糖尿病黄斑浮腫にアフリベルセプトまたはベバシズマブ先行投与、どちらが良さそうですか? (RCT; N Engl J Med. 2022)

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糖尿病黄斑浮腫に対するアフリベルセプト vs. ベバシズマブ先行投与、どちらが良いのか?

糖尿病黄斑浮腫に対して、アフリベルセプト(商品名:アイリーア)やベバシズマブ(日本では適応外)をはじめとする抗VEGF抗体薬が使用されます。しかし、アフリベルセプト単独投与とベバシズマブ先行投与を比較し、眼の状態が充分に改善しない場合にベバシズマブからアフリベルセプトに切り替える方法(ステップ治療)の有効性は不明です。

そこで今回は、黄斑中心部を含む糖尿病黄斑浮腫を有し、視力レタースコアが24~69点(0~100のスケールで、スコアが高いほど視力が良いことを示す;Snellenスネレン相当、20/320~20/50)の成人の眼について、アフリベルセプト硝子体内投与2.0mgまたはベバシズマブ硝子体内投与を比較したランダム化比較試験の結果をご紹介します。

本試験において、12週目以降、ベバシズマブ先行投与群の対象眼は、プロトコルで指定された基準を満たした場合に、アフリベルセプト療法に切り替えられました。本試験の主要評価項目は、2年間の試験期間中の視力の平均変化とした。また、網膜中心亜視野の厚みと2年後の視力、安全性についても評価されました。

試験結果から明らかになったことは?

合計312眼(成人270例)がランダム化を受け、158眼がアフリベルセプト単剤投与に、154眼がベバシズマブ先行投与に割り付けられました。

2年間の試験期間中の視力の平均変化
アフリベルセプト単剤投与群15.0レター
ベバシズマブ先発投与群14.0レター
調整済み群間差0.8レター
(95%信頼区間 -0.9 〜 2.5
P=0.37

2年間で、ベバシズマブ先行投与群の70%がアフリベルセプト治療に切り替わりました。視力の平均改善度は、アフリベルセプト単剤投与群15.0レター、ベバシズマブ先発投与群14.0レター(調整済み群間差 0.8レター、95%信頼区間 -0.9 〜 2.5、P=0.37)でした。

2年後の視力と網膜中心下層厚の平均変化量は、両群で同程度でした。

重篤な有害事象(アフリベルセプト単剤投与群52%、ベバシズマブ先行投与群36%)および有害事象による入院(それぞれ48%、32%)はアフリベルセプト単剤投与群でより多くみられました。

コメント

海外では、糖尿病黄斑浮腫に対してベバシズマブを含めて抗VEGF抗体が使用されています。しかし、どちらを先行して治療を行った方が良いのかについては充分に検討されていません。

さて、本試験結果によれば、黄斑中心部を含む糖尿病黄斑浮腫による中等度視力低下に対して、アフリベルセプト単剤療法と、効果が不十分な場合にアフリベルセプトに切り替えるベバシズマブ先行治療との間で、2年間の視力予後に有意差を示す証拠は得られませんでした。ただし、2年間で、ベバシズマブ先行投与群の70%がアフリベルセプト治療に切り替わっていました。本試験結果をそのまま受け取るとすれば、アフリベルセプトの方が治療効果は高そうです。試験のデザイン上、致し方ないところではありますが、試験途中で治療を切り替えているため、ランダム化時点の割り付け症例数と結果の例数が異なり、この症例数の変更が結果に影響した可能性を排除できません。

続報に期待。

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☑まとめ☑ 黄斑中心部を含む糖尿病黄斑浮腫による中等度視力低下に対して、アフリベルセプト単剤療法と、効果が不十分な場合にアフリベルセプトに切り替えるベバシズマブ先行治療との間で、2年間の視力予後に有意差を示す証拠は得られなかった。ただし、2年間で、ベバシズマブ先行投与群の70%がアフリベルセプト治療に切り替わっていた。

根拠となった試験の抄録

背景:糖尿病黄斑浮腫に対して、アフリベルセプト単剤投与とベバシズマブ先行投与を比較し、眼の状態が充分に改善しない場合にアフリベルセプトに切り替える方法(ステップ治療)の有効性は不明である。

方法:54の臨床施設で、黄斑中心部を含む糖尿病黄斑浮腫を有し、視力レタースコアが24~69点(0~100のスケールで、スコアが高いほど視力が良いことを示す;Snellenスネレン相当、20/320~20/50)の成人の眼について、アフリベルセプト(商品名:アイリーア)硝子体内投与2.0mgまたはベバシズマブ硝子体内投与のどちらかにランダムに割り当てた。ランダム化時およびそれ以降は、事前に指定された再投与プロトコールに従って投与された。12 週目以降、ベバシズマブ先行投与群の対象眼は、プロトコルで指定された基準を満たした場合に、アフリベルセプト療法に切り替えた。
主要評価項目は、2年間の試験期間中の視力の平均変化とした。また、網膜中心亜視野の厚みと2年後の視力、安全性についても評価された。

結果:合計312眼(成人270例)がランダム化を受け、158眼がアフリベルセプト単剤投与に、154眼がベバシズマブ先行投与に割り付けられた。2年間で、ベバシズマブ先行投与群の70%がアフリベルセプト治療に切り替わった。視力の平均改善度は、アフリベルセプト単剤投与群15.0レター、ベバシズマブ先発投与群14.0レター(調整済み差 0.8レター、95%信頼区間 -0.9 〜 2.5、P=0.37)であった。2年後の視力と網膜中心下層厚の平均変化量は、両群で同程度であった。重篤な有害事象(アフリベルセプト単剤投与群52%、ベバシズマブ先行投与群36%)および有害事象による入院(それぞれ48%、32%)はアフリベルセプト単剤投与群でより多くみられた。

結論:黄斑中心部を含む糖尿病黄斑浮腫による中等度視力低下に対する本試験において、アフリベルセプト単剤療法と、効果が不十分な場合にアフリベルセプトに切り替えるベバシズマブ先行治療との間で、2年間の視力予後に有意差を示す証拠は得られなかった。

資金提供:米国国立衛生研究所の助成金

ClinicalTrials.gov 番号:NCT03321513

引用文献

Aflibercept Monotherapy or Bevacizumab First for Diabetic Macular Edema
Chirag D Jhaveri et al. PMID: 35833805 DOI: 10.1056/NEJMoa2204225
N Engl J Med. 2022 Jul 14. doi: 10.1056/NEJMoa2204225. Online ahead of print.
— 読み進める pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35833805/

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