、ウエスト周囲径、体脂肪、血圧、グルコースホメオスタシスパラメータ、血清脂質の変化。

結果:糖尿病の寛解は12ヵ月間でダパグリフロジン群44%(73/165例)、プラセボ群28%(46/163例)で達成され(リスク比 1.56、95%信頼区間(CI)1.17~2.09、P=0.002)、事前に定義された主要評価項目を満たした。体重(差 -1.3kg、95%CI -1.9 ~ -0.7)およびインスリン抵抗性のホメオスタシスモデル評価(差 -0.8、-1.1 ~ -0.4)の変化は、ダパグリフロジン群でプラセボ群より有意に大きかった。同様に、体脂肪、収縮期血圧、代謝危険因子もプラセボ群よりダパグリフロジン群で有意に改善した。さらに、有害事象の発生についても両群間に有意差はみられなかった。

結論:過体重または肥満の2型糖尿病患者において、ダパグリフロジンと定期的なカロリー制限の併用療法は、カロリー制限単独療法と比較してはるかに高い糖尿病寛解率を達成した。

臨床試験登録:ClinicalTrials.gov NCT04004793

引用文献

Dapagliflozin plus calorie restriction for remission of type 2 diabetes: multicentre, double blind, randomised, placebo controlled trial
Yuejun Liu et al. PMID: 39843169 PMCID: PMC11752448 DOI: 10.1136/bmj-2024-081820
BMJ. 2025 Jan 22:388:e081820. doi: 10.1136/bmj-2024-081820.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39843169/

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