不健康行動の蓄積は不眠症リスクと関連する?(横断的研究; BMJ Open. 2022)

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心血管疾患リスクの有無が不健康行動と不眠症リスクにどのように関連するのか?

不健康行動(運動習慣なし、喫煙、飲酒、朝食抜き、肥満)が不眠症の発症リスクと関連していることは、これまでの報告から明らかです。一方、主要な心血管危険因子の有無によって層別化された個人における不健康行動の蓄積と不眠症の関連は不明です。

そこで今回は、日本人の生活者において、蓄積された不健康行動が不眠症に及ぼす影響を検討した横断研究の結果をご紹介します(ベースラインデータ:2012年4月から2015年3月まで)。本研究では、農村地域の35~74歳の日本人(N=9,565)、自治体や職場で毎年実施される健康診断プログラムの参加者を対象とした横断的データが使用されました。

本試験の主要アウトカム評価項目は不眠症であり、Athens Insomnia Scaleで評価されました(6点以上)。試験参加者は、不健康行動(運動習慣なし、喫煙、飲酒、朝食抜き、肥満)の数により3群に分類されました(0~1、2~3、4以上)。蓄積された不健康行動と不眠症の関連は、ロジスティック回帰分析によって推定され、さらに人体計測と臨床生化学測定で評価した心血管危険因子を層別化した上で分析が行われました。

試験結果から明らかになったことは?

不眠症の全有病率は、男性で13.3%、女性で19.3%でした。

不健康な行動因子を有する男性は、潜在的な交絡因子を調整した後、最も不健康でないグループと比較して、不眠症になる可能性が高いことが示されました(傾向p=0.013)。4つ以上の不健康な行動因子を有する女性は、最も低いグループと比較して、不眠症になる可能性が高いことが示されました(OR 1.175、95%CI 1.077~1.282)。

不眠症は、心血管危険因子を有さない男性において、不健康な行動と関連が認められました(最低群:OR 1.133、95%CI 1.037~1.238、傾向p=0.026)。高血圧のない女性は、最低群と比較して、不眠症の疑いがある可能性が高かいことと関連していました(OR 1.215、95%CI 1.101~1.341)。

コメント

心血管疾患リスク因子を有する集団においては、さまざまな疾患発症リスクを有することが示されています。しかし、不健康行動と不眠症にどのように影響するのかについては明らかとなっていません。

さて、横断研究の結果、日本人の生活者において、不健康な行動の積み重ねが不眠症のリスク上昇と関連する可能性が示されました。この相関は、心血管疾患リスクを有さない集団において特に認められました。

本データベースでは、自己報告型の質問票を用いていることから情報バイアスが潜在的に存在する可能性があります。また、未知の交絡因子や調整できていない要因が残存していることから、あくまでも仮説生成的な結果です。ランダム化比較試験などの前向き研究での検証が求められます。

続報に期待。

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✅まとめ✅ 日本人の生活者において、不健康な行動の積み重ねが不眠症のリスク上昇と関連する可能性が示された。心血管危険因子を有さない健康な人々にとって、不健康な行動は不眠症の背景条件として考慮されるべきものである。

次のページに根拠となった論文情報を掲載しています。

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