根拠となった試験の抄録
目的:これまで、主要な心血管危険因子の有無によって層別化された個人における不健康行動の蓄積と不眠症の関連は不明であった。本研究では、日本人の生活者において、蓄積された不健康な行動が不眠症に及ぼす影響を検討することを目的とした。
試験デザイン: 横断的研究
試験設定: 2012年4月から2015年3月までのベースラインデータ
試験参加者: 本研究では、農村地域の35~74歳の日本人(N=9,565)、自治体や職場で毎年実施される健康診断プログラムの参加者を対象とした横断的データを使用した。
主要アウトカム評価項目:不眠症はAthens Insomnia Scaleで評価した(6点以上)。参加者は、不健康行動(運動習慣なし、喫煙、飲酒、朝食抜き、肥満)の数により3群に分類された(0~1、2~3、4以上)。蓄積された不健康行動と不眠症の関連は、ロジスティック回帰分析によって推定した。さらに、人体計測と臨床生化学測定で評価した心血管危険因子を層別化した上で分析を行った。
結果:不眠症の全有病率は、男性で13.3%、女性で19.3%であった。不健康な行動因子を有する男性は、潜在的な交絡因子を調整した後、最も不健康でないグループと比較して、不眠症になる可能性が高かった(傾向p=0.013)。4つ以上の不健康な行動因子を有する女性は、最も低いグループと比較して、不眠症になる可能性が高かった(OR 1.175、95%CI 1.077~1.282)。不眠症は、心血管危険因子を有さない男性において、不健康な行動と関連があった(最低群:OR 1.133、95%CI 1.037~1.238、傾向p=0.026)。高血圧のない女性は、最低群と比較して、不眠症の疑いがある可能性が高かった(OR 1.215、95%CI 1.101~1.341)。
結論:日本人の生活者において、不健康な行動の積み重ねが不眠症のリスク上昇と関連することが示された。心血管危険因子を有さない健康な人々にとって、不健康な行動は不眠症の背景条件として考慮されるべきものである。
キーワード:健康政策、公衆衛生、睡眠医学
引用文献
Accumulated unhealthy behaviours and insomnia in Japanese dwellers with and without cardiovascular risk factors: a cross-sectional study
Suzuka Kato et al. PMID: 35428620 PMCID: PMC9014032 DOI: 10.1136/bmjopen-2021-052787
BMJ Open. 2022 Apr 15;12(4):e052787. doi: 10.1136/bmjopen-2021-052787.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35428620/
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