アンジオテンシン変換酵素阻害薬が市中肺炎の入院と死亡を減少させる?(コホート研究; Pharmacotherapy 2022)

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ACE阻害薬は市中肺炎リスクを低下できるのか?

肺炎は世界的な疾患であり、入院を長期化させる一般的な理由となっています。アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEi)には肺炎を抑制する作用があると考えられていますが、その効果の一貫性は示されてなく、意見が分かれるところです。

そこで今回は、神経学的障害のある患者群において、ACEiによる肺炎の改善効果を明らかにし、死亡率の改善効果があるかどうかを検証したコホート研究の結果をご紹介します。

本試験は、市中肺炎入院となった29,011例のユニークなACEi使用者と嚥下に影響を及ぼす神経障害を有さない65歳以上の症例患者1,635例を対象に、2012年1月1日から2016年12月31日まで(5年間)追跡調査を行った大規模ヘルスシステムを用いたコホート試験です。ACEiの使用と肺炎入院および死亡率との関連は、Coxおよびロジスティック回帰を用いた傾向スコアマッチング後に決定されました。

試験結果から明らかになったことは?

実験コホートは74.9±7.3歳で、51%が女性でした。

オッズ比 OR あるいは ハザード比 HR
(95%CI)
ACEi使用者 vs. 非ACEi使用者
肺炎発症OR 0.72
0.51~0.99
p=0.048
短期死亡率(<30日)HR 0.42
p<0.001
長期死亡率(≧30日)HR 0.83
p<0.002

ACEi使用者はACEi非使用者に比べて肺炎発症のオッズが低いことが示されました(オッズ比 0.72、95%信頼区間(CI)0.51~0.99、p=0.048)。短期死亡率(<30日:(HR)0.42、p<0.001)および長期死亡率(≧30日:(HR)0.83、p<0.002)はACEi使用者でACEi非使用者より有意に低いことが示されました。

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ACE阻害薬は、アンギオテンシンIIを生成するACEを阻害し降圧作用を示しますが、咳嗽誘因物質であるブラジキニンやサブスタンスPの分解も阻害してしまうため、人によっては空咳の副作用が出てしまいます(発生頻度:約1~5%)。

この副作用を利用して誤嚥性肺炎の予防に使用されることがあります。また、このACE阻害薬の作用機序から市中肺炎に対しても有効であると考えられますが、充分に検討されていません。

さて、本試験結果によれば、神経性嚥下障害を伴わない肺炎リスクを有する患者におけるACE阻害薬の使用は、ACE阻害薬の非使用者と比較して、入院の減少および短期・長期死亡率の低下と関連していました。

コホート研究の結果であるため、あくまでも相関関係が示されたに過ぎません。前向きのランダム化比較試験の実施が求められます。

続報に期待。

a nurse wiping a patient s mouth

✅まとめ✅ 神経性嚥下障害を伴わない肺炎リスクを有する患者におけるACE阻害薬の使用は、ACE阻害薬の非使用者と比較して、入院の減少および短期・長期死亡率の低下と関連していた。

根拠となった試験の抄録

背景:肺炎は世界的な疾患であり、入院を長期化させる一般的な理由である。アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEi)には肺炎を抑制する作用があると考えられているが、その効果には賛否両論がある。

目的:本研究は、神経学的障害のある患者群において、ACEiによる肺炎の改善効果を明らかにし、死亡率の改善効果があるかどうかを判断するために行われた。

方法:市中肺炎入院となった29,011例のユニークなACEi使用者と嚥下に影響を及ぼす神経障害を有さない65歳以上の症例患者1,635例を対象に、20125年1月1日から2016年12月31日まで(5年間)追跡調査を行った大規模ヘルスシステムを用いたコホート試験。ACEiの使用と肺炎入院および死亡率との関連は、Coxおよびロジスティック回帰を用いた傾向スコアマッチング後に決定された。

結果:実験コホートは74.9±7.3歳で、51%が女性であった。ACEi使用者はACEi非使用者に比べて肺炎発症のオッズが低かった(オッズ比 0.72、95%信頼区間(CI)0.51~0.99、p=0.048)。短期死亡率(<30日:(HR)0.42、p<0.001)および長期死亡率(≧30日:(HR)0.83、p<0.002)はACEi使用者でACEi非使用者より有意に低かった。

結論:神経性嚥下障害を伴わない肺炎リスクを有する患者におけるACEiの使用は、入院の減少および短期・長期死亡率の低下と関連していた。肺炎の罹患率および死亡率の高さ、心血管疾患や腎疾患の基礎疾患を有する高齢者や社会的依存度の高い患者における罹患率を考慮すると、本データは、肺炎による入院リスクおよび短期・長期死亡率を低減するためにこれらの患者に対してACEiを処方することを支持するものであった。

キーワード:アンジオテンシン変換酵素阻害薬、薬理学、肺炎

引用文献

Angiotensin Converting Enzyme Inhibitors Reduce Community-Acquired Pneumonia Hospitalization and Mortality
Donald P Alexander et al. PMID: 36278479 DOI: 10.1002/phar.2739
Pharmacotherapy. 2022 Oct 24. doi: 10.1002/phar.2739. Online ahead of print.
— 読み進める pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36278479/

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