メトホルミンで治療中の2型糖尿病患者において、インスリン グラルギンU-100、グリメピリド、リラグルチド、あるいはシタグリプチン、どれを追加するのが良いのか?(RCT; GRADE試験; N Engl J Med. 2022)

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メトホルミンに追加する薬剤として、インスリン グラルギンU-100、グリメピリド、リラグルチド、あるいはシタグリプチン、どれが良いのか?

2型糖尿病患者における微小血管および心血管疾患の転帰に関して、メトホルミンに追加する一般的な血糖降下薬の比較有効性に関するデータは不足しています。

そこで今回は、インスリン、スルホニルウレア(SU)系薬、GLP-1受容体作動薬、DPP-4阻害薬の追加による有効性・安全性について検証したGRADE試験の結果をご紹介します。

本試験では、2型糖尿病患者において、糖化ヘモグロビン(HbA1c)値7.0%未満を達成・維持するために、メトホルミンに追加する4種類の一般的な糖低下薬の有効性が比較検討されました。ランダムに割り付けられた治療薬は、インスリン グラルギンU-100(以下、グラルギン)、グリメピリド、リラグルチド、シタグリプチンでした。

微小血管疾患および心血管疾患に関する事前に規定した副次的アウトカムには、高血圧および脂質異常症、中等度または重度のアルブミン尿増加または推定糸球体濾過量<60mL/分/体表面積1.73m2が確認されたもの、Michigan Neuropathy Screening Instrumentで評価した糖尿病性末梢神経障害、心血管イベント(主要有害事象[MACE]、心不全入院、または心血管イベントの集約結果)および死亡が含まれていました。

試験結果から明らかになったことは?

5,047例における平均5.0年の追跡期間中、高血圧や脂質異常症の発症に関して、あるいは微小血管の転帰に関して、介入群間で重大な違いは認められませんでした。

アルブミン尿値の中等度上昇の平均全体率(すなわち、100人・年当たりのイベント)は2.6、重度アルブミン尿値1.1、腎障害2.9、糖尿病性末梢神経障害16.7でした。

MACE(全死亡率1.0)、心不全による入院(0.4)、心血管系死亡(0.3)、全死亡(0.6)について、治療群間に差は認められませんでした。

あらゆる心血管疾患の発生率に関しては、グラルギン群で1.9、グリメピリド群で1.9、リラグルチド群で1.4、シタグリプチン群で2.0と小さな差が示されました。

1つの治療法と他の3つの治療法を合わせた結果を比較すると、あらゆる心血管疾患のハザード比は、グラルギン群で1.1(95%信頼区間[CI] 0.9~1.3)、 グリメピリド群で1.1(95%CI 0.9~1.4)、リラグルチド群で0.7(95%CI 0.6~0.9)、シタグリプチン群で1.2(95%CI 1.0~1.5)でした。

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英国、米国の診療ガイドラインでは、食事療法・運動療法で血糖コントロールが困難な場合、メトホルミンの使用が推奨されています。また、患者背景によっては、SGLT2阻害薬やGLP-1受容体作動薬の使用も推奨されています。コストも安価であることから、多くの患者においては、メトホルミンでの治療が行われますが、次に追加する薬剤として、どの薬効群が適しているのかについては充分に検討されていません。

さて、本試験結果によれば、メトホルミンで治療中の2型糖尿病患者において、インスリン グラルギンU-100、グリメピリド、リラグルチド、あるいはシタグリプチンの追加は、微小血管合併症および死亡の発生率に群間差はないようでした。一方、心血管疾患の発生率において、インスリン グラルギンU-100、グリメピリド、あるいはシタグリプチンと比較して、リラグルチドで低いことが示されました。

本論文は有料であるため、患者背景まで確認できていませんが、試験規模と観察期間(5,047例における平均5.0年の追跡)は充分であると考えます。

メトホルミンで治療中の2型糖尿病患者における次の一手として、インスリン グラルギンU-100、グリメピリド、あるいはシタグリプチンよりも、リラグルチドがの方が優れているのかもしれません。ただし、本試験ではSGLT-2阻害薬について検証されていません。エビデンスの集積が待たれます。

続報に期待。

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✅まとめ✅ メトホルミンで治療中の2型糖尿病患者において、インスリン グラルギンU-100、グリメピリド、リラグルチド、あるいはシタグリプチンの追加は、微小血管合併症および死亡の発生率に群間差はなかったが、心血管疾患の発生率においてはリラグルチドで低いことが示された。

根拠となった試験の抄録

背景:2型糖尿病患者における微小血管および心血管疾患の転帰に関して、メトホルミンに追加する一般的な血糖降下薬の比較有効性に関するデータは不足している。

方法:2型糖尿病患者において、糖化ヘモグロビン(HbA1c)値7.0%未満を達成・維持するために、メトホルミンに追加する4種類の一般的な糖低下薬の有効性を比較検討した。ランダムに割り付けられた治療薬は、インスリン グラルギンU-100(以下、グラルギン)、グリメピリド、リラグルチド、シタグリプチンであった。微小血管疾患および心血管疾患に関する事前に規定した副次的アウトカムには、高血圧および脂質異常症、中等度または重度のアルブミン尿増加または推定糸球体濾過量<60mL/分/体表面積1.73m2が確認されたもの、Michigan Neuropathy Screening Instrumentで評価した糖尿病性末梢神経障害、心血管イベント(主要有害事象[MACE]、心不全入院、または心血管イベントの集約結果)および死亡が含まれていた。ハザード比は95%信頼限界とともに示したが、多重比較のための調整は行っていない。

結果:5,047例における平均5.0年の追跡期間中、高血圧や脂質異常症の発症に関して、あるいは微小血管の転帰に関して、介入群間で重大な違いは認められなかった。アルブミン尿値の中等度上昇の平均全体率(すなわち、100人・年当たりのイベント)は2.6、重度アルブミン尿値1.1、腎障害2.9、糖尿病性末梢神経障害16.7であった。MACE(全死亡率1.0)、心不全による入院(0.4)、心血管系死亡(0.3)、全死亡(0.6)については治療群間に差はなかった。あらゆる心血管疾患の発生率に関しては、グラルギン群で1.9、グリメピリド群で1.9、リラグルチド群で1.4、シタグリプチン群で2.0と小さな差があった。1つの治療法と他の3つの治療法を合わせた結果を比較すると、あらゆる心血管疾患のハザード比は、グラルギン群で1.1(95%信頼区間[CI] 0.9~1.3)、 グリメピリド群で1.1(95%CI 0.9~1.4)、リラグルチド群で0.7(95%CI 0.6~0.9)、シタグリプチン群で1.2(95%CI 1.0~1.5)であった。

結論:2型糖尿病患者において、微小血管合併症および死亡の発生率は、4つの治療群間で大きな差はなかった。また、心血管疾患の発症率に群間差がある可能性が示唆された。

資金提供:国立糖尿病・消化器・腎臓病研究所、その他

ClinicalTrials.gov番号:NCT01794143

引用文献

Glycemia Reduction in Type 2 Diabetes – Microvascular and Cardiovascular Outcomes
GRADE Study Research Group PMID: 36129997 DOI: 10.1056/NEJMoa2200436
N Engl J Med. 2022 Sep 22;387(12):1075-1088. doi: 10.1056/NEJMoa2200436.
— 読み進める https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36129997/

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