医療専門職のバーンアウトを軽減する介入は有効か?
医師は職業上の強いプレッシャーにさらされており、そのことが燃え尽き症候群を増加させる一因となっている可能性があります。しかし、介入効果については充分に検証されていません。
そこで今回は、医師、研修中の医師、その他の医療専門職のバーンアウトを軽減するためにデザインされた介入の有効性を評価したメタ解析の結果をご紹介します。
本研究では、PubMedとEmbase(2023年1月6日まで)および参考文献リストが検索されました。医師およびその他の医療従事者における専門職の燃え尽き症候群を軽減するようにデザインされた介入を評価するすべてのランダム化研究が対象となりました(PRISMA報告ガイドラインが遵守された)。
研究および参加者の特徴、研究結果、研究の質に関するデータが抽出されました。ランダム効果モデルにより、介入群と対照群間のバーンアウト変化(介入前と介入後)の平均差がプールされました。
試験結果から明らかになったことは?
適格とされた38件の研究のうち31件(81.6%)が、Maslach Burnout Inventory(MBI)質問票を用いてバーンアウトを評価していました。
Maslach Burnout Inventory(MBI)質問票 | 平均差 (95%CI) |
感情的消耗の構成要素 | 平均差 -1.11(-2.14 ~ -0.09) I2=74. 5%;20研究 |
非人格化要素 | 平均差 -0.32(-0.63 ~ -0.01) I2=54.2%;17研究 |
個人的達成要素 | 平均差は1.11(-0.21 ~ 2.43) I2=94.3%;16研究 |
介入群と対照群を比較した場合、MBIの感情的消耗の構成要素の平均差は-1.11(95%信頼区間[CI] -2.14 ~ -0.09;I2=74. 5%;20研究)、MBIの非人格化要素の平均差は-0.32(95%CI -0.63 ~ -0.01;I2=54.2%;17研究)、MBIの個人的達成要素の平均差は1.11(95%CI -0.21 ~ 2.43;I2=94.3%;16研究)でした。
コメント
専門職のバーンアウトを軽減するための介入効果については充分に検証されていません。
さて、ランダム化比較試験を対象としたシステマティックレビュー・メタ解析の結果、医師のバーンアウトを減少させる介入を検証した研究では、バーンアウトのいくつかの領域において有意な数値的改善がみられましたが、これらの変化が臨床的バーンアウトに意味のある変化をもたらすとは考えにくいようでした。
本論文は有料であり、各試験において具体的にどのような介入を行ったのかについては不明です。医師をはじめとした専門職のバーンアウトを減少させるための具体的な介入と、その効果の程度について更なる検証が求められます。
続報に期待。
✅まとめ✅ 医師のバーンアウトを減少させる介入を検証した研究では、バーンアウトのいくつかの領域において有意な数値的改善がみられたが、これらの変化が臨床的バーンアウトに意味のある変化をもたらすとは考えにくいようであった。
根拠となった試験の抄録
背景:医師は職業上の強いプレッシャーにさらされており、そのことが燃え尽き症候群を増加させる一因となっている可能性がある。われわれは、医師、研修中の医師、その他の医療専門職のバーンアウトを軽減するためにデザインされた介入の有効性を評価しようとした。
方法:PubMedとEmbase(2023年1月6日まで)および参考文献リストを検索した。医師およびその他の医療従事者における専門職の燃え尽き症候群を軽減するようにデザインされた介入を評価するすべてのランダム化研究を対象とした。PRISMA報告ガイドラインを遵守した。研究および参加者の特徴、研究結果、研究の質に関するデータを抽出した。ランダム効果モデルを用いて、介入群と対照群間のバーンアウト変化(介入前と介入後)の平均差をプールした。
結果:適格とされた38件の研究のうち31件(81.6%)が、Maslach Burnout Inventory(MBI)質問票を用いてバーンアウトを評価していた。介入群と対照群を比較した場合、MBIの感情的消耗の構成要素の平均差は-1.11(95%信頼区間[CI] -2.14 ~ -0.09;I2=74. 5%;20研究)、MBIの非人格化要素の平均差は-0.32(95%CI -0.63 ~ -0.01;I2=54.2%;17研究)、MBIの個人的達成要素の平均差は1.11(95%CI -0.21 ~ 2.43;I2=94.3%;16研究)であった。
結論:医師のバーンアウトを減少させる介入を検証した研究では、バーンアウトのいくつかの領域において有意な数値的改善がみられたが、これらの変化が臨床的バーンアウトに意味のある変化をもたらすとは考えにくい。さらに、限られた追跡期間、偏った評価、介入効果の不均一性から、より効果的な介入を開発するためには、燃え尽きの原因についてより微妙な理解が必要であることが示唆された。
キーワード:コーチング、医師、専門職の燃え尽き症候群
引用文献
Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Trials Testing Interventions to Reduce Physician Burnout
Alyson Haslam et al. PMID: 37890569 DOI: 10.1016/j.amjmed.2023.10.003
Am J Med. 2023 Oct 25:S0002-9343(23)00656-3. doi: 10.1016/j.amjmed.2023.10.003. Online ahead of print.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37890569/
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