ハイリスク2型糖尿病患者におけるペマフィブラート使用は心血管イベントの発生を抑制できますか?(PROMINENT試験; 途中解析で中止された試験)

two women holding pen 05_内分泌代謝系
Photo by Tirachard Kumtanom on Pexels.com

ペマフィブラート(開発コード:K-877、商品名:パルモディア)による心血管イベントの発生抑制効果はどのくらいなのか?

2型糖尿病患者は心血管リスクが高いことから、血糖コントロールが求められます。しかし、血糖コントロールだけでは大血管合併症の発症を抑制できないことが報告されています。これには、血圧やLDLコレステロール、中性脂肪(トリグリセリド)が影響している可能性について指摘されています。

これまでの臨床試験の結果から、高血圧や高LDLコレステロール血症を合併する2型糖尿病患者において、降圧薬やHMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン系薬)による心血管疾患(大血管合併症を含む)の発症抑制効果が示されています。一方、高トリグリセリド血症に対するフィブラート系薬の追加による有効性については一貫した結果が得られていません。

ペマフィブラート(日本での商品名:パルモディア)は、世界初の高活性かつ選択的なペルオキシソーム増殖因子受容体αモジュレーター(SPPARMα)です。このため、心血管イベント抑制効果を期待して、実証を目的とした大規模介入研究PROMINENT試験が実施されています。今回は、このPROMINENT試験についてご紹介します。

PROMINENT試験は、24ヵ国、約850の臨床施設を対象とした国際多施設共同、二重盲検、プラセボ対照、ランダム化試験です。本試験は ClinicalTrials.gov(NCT03071692)に登録されています。本試験の主要な目的は、スタチン系薬剤で治療中の軽度から中等度の高トリグリセリド血症および低HDL-C値を有する2型糖尿病ハイリスク患者において、K-877が心血管イベントのリスクを低減するかどうかを検討することです。主要評価項目は、非致死的心筋梗塞、非致死的虚血性脳卒中、冠動脈再灌流、心血管死の複合です。

試験結果から明らかになったことは?(中間解析の結果)

試験結果については公表されていません(2022年7月時点)。

2022年4月8日、興和研究所は、データ安全性モニタリング委員会(DSMB)の勧告を考慮し、第3相PROMINENT試験を継続しないことを決定しました。DSMBは、予定されていた中間解析のレビューに基づき、主要評価項目が達成される可能性は低いと結論付けました。また、安全性に関して特筆すべき懸念は認めらなかったとのことです。

興和研究所は、「PROMINENTの結果解析において有望なデータが得られたことから、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)および非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)などの新規治療領域におけるK-877の可能性を引き続き追求してまいります」とコメントしています(prnewswire.com:興和プレスリリース)。

コメント

脂質異常症を合併する2型糖尿病においては、LDLコレステロールをコントロールすることで予後改善が見込めます。一方、トリグリセリドのコントロールについては一貫した結果が得られていません。

さて、本試験結果の結果は報告されていませんが、ハイリスク2型糖尿病患者におけるペマフィブラート使用は、プラセボと比較して、心血管イベント(非致死的心筋梗塞、非致死的虚血性脳卒中、冠動脈再灌流、心血管死の複合)の発生を抑制できない可能性が示されました。ソフトアウトカムである冠動脈再灌流が含まれているため、結果の解釈に注意を要しますが、それでもプラセボと比較してペマフィブラートの有用性は示されませんでした。つまり、ハイリスク2型糖尿病患者におけるトリグリセリドのコントロールを積極的に行う必要はなさそうです。より詳細に批判的吟味を行うために、PROMINENT試験の結果公表が待たれます。

これまでの報告から、トリグリセリドが1,000mg/dLを超えると急性膵炎のリスクが高くなることが知られています。トリグリセリドが2,000mg/dL以上でさらにリスクが高くなることも知られており、トリグリセリドが2,000mg/dLを超えると、しばしば重症化することも報告されています。

2型糖尿病におけるトリグリセリドのカットオフ値が1,000mg/dLであるとは結論づけられませんが、積極的治療を行うには根拠が足りないようです。トリグリセリドの立ち位置は、今のところ尿酸と同様のようです。

a close up shot of letter cutouts

✅まとめ✅ ハイリスク2型糖尿病患者におけるペマフィブラート使用は、プラセボと比較して、心血管イベントの発生を抑制できなそう。

試験の根拠となった抄録(デザインペーパー)

背景:観察的、遺伝的、実験的データから、トリグリセリドを多く含むリポ蛋白(TRL)はアテローム血栓症に因果関係がある可能性が高いことが示されている。しかし、トリグリセライド(TG)低下療法が心血管イベントを減少させるという確かな臨床試験のエビデンスはまだ得られていない。選択的ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体αモジュレーター(SPPARM-α)であるペマフィブラートは、2型糖尿病(T2DM)の脂質異常症患者において低密度リポ蛋白コレステロール(LDL-C)の低下治療後に残存する心血管リスクをターゲットとして用いられる予定である。

方法:PROMINENT試験では、T2DM、軽度から中等度の高トリグリセリド血症(TG:200〜499mg/dL; 2.26〜5.64mmol/L)および低高密度リポタンパク質コレステロール値(HDL-C:≤40mg/dL; 1.03mmol/L)の患者約10,000例を、ペマフィブラート(0.2 mg 1日2回)またはプラセボにランダムに割り付け、平均予想追跡期間を3.75年(治療期間合計5年、24ヵ国)とする予定である。試験参加者は、試験開始時に中等度から高度のスタチン治療を受けているか、特定のLDL-C基準を満たすことが必要であった。試験参加者は、3分の1が一次予防、3分の2が二次予防(確立された心血管疾患)となる予定である。主要評価項目は、非致死的心筋梗塞、非致死的虚血性脳卒中、緊急冠動脈再灌流を必要とする不安定狭心症による入院、および心血管死の複合である。このイベント・ドリブン試験は、1,092例の主要評価項目が発生し、そのうち少なくとも200例が女性に発生した時点で終了する予定である。統計的検出力は、主要評価項目の18%減少を検出するのに90%以上である。副次評価項目および三次評価項目には、全死亡、心不全による入院、末梢動脈疾患の発症または悪化、糖尿病性網膜症および腎症の発症または悪化、脂質および非脂質バイオマーカー、炎症および血糖パラメータを含むバイオマーカーの変化、が含まれる。

臨床試験登録 ClinicalTrials.gov NCT03071692.

引用文献

Rationale and design of the Pemafibrate to Reduce Cardiovascular Outcomes by Reducing Triglycerides in Patients with Diabetes (PROMINENT) study
Aruna D Pradhan et al. PMID: 30342298 DOI: 10.1016/j.ahj.2018.09.011
Am Heart J. 2018 Dec;206:80-93. doi: 10.1016/j.ahj.2018.09.011. Epub 2018 Sep 29.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30342298/

コメント

タイトルとURLをコピーしました