根拠となった試験の抄録
背景:一般的に使用されているCYP3A4阻害薬と直接経口抗凝固薬(DOAC)の相互作用の可能性に伴う出血リスクについては、コンセンサスが得られていない。
方法:本研究では、マクロライド系抗生物質とアゾール系抗菌薬について調査した。Food and Drug Administration Adverse Event Reporting Systemから2010年7月から2021年9月までのデータを取得した。出血シグナルは、「相互作用/非相互作用」の手法に基づくオッズ比(ROR)と95%信頼区間(CI)を(a/c)/(b/d)として報告し、95%CI下限が>1、「相互作用」群の症例数が≧3の場合に有意とした。出血イベントの関連因子を調整し、サブグループ解析およびロジスティック回帰を実施した。
結果:2010年第3四半期から2021年第1四半期までに、DOACに関連する有害事象382,853例を検索し、そのうち1,128例の出血がCYP3A4阻害薬とDOACの併用に関連していた。アピキサバンでは、クラリスロマイシン(ROR 1.60、95%CI 1.16〜2.20)およびポサコナゾール(ROR 2.69、95%CI 1.37〜5.28)と併用した場合に出血のシグナルは有意であった。ダビガトランでは、アジスロマイシン(ROR 4.06、95%CI 2.77〜5.95)、フルコナゾール(ROR 2.26、95%CI 1.52〜3.37)、イトラコナゾール(ROR 7.52、95%CI 1.51〜37.46)とケトコナゾール(ROR 2.06 、95%CI 1.25〜3.41)の併用によって出血のリスクが有意に高くなることと関連した。同時に、リバーロキサバンへのイトラコナゾールの追加も、有意な出血シグナル(ROR 3.58、95%CI 1.30〜9.85)を示した。
結論:マクロライド系抗生物質とアゾール系抗菌薬は、DOACの出血リスクに対して、潜在的ではあるが異なる影響を与える。これらの薬剤を併用する際には、細心の注意が必要である。このような注意事項は、すでにいくつかの薬剤のラベルに記載されている。
キーワード:CYP3A4阻害薬、DOACs、FEARS、出血性シグナル、相互作用
引用文献
Evidence of potential pro-hemorrhagic drug interactions between CYP3A4 inhibitors and DOACs: analysis of the FAERS database
Dandan Li et al. PMID: 36908021 DOI: 10.1111/bcp.15710
Br J Clin Pharmacol. 2023 Mar 12. doi: 10.1111/bcp.15710. Online ahead of print.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36908021/
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