症候性COVID-19曝露後患者に対するAZD7442(チキサゲビマブ/シルガビマブ)の予防投与の効果はどのくらいですか?(RCT; Clin Infect Dis. 2022)

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エバシェルド筋注セット(チキサゲビマブ/シルガビマブ)の暴露後予防投与の有効性・安全性はどのくらいなのか?

症候性新型コロナウイルス感染症(COVID-19)発症予防のための曝露後予防薬としてAZD7442(tixagevimab チキサゲビマブ/cilgavimab シルガビマブ、商品名:エバシェルド筋注セット)が使用できます。

今回は、AZD7442の症候性COVID-19暴露後予防投与について検証した第3相試験の主要結果を報ご紹介します。

本試験は、SARS-CoV-2感染歴がない、またはCOVID-19ワクチン未接種の成人を対象に、SARS-CoV-2感染者への曝露後8日以内に試験登録し、AZD7442 300mg単回投与(チキサゲビマブとシルガビマブを各1.5mL連続筋肉内注射)またはプラセボに2:1にランダム割り付けしました。

本試験の主要評価項目は、安全性と投与後183日目までにSARS-CoV-2逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)陽性の症候性COVID-19イベント初発でした。

試験結果から明らかになったことは?

平均年齢46歳、女性49%、AZD7442:749例、プラセボ:372例、計1,121例がランダム割り付けされました。追跡期間の中央値(範囲)はAZD7442が49日(5~115日)、プラセボが48日(20~113日)でした。

(1,121例)AZD7442
(チキサゲビマブ/シルガビマブ)
プラセボ相対リスク減少
(95%CI)
有害事象162/749例(21.6%)
ほとんどが軽度・中等度
111/372例(29.8%)
ほとんどが軽度・中等度
症候性COVID-19
(RT-PCR検査で陽性)
23/749例(3.1%)17/372例(4.6%)33.3%
-25.9~64.7)P=0.21

有害事象はAZD7442で162/749例(21.6%)、プラセボで111/372例(29.8%)に発生し、ほとんどが軽度・中等度でした。

RT-PCR陽性の症候性COVID-19は、AZD7442投与群で23/749例(3.1%)、プラセボ投与群で17/372例(4.6%)に発生しました(相対リスク減少33.3%、95%信頼区間[CI] -25.9~64.7 、P=0.21)。

(1,073例:
ベースライン時に
SARS-CoV-2 RT-PCR陰性
または検査結果なし)
AZD7442
(チキサゲビマブ/シルガビマブ)
プラセボ相対リスク減少
(95%CI)
症候性COVID-19
(RT-PCR検査で陽性)
6/715例(0.8%)11/358例(3.1%)73.2%
27.1~90.1

ベースライン時にSARS-CoV-2 RT-PCR陰性(n=974 [87%])またはRT-PCR結果を欠く(n=99 [9%])1,073例(96%)の定義済みサブグループ解析では、AZD7442はプラセボに対してRT-PCR陽性の症候性COVID-19を73.2%(95% CI 27.1~90.1)減少させました。

コメント

てAZD7442(tixagevimab チキサゲビマブ/cilgavimab シルガビマブ、商品名:エバシェルド筋注セット)は新型コロナウイルス感染症の治療だけでなく予防にも使用できます。その根拠となった臨床試験について、試験内容を確認してみました。

さて、本試験結果によれば、チキサゲビマブ/シルガビマブのプラセボに対する症候性COVID-19の曝露後予防(主要評価項目)は達成されませんでした。一方、ベースライン時にSARS-CoV-2 RT-PCR陰性またはRT-PCR結果を欠く参加者を対象とした事前設定解析では、チキサゲビマブ/シルガビマブは症候性COVID-19の発症を予防することが示されました。

COVID-19発症数としては全体で40例、サブ解析では17例であるため、そもそものCOVID-19のベースラインリスクが少ないと考えられます。予防効果は限られていることから、添付文書に記載のとおり、より重症化リスクが高い免疫不全者などを対象に使用した方が賢明と考えられます。

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☑まとめ☑ 本試験では、チキサゲビマブ/シルガビマブのプラセボに対する症候性COVID-19の曝露後予防(主要評価項目)は達成されなかった。しかし、ベースライン時にSARS-CoV-2 RT-PCR陰性またはRT-PCR結果を欠く参加者を対象とした事前設定解析では、チキサゲビマブ/シルガビマブの症候性COVID-19予防の役割を支持するものであった。

根拠となった試験の抄録

背景:症候性新型コロナウイルス感染症(COVID-19)発症予防のための曝露後予防薬としてのAZD7442(tixagevimab チキサゲビマブ/cilgavimab シルガビマブ)の第3相試験の主要結果を報告する。

方法:SARS-CoV-2感染歴がない、またはCOVID-19ワクチン未接種の成人を、SARS-CoV-2感染者への曝露後8日以内に登録し、AZD7442 300mg単回投与(チキサゲビマブとシルガビマブを各1.5mL連続筋肉内注射)またはプラセボに2:1にランダムに割り付けた。
主要評価項目は、安全性と投与後183日目までにSARS-CoV-2逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)陽性の症候性COVID-19イベント初発とした。

結果:平均年齢46歳、女性49%、AZD7442:749例、プラセボ:372例、計1,121例がランダム化され投与された。追跡期間の中央値(範囲)はAZD7442が49日(5~115日)、プラセボが48日(20~113日)であった。有害事象はAZD7442で162/749例(21.6%)、プラセボで111/372例(29.8%)に発生し、ほとんどが軽度・中等度であった。RT-PCR陽性の症候性COVID-19は、AZD7442投与群で23/749例(3.1%)、プラセボ投与群で17/372例(4.6%)に発生した(相対リスク減少33.3%、95%信頼区間[CI] -25.9~64.7 、P=0.21)。ベースライン時にSARS-CoV-2 RT-PCR陰性(n=974 [87%])またはRT-PCR結果を欠く(n=99 [9%])1,073例(96%)の定義済みサブグループ解析では、AZD7442はプラセボに対してRT-PCR陽性の症候性COVID-19を73.2%(95% CI 27.1~90.1)減少させた。

結論:本試験では、主要評価項目であるAZD7442のプラセボに対する症候性COVID-19の曝露後予防は達成されなかった。しかし、ベースライン時にSARS-CoV-2 RT-PCR陰性またはRT-PCR結果を欠く参加者の定義済み解析では、AZD7442の症候性COVID-19予防の役割を支持するものであった。

キーワード:AZD7442; COVID-19; SARS-CoV-2; モノクローナル抗体; 暴露後予防

引用文献

AZD7442 (Tixagevimab/Cilgavimab) for Post-exposure Prophylaxis of Symptomatic COVID-19
Myron J Levin et al. PMID: 36411267 DOI: 10.1093/cid/ciac899
Clin Infect Dis. 2022 Nov 22;ciac899. doi: 10.1093/cid/ciac899. Online ahead of print.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36411267/

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